好酸球性副鼻腔炎の患者さんが、どれぐらいいらしゃるか、直接示す統計はありません。しかし、喘息の患者さんの数から、推測することができます。
日本における、成人の喘息の累積有症率(現症と既往の合計)は、約3%と言われています。人口12000万人として、360万人。そのうちアスピリン喘息の方が10%ととして、36万人。アスピリン喘息の71.9%に鼻茸を合併すると言われ、この鼻茸を好酸球性副鼻腔炎の鼻茸と考えれば、アスピリン喘息を合併する好酸球性副鼻腔炎は、25万人。
一方、好酸球性副鼻腔炎の60~80%に喘息を合併すると言われますので、もしそれがすべてアスピリン喘息であるとすれば、好酸球性副鼻腔炎は、喘息を合併していない者を含めると、32万人から43万人。好酸球性副鼻腔炎に合併する喘息がすべてアスピリン喘息でなければ、計算上の患者数は、もっと多くなります。好酸球性副鼻腔炎に合併する喘息に占める、アスピリン喘息の割合を示すデータはありませんが、好酸球性副鼻腔炎の患者さんは、日本に50万人近くいらっしゃると推測されます。
難病情報センターのサイトによれば、どのように推計したかは示されていませんが、3万5000人から5万人とされています。私の推計より一桁少ないですが、それでもけして少ない数ではありません。
余談ですが、難病情報センターのサイトは、インターネットで検索して既にご覧になっている方もあると思いますが、私にはいくつか疑問があります。まず、好酸球性中耳炎が進行して聾にいたるということを強調しすぎていることです。この病気に気をつけるように、という注意喚起は必要ですが、好酸球性副鼻腔炎の方がすべて好酸球性中耳炎を合併するわけではないし、高度の観音難聴にいたる方はさらに少数であるからです。必要以上に患者さんの不安を煽る表現になっていないか、危惧されます。
もうひとつ、”一般的な副鼻腔炎では、上顎洞の病変が一般的であり、抗菌薬に反応して”とあるのですが、これは少し乱暴な表現です。急性副鼻腔炎と小児副鼻腔炎では、そのとおりなのですが、ここで好酸球性副鼻腔炎と対比すべきは成人の慢性副鼻腔炎です。一般的な成人の副鼻腔炎は、やはり軽度のうちは篩骨洞病変が主体で、抗菌薬にはあまり反応しません(急性増悪時は別ですが)。慢性副鼻腔炎のマクロライド療法は、一般には抗菌薬としての作用を期待するのではなく、他の抗炎症作用を期待して行います。
余計なことを書いてしまったかも知れませんが、難病情報センターは、患者さん、ご家族の皆様の療養上の悩みや不安を解消するため、また、難病治療に携わる医療関係者の皆様に診療上必要となるような情報を提供するのが目的とありますので、そうれあれば違う表現の方が良いように思われます。
私自身、先日に好酸球性副鼻腔炎と診断され、手術しかないと言われました。
でも他に方法はないのかと思い色々と調べていたところ、こちらのブログに出合いました。
私が今必要としている情報がたくさん載っていて、とても感動しました!
こんな素敵なブログを立ち上げて下さって、本当にありがとうございます!!
これからも定期的に読ませて頂きます!
質問させて頂きたいこともいくつかあるのですが、ここでは1つだけちょっとした質問(?)をさせて頂きます。
この記事に関してですが、好酸球性中耳炎は難病指定なのに、好酸球性副鼻腔炎が難病指定にならないのは何故なのでしょうか?
対策とは、調査研究の補助(難治性疾患克服研究事業:対象は臨床調査研究分野の130疾患)、一部の疾患では医療費の自己負担の軽減(特定疾患治療研究事業対象疾患56疾患)などです。
好酸球性副鼻腔炎も好酸球性中耳炎も、56疾患にはもちろん、130疾患にも含まれていないと思います。
しかし、平成21年度から、難治性疾患研究に研究奨励分野がもうけられ、今までよく分かっていなかった疾患について、実態把握を目的とした研究が行われています。好酸球性副鼻腔炎は、平成22年度および平成23年度の、研究奨励分野に指定されています。
平成24年度については情報がないのですが、好酸球性中耳炎を、国が難病に指定したということは、ないように思いますが、いかがでしょうか。私の情報不足であれば、申し訳ありません。
よく確認しましたところ、私の見間違いだったようで本当に重ね重ね申し訳ありません!
今日改めて全てのブログとコメントを読ませて頂きました。多くの方がこの好酸球性副鼻腔炎で困っていらっしゃって、こうして医師の方が回答下さっているのは本当に有難い事です。
私は先月手術と言い渡されてから、手術しなくてもよい方法を色々調べた結果、結局手術する方向で考えています。
けれど、費用もそれなりにかかるし、1週間の休みを取ることだってそう簡単な事ではありません。
それで、このブログを読んでいて気になったことがありました。
chocoさんのアメリカでの手術の件です。手術はたった3時間で、詰め物もなし、発熱や頭痛もなかったとのことですが、鼻茸のみの手術だったからでしょうか?
私は7年前に鼻中隔湾曲症の手術をし、1週間の入院で、毎朝のガーゼの取り換えが地獄でした。
もう二度と手術はしたくないと思っていたので、成人してからの鼻茸を伴った悪化によりまた手術をしなくてはいけなくなってしまった事で、どうにかならないかと困っています。
サージセンターというところは日帰りや一泊二日の手術をしているらしいのですが、好酸球性副鼻腔炎の手術というのは特殊なものなのでしょうか?
もしアメリカの手術のほうが進んでいるのであれば、そっちで受けようかなどとも考えてしまいます。
確かにアメリカの方が進んでいる医療の分野も多いですが、副鼻腔の内視鏡手術については、手前味噌になりますが、慈恵医大は世界をリードして来た施設のひとつです。アメリカではフィラデルフィアのDr.ケネディが世界の先駆者のひとりです。
慈恵医大もフィラデルフィアも、毎年全国の耳鼻科の先生を対象に、副鼻腔手術の研修会を行っており、私も開業するまで、慈恵医大でインストラクターをさせてもらっていましたし、フィラデルフィアの研修会で、短い講演をさせてもらったこともあります。今では、日本でもアメリカでも、多くの施設で、しっかりした手術が行われていると思います。しかし、サージセンター(手術を中心に行っている開業医)の中には、そうでもない所もあるように聞きます。今は日本のどこの病院でも、入院期間はできるだけ短縮しようと務めていると思いますが、好酸球性副鼻腔炎は一般的に重症である事が多く、入院期間が長めになるとすれば、その必要がある場合と考えられます。
少なくとも、アメリカで手術を行うことは、現実的ではないように思います。手術をカバーする保険なしでは、天文学的な料金を請求されるでしょうし、総体的に見ると、副鼻腔手術については、日本の方がレベルが上です。
(アメリカの健康保険のシステムについては、詳細に調べてた訳ではなく、一般的な知識です。日本とアメリカの副鼻腔手術の比較については、向こうの手術のビデオをたくさん見せてもらっていますが、それほど間違っていないと思います)
実は、つい先日慈恵医大へ行ってきました。
やはり手術が必要と言われました。
しかし予約がいっぱいで早くて8月末になるとのことで、それまでの間はステロイドでしのいでいこうと考えています。
そして、その間にもし手術以外での治療方法が見つかれば、手術はしないに越したことはないのですが…。
ちなみに脱感作に興味があり、相模原の病院でやってらっしゃるという事ですが、手術をしないといけない程の重度の状態から脱感作を受けてもあまり意味はないのでしょうか?
リスクと、アスピリンを飲み続けなければいけないことを考えると、アスピリン脱感作が必要な方は、病気で長期間鎮痛剤を服用しなければならない方を除けば、少ないようにも思えます。
また、このブログにも書きましたように、相模原病院でさえ、一般的には行っていないようです。
それは、喘息がない好酸球性副鼻腔炎でもアスピリン系の薬を飲むとじんましんが出る場合でもでしょうか?