低髄液圧症候群、または脳脊髄液減少症:その1

2019年10月09日 08時56分00秒 | 日記
昨日のニュースで、女優の米倉涼子さんが、「低髄液圧症候群」を患っていたと告白していた。低髄液圧症候群、別名は、「脳脊髄液減少症」。バアバが5年前から患っている病気だ。

米倉涼子さんの場合、何が原因かはハッキリとニュースで報道されていなかったけど、話の流れから察するに、おそらく、病名が付いたのが早くて、すぐに治療をできたから、回復も早かったんだろうと思う。

ところが、この病気の怖いところは、診断できる医者が少なく、また、患者によって症状の出方も様々で、なかなか病名がハッキリしないことだ。バアバの場合は、発症から3年も経って、やっと正式な病名が付いた。

バアバが脳脊髄液減少症を発症した原因
は、公園でりょうちゃんの遊び相手をしている時に遊具で激しく転び、顔面を強打したことだった。病院で検査を受けて、打撲とかむち打ちのような診断で、先生は、脳に異常はないという判断だったのだと思う。でも、脳脊髄液の漏れは、普通のCTやMRIなどの画像診断では写らない。造影検査が必要で、できればRI脳槽シンチグラフィをする必要がある。バアバの場合も、もし最初の段階で脳脊髄液減少症が疑われ、適切な検査を受けられていたら、その後の経過もずいぶん違っていたかもしれない。ただし、RI脳槽シンチグラフィでも、髄液の漏れが特定できないこともあるから、ものすごく厄介な病気なのだ。実際、発症から3年後にやっと専門医にたどり着いた時も、バアバの場合は髄液が漏れている箇所は特定できなかった。でも、最終的には、生理食塩水を脊髄から注入する生食パッチをやって症状の改善が見られたことで、正式に脳脊髄液減少症の診断名が付いた。

バアバの場合、ケガの後から体調が優れず、頭痛や全身疲労のような症状、逆流性食道炎、喘息様の発作、めまい、嘔吐など、色々な症状が出て、整形外科や脳神経外科、PETでのがん検診、心臓の検査など、とにかく思いつく限りのあらゆる検査を受けた。それでも、いつも「異常なし」との診断が下され続け、それが本当にキツかった。こんなに具合が悪いのに、「異常なし」と言われてしまったら、それ以上前に進みようがない。
一方、医者が脳脊髄液減少症と気づかなかった原因として考えられるのは、バアバが、脳脊髄液減少症の典型的な症状である「起立性頭痛」を訴えなかったからだと思う。

例えば、バアバがよく訴えていた、「頭がグワーンとして起きていられない。脳が圧迫されるみたい」という症状は、最終的に診断をしてくれた赤坂の山王病院の高橋先生に言わせると、「頭痛の訴え方は人それぞれだからね」とのことで、つまり「頭がグワーン」は、今思えば起立性頭痛だったということだったんだと思う。

実は、バアバは無意識には「頭が痛い」と言っていることがよくあった。それで、それ以外の症状も含めてネットで色々調べた結果、発症から2年半くらい経った頃に、初めて脳脊髄液減少症という病名が浮かんだ。脳脊髄液減少症の名医として知られる国際医療福祉大学の篠永正道先生の本も読み、これは間違いないと確信し、バアバに本の内容を説明すると、自分と同じような症状であることが分かった。
それで、かかりつけ医にお願いし、うちから車で行かれる範囲で、ブラッドパッチ(髄液が漏れているところをふさぐ治療)をしている大学病院への紹介状を書いてもらい、そこに行くことにした。
ところが、診察の日、バアバの病院に付き添った時、症状の説明に頭痛が入っていなかったので、私が「頭が痛いんだよね?」と聞いたら、「頭は痛くない。グワーンとして、脳が圧迫されてる感じなんです」と言うので驚いた。
えっ、だって、わりとよく頭が痛いって言ってるのに。。。
そう思ったけど、バアバにしてみたら、あまりにも色んなところが具合悪いし、その時によっても一番辛い症状が違うから、うまく説明できない部分もあったんだろう。それに、いわゆる「頭痛」とは、ちょっと違っていたから、より正確に伝えようとすると「頭がグワーン」になったということなのかもしれない。

脳脊髄液減少症は、髄液が減って脳が下がるから、神経が引っ張られて色々な症状を来す。バアバの場合は頭痛などの他にも、反応が鈍かったり、呂律が怪しかったりもしていた。ただ、精神的にはかなり参っていたけど、鬱病のような症状はなくて、治ったら海外旅行に行こうとか、あれが美味しそうだから食べたいとか、色んなことにすごく前向きだった。それなのに、紹介状を書いてもらって行った大学病院では、たくさんの問診と、手足の反応や力の入り具合などを見る検査をした挙句、「ガイドラインにあるような典型的な症状がないから、脳脊髄液減少症ではない」と断言された。この時は、はっきり言って、かなり衝撃だった。篠永先生の本には、典型的な症状を来さないことは珍しくないと書いてあったし、バアバの症状は本に書かれている症状にかなり色々当てはまるのに。
それで、じゃあこの後はどうしたらいいんでしょう? と聞いたら、「精神的な病気かもしれませんね。自分で心療内科を探して行ってみたらいいんじゃないですか」と、「もう自分は関係ない」という感じのとても突き放した言い方をされて、唖然とした。

それで、これはもう、脳脊髄液減少症を専門とする先生のところに行くしかないと腹が決まり、その大学病院で紹介状を書いてもらって、山王病院に行った。脳脊髄液減少症が精神疾患(例えば鬱病)と間違われることは本当によくあることだと本で読んでいたし、無気力になったりして、実際に鬱病っぽい症状を来す人もいるのは事実だ。でも、バアバの日常の言動からは鬱病は考えられなかったし、そもそも脳脊髄液減少症を正しく理解している医者が少ないことも、事前に勉強していたので、こういうこともあるだろうと気を取り直した。

ただ、当時、バアバは30分と起きていられないくらい具合が悪かったので、どうやって都内の病院まで行けるんだろうと思ったし、実際、ジイジが付き添ったり、弟たちが車で送迎したり、診察を受けに行くこと自体がそもそも大変なことだった。

〈続く〉

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4 コメント

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Unknown (fukuchan0504)
2020-07-07 08:49:08
めりーさん、コメントありがとうございます。
私も最初は、母が病院に行って、「どこも悪くないって言われた」と言うたびに、良かったね、と気楽に思ってました。ゆっくりしてれば、そのうち治ると思って。まさか、脳脊髄液減少症とは、全く思わなかったです。72歳のお母様なら、ネット検索とか情報収集も難しいかもしれないですよね。私はたまたま、医療に関係している仕事をしているので、病名にたどり着けましてが、そうでなければどうだったかわかりません。
一つ言えるのは、色々調べてくれたりしてるようには見えないお母様も、きっと心配されてると思いますよ。でも、どうしたらいいのかわからないんだと思います。
また、脳脊髄液減少症の治療は、先生にお任せしているだけでは進みません。正直言えば、専門の先生であっても、患者の本当の症状の辛さは分からないからです。自分でも色々調べて、こちらから、ブラッドパッチはどうでしょう? とか、アートセレブを試してみたいとか、先生に要望を伝え、色々質問していくことも大事です。
治療が始まってからも、正直、急には効果が出なくて焦ることもあるかもしれませんが、「良いと言われることは試してみよう!」という前向きな気持ちで臨んでいくことが大事かと思います。
めりーさんは海外ということで、なかなか思うように治療が進まないのかもしれませんが、水分補給と安静が治療の基本かと思います。そして、1日も早く治療を開始することが、早い回復につながるようです。
どうか、お大事になさってくださいね。
Unknown (めりー)
2020-07-06 23:32:32
私は40代です。
お母さん大変でしたね検査してもなかなかわからず。
お母さんの表現よくわかります!頭がグワーンという。
私も現在そのような体調になり8年位訳の分からない頭痛と血の気が引く感じ後はグワーンみたいな症状です。特に今年4月辺りから症状はますます強くなりました。今は海外に住んでいますが日本に戻ったら今度は専門医の所に行きたいと考えています。今は山王病院を考えてます。なかなか専門医が居ないので大変だなーと思います。
このブログを読んで大変参考になりました。あなたのお母様の病気を見つける!という強い姿勢が骨髄液減少症という厄介な病を見つけることができたと思います。私の母は72歳です。が、私が苦しんでいても様々な不定愁訴の事を調べてくれる訳では無いしなんだか寂しい気持ちにもなりました。あなたのような娘さんを持ってあなたのお母様は幸せですね。
Unknown (fukuchan0504)
2020-05-13 16:26:35
コメントありがとうございます。同じ症状なんですね。ここさんも、お大事になさってください。
Unknown (ここ)
2020-05-13 11:49:36
同じ症状です。困っている方やバアバ様良くなりますように!

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