好酸球性副鼻腔炎

好酸球性副鼻腔炎について知っていただくために開設したブログです。現在更新は行っていません。

好酸球性副鼻腔炎と他の好酸球性炎症疾患

2011-08-20 21:50:19 | 好酸球性副鼻腔炎一般

気管支、鼻副鼻腔、中耳は一続きで、よく似た呼吸粘膜を持ちます。そして、その粘膜で、よく似た好酸球性の炎症を起こし、それぞれがしばしば合併します。アスピリン喘息、好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎です。これらの少なくとも一部は、同じ原因で起こっていると考えられます。

しかし、その頻度には差があり、アスピリン喘息の71.9%、好酸球性中耳炎の61~82%に、好酸球性副鼻腔炎ないしは鼻茸が見られます。これに対して、好酸球性副鼻腔炎の10~30%にしか、中耳炎を合併しません。アスピリン喘息も好酸球性中耳炎も、好酸球性副鼻腔炎ないしは鼻茸が先行することが多いとされます。これらを総合してみると、副鼻腔炎が一番多く、しかも最初に発症するということになります。

他に類縁疾患として、アレルギー性真菌性副鼻腔炎があります。これは真菌(カビ)が引き起こす、アレルギー性の炎症であるとされ、好酸球性副鼻腔炎と非常によく似た病態を示します。現時点では、その位置づけがはっきりしないので、上図では、円の外に書きましたが、好酸球性副鼻腔炎の多くは、真菌が原因である考えている先生もいます。しかし、そう結論するには、証拠が少ないようにも思います。

またChung Strauss 症候群も、気管支や副鼻腔で、よく似た病態を示します。しかし、それに引き続いて、全身の血管で好酸球性の炎症が起こり、多くの臓器で障害が起きます。診断基準の好酸球の増加は800/μl以上ですから、好酸球性副鼻腔炎の診断基準の400/μl以上の2倍です。一方、好酸球性副鼻腔炎ではあまり関連がないとされるIgEが高値で、好中球細胞質抗体(P-ANCA)も上昇します。気道に限局する好酸球炎症が進展したものなのか、別の疾患なのか、これもまだ位置づけがはっきりしません。

いずれにせよ、副鼻腔炎が最も多く、また最初に発症する場合が多いので、好酸球性副鼻腔炎をはやく通常の副鼻腔炎と鑑別して診断し、落ち着いた状態を保てるように治療できれば、ほかの好酸球性炎症疾患の発症を、予防できる可能性があるのではないかと推測されます。ただし、エビデンスはありません。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 好酸球について 1 | トップ | 好酸球性副鼻腔炎の患者数 »
最新の画像もっと見る

好酸球性副鼻腔炎一般」カテゴリの最新記事