いま、急拡大するオレンジジュースの自動販売機。関西でも今年4月以降には1日1台のペースで増えています。 大阪府枚方市のくずはモールに今年3月に設置された「IJOOZ(アイジュース)」のオレンジ生絞り自動販売機。多い時で1日460杯、関西で1、2を争う売り上げを誇ります。1杯280mlで350円。オレンジの個数は果汁の量によって決まり、だいたい3~4個。約45秒で蓋が付いた状態で出てきます。砂糖や水を一切加えていないというその味を、MBS山中真アナウンサーが実際に飲んでみました。 (山中アナ)「めっちゃおいしい。果汁感がすごい。粒がちょっと残っていますし、中の薄皮とか全く入っていなくて、苦味はない。冷たくておいしい」 飲んだお客さんの反応は? 「普通のオレンジジュースよりオレンジって感じがする」 「最初値段びっくりするけど、飲んだらおいしいから、カフェで飲むよりいいかなって。手ごろやし」 去年4月に初めて日本国内に設置されてから、わずか1年2か月で454台(6月4日時点)に急拡大しているというこの自販機。たった1日で12万個のオレンジを消費する日もあるといいます。 設置場所は商業施設だけでなく駅や銭湯などにも。“オレンジ不足”で大手メーカーが次々と値上げしたり販売を休止したりする中、なぜこれほど大量のオレンジを確保できているのでしょうか?IJOOZの担当者に聞いてみました。 (IJOOZ 高野美咲さん)「一番たくさん作っているブラジルで洪水被害などがありまして、世界的に不足していると言われております。ただ弊社は契約農場をアメリカとオーストラリアに持っております。何かありましても北半球(アメリカ)・南半球(オーストラリア)でリスクヘッジをしつつ、順次契約農場を増やしていっているので、大丈夫でございます」 実はIJOOZはシンガポールの会社。シンガポール国内では国民の8割が飲んだことがあるという有名な会社なのだそうです。そのノウハウを生かして、1つの国や農場から大量に仕入れるのではなく、同じ地域でも複数の農場と契約することで、無農薬にこだわったオレンジを安定的に確保できるといいます。 (IJOOZ 高野美咲さん)「(オレンジ高騰の影響は)弊社にはございません。逆に追い風でございます。世界的に不足していて、店頭でもオレンジの販売がないというところで、『ここで350円で買えるのであれば』というところでどんどん来ていただいております」 そしてオレンジ3~4個で350円という値段をキープできるのには、この会社ならではの理由があります。元々在庫管理のシステムを作るIT企業のため、リアルタイムで売り上げ・オレンジの個数・何杯売れているか・カップの個数・ストローの本数を把握。「いまどの販売機に補充が必要か」を瞬時に判断して、担当者を効率よく向かわせることで、人件費を抑えることができるのだといいます。しかもシンガポールでは、搾りかすの皮を、飼料や化粧品の原料として再利用しています。 とはいえ、たった1年でこれほど急拡大できた理由は他にも!実は場所を提供する側にもこんなメリットがあるといいます。 (くずはモール 青野愛未さん)「(Q儲かっている?)本当に予想以上に。実際に作っている過程が見られるところはエンターテインメント性もあって、お子さまやファミリーの方にも楽しんでいただいているので、そこは普通の自販機とは違うところかなと思います」 自販機を置くだけで人が集まり、ジュースの売り上げに応じて収入も見込める。この新しいビジネスモデルが急拡大の理由の一つになってるようです。 一方、オレンジ不足を追い風に事業拡大を狙う動きは京都でも。国産の柑橘類などを使ったジュースやスイーツを製造・販売する「日本果汁」では、以前に比べて、大手飲料メーカーなどから国産ミカン果汁への問い合わせが3倍に増えたといいます。そこで、国産の柑橘類商品を増産できるよう、去年新たな工場を作り、先週、見学会を行いました。 (日本果汁・代表取締役 河野聡さん)「大手メーカーも国内の原料に回帰するという動きもありますので、少しでも産地を知っていただいたり、日本においしい果物があるということを知っていただけたらありがたいなと思っています」 多い時で1日12万個のオレンジを絞るIJOOZもさらなる事業拡大を狙います。 (IJOOZ 高野美咲さん)「(関西では)テーマパークや遊園地に設置ができればと考えております。(Q目標は?)国内2万台を目指しております。普通のジュースの自販機と同じぐらいの台数までは提供していきたいと考えております」
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