気管支、鼻副鼻腔、中耳は一続きで、よく似た呼吸粘膜を持ちます。そして、その粘膜で、よく似た好酸球性の炎症を起こし、それぞれがしばしば合併します。アスピリン喘息、好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎です。これらの少なくとも一部は、同じ原因で起こっていると考えられます。
しかし、その頻度には差があり、アスピリン喘息の71.9%、好酸球性中耳炎の61~82%に、好酸球性副鼻腔炎ないしは鼻茸が見られます。これに対して、好酸球性副鼻腔炎の10~30%にしか、中耳炎を合併しません。アスピリン喘息も好酸球性中耳炎も、好酸球性副鼻腔炎ないしは鼻茸が先行することが多いとされます。これらを総合してみると、副鼻腔炎が一番多く、しかも最初に発症するということになります。
他に類縁疾患として、アレルギー性真菌性副鼻腔炎があります。これは真菌(カビ)が引き起こす、アレルギー性の炎症であるとされ、好酸球性副鼻腔炎と非常によく似た病態を示します。現時点では、その位置づけがはっきりしないので、上図では、円の外に書きましたが、好酸球性副鼻腔炎の多くは、真菌が原因である考えている先生もいます。しかし、そう結論するには、証拠が少ないようにも思います。
またChung Strauss 症候群も、気管支や副鼻腔で、よく似た病態を示します。しかし、それに引き続いて、全身の血管で好酸球性の炎症が起こり、多くの臓器で障害が起きます。診断基準の好酸球の増加は800/μl以上ですから、好酸球性副鼻腔炎の診断基準の400/μl以上の2倍です。一方、好酸球性副鼻腔炎ではあまり関連がないとされるIgEが高値で、好中球細胞質抗体(P-ANCA)も上昇します。気道に限局する好酸球炎症が進展したものなのか、別の疾患なのか、これもまだ位置づけがはっきりしません。
いずれにせよ、副鼻腔炎が最も多く、また最初に発症する場合が多いので、好酸球性副鼻腔炎をはやく通常の副鼻腔炎と鑑別して診断し、落ち着いた状態を保てるように治療できれば、ほかの好酸球性炎症疾患の発症を、予防できる可能性があるのではないかと推測されます。ただし、エビデンスはありません。