雄勝石を釉薬にしたという青い器があるが、その焼き物のごとく、綺麗に輝く雄勝湾を眺めながら、湾の南側に沿って進み、女川へと出る。
女川に入ると、カツオとウミネコが迎えてくれた。
看板の装飾だけれど。
さすがに、カツオはウミネコの相手ではないだろうが、何やら物言いたげなウミネコの顔が面白い。
「よう、また来たかい。待ってたぞ。」といったところか。
女川には北と中央と南とに、3つの湾がある。
北は御前(おんまえ)湾わんだ。(ただし、御前湾を含み竹ノ浦の岬の端まで雄勝湾の範囲)
少しばかり丘陵の森の間を行くと、やがて開けて海が見える。
そこが御前湾で、指ヶ浜(さしのはま)漁港があった。
色々と苦労も多いはずだが、それでも漁港に漁船が戻っているのを見るとほっとする。
生業なりわいを取り戻す一歩を、踏み出せることは大事なことだから。
御前浜おんまえはま海水浴場の辺りは、道端の柵が歪んでいた。
浜辺も荒れている。
岬がいくつかあって、その合間に尾浦や竹浦、桐ヶ崎と漁港があるのを見ながら、曲がりくねった山間の道を進んでいく。
その道路は、所々、崩れて工事中になっていた。
竹浦漁港辺りから、道は女川湾沿いになる。
雄勝を出てから、通ってきた湾岸の道沿いは、店が無い。
御前湾を過ぎると、木々に囲まれた道が続く。
一段低い所に、仮設住宅が見える箇所がある。
この辺りは、暮らしに必要な物を買うにも難儀だと聞いていたが、実際に通ってみてよく分かった。
嬉しいことに、こうした事情を察して、移動販売として来てくれる人がいるという。
被災地で、必要な物を売りに来てくれるというのはありがたい。
昔は売り歩きが多かったが、こうした形で見直されるのはいい。
人との交流と、信用を大事にした商人の心意気はいいものだ。
崎山公園も過ぎれば、女川港の中心地だった女川浜に近づいていく。