藤巻和宏研究室

近畿大学文芸学部文学科日本文学専攻

【過去の担当授業】2019年度の授業

2019-04-01 | 過去の担当授業

2019年度・前期



古典と現代1
(文芸学部)
火曜2限 教室:A-306


■授業概要・方法等
 「古典」とはなにか? 現代とは切り離された時空にある、単なる懐古趣味の対象と考える人もいるかもしれない。しかし、それは大きな誤りである。古典、即ち「古い典籍」。文字どおり過去に記された書物のことであるが、一般的に過去の書物のすべてを「古典」と称することはなく、「価値のあるもの」「有益なもの」「規範とすべきもの」といったニュアンスが含意される。では、誰がそれらの価値判断をするのか? それは後世の人間である。つまり、現代において「古典」と言われているものは、すべて現代人の判断によっている。例えば教科書に『源氏物語』が載っている理由は、『源氏物語』それ自体の価値ではなく、現代人の判断に依拠する。このように、「古典」とは、きわめて「現代的」な存在である。
 この授業では、我々現代人が特定の書物を「古典」として扱う際に生ずる種々の問題について、特に「教育」「政治」「宗教」という観点から考えてみたい。
■学習・教育目標及び到達目標
 大学で「古典」を扱う際の前提として、なぜそれらが「古典」と認識されているのかという問題を自覚する。自明のものとして見過ごされがちな「古典」という概念に疑問を持ち、様々な視点から考察できるようにする。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
ミニッツペーパー50% レポート50%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
プリント
■参考文献
[ISBN]9784061498716 『読み替えられた日本神話』(斎藤英喜、講談社)
[ISBN]9784103110118 『記憶の中の源氏物語』(三田村雅子、新潮社)
[ISBN]9784140912065 『『平家物語』の再誕―創られた国民叙事詩―』(大津雄一、NHKブックス)
■関連科目 日本文学史1
■授業評価アンケート実施方法
文芸学部が定めるとおり、半期に1回行います。
■授業計画の項目・内容
予習・復習内容および時間は教員が指示するものではなく、学生自身が判断するものと考える。各自、納得のゆくまで予習・復習をして授業に臨むこと。
第1回 「古典と現代」というテーマの示すもの
第2回 教科書の古典はつまらない―教科書検定の功罪―
第3回 原文から遠く離れて―注釈と現代語訳―
第4回 古典享受の諸相―源氏物語とメディア―
第5回 古典享受の諸相―今昔物語集の近代―
第6回 古典享受の諸相―平家物語と戦争―
第7回 変革期の古典―震災・戦争と方丈記―
第8回 変革期の古典―東日本大震災後の文学と学問―
第9回 神話の政治性―記紀神話の再生産と変容―
第10回 神話の政治性―神道国教化と神話の利用―
第11回 神話の政治性―近代天皇制と国家神道―
第12回 神話の政治性―近代政治と神話―
第13回 近代国家と古典―古典による歴史の創造―
第14回 近代国家と古典―近代国家を支える古典―
第15回 総括



基礎ゼミ(文芸学部)
火曜3限 教室:A-313


■授業概要・方法等
 大学における学問への取り組み方、および、その広さと楽しさを実感し、これからの学習の基礎的な手法を身に付けるための演習形式の授業である。
 受講生は、まず「本」を一冊選ぶ。現代小説でも、古典文学でも、学術書でも、なんでもよい。ただ、無限の選択肢のなかからひとつを選ぶという作業は容易ではないので、学生個々の興味関心等を確認しつつ、教員から適宜アドバイスをする。一冊を選んだら、各自その本について発表してもらうことになるが、単に「本を読んだ感想」を述べるのではなく、本の作者や書誌情報、そして先行研究を調べることが必須となる。その本がこれまでにどのように評価されてきたのか、どのような問題点が挙げられてきたのか、どのようなことが課題となっているか……ということを調べ、それを発表し、受講生全員で議論する。そして、この調査・発表・議論という手順を通して得た知見を文章化し、最終レポートとして提出してもらう。こうした作業を経ることで、大学における学問への取り組み方の基礎を身に付けることができるであろう。
■学習・教育目標及び到達目標
あらかじめ範囲の定められたことを学習するのではなく、自ら考えてテーマを設定し、それについて調べるという能力を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業評価アンケート実施方法
文芸学部が定めるとおり、半期に1回行います。
■授業計画の項目・内容
第1回 ガイダンス
第2回 発表分担の決定
第3回 図書館案内
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 レポート作成の経過報告
第14回 レポート作成の経過報告
第15回 総括



古典散文特論1A(総合文化研究科)
水曜1限 教室:研究室


■授業概要・方法等
 本講義では寺社縁起を扱う。寺社縁起の起こりは、律令制下において諸寺が朝廷に提出した資財帳(財産目録)に付加された寺院の由来である。後にここから独立し、十世紀頃から寺社の仏神や開創者の権威を誇示し信者を獲得するため多彩に展開していった。中世には霊験譚等、種々のエピソードが加わり長文化し、また、絵巻化されるものもあった。寺社参詣が庶民層にも拡大していった近世になると、長く複雑な内容を避けるべく、それを略述・再構成した内容の略縁起が作られ、その系譜は現代の寺社のパンフレットに引き継がれている。
 前期は、まず寺社縁起の研究史を整理した上で、長谷寺縁起を事例として採り上げ、その再生産と変容の様相を古代から近代まで辿ってゆく。
■学習・教育目標及び到達目標
古典文学研究の基礎的作法を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■教科書
なし
■参考文献
『日本思想大系 寺社縁起』(岩波書店)
『長谷寺史の研究』(逵日出典、巌南堂書店)
[ISBN]4916087593 『寺社縁起の文化学』(堤邦彦・徳田和夫編、森話社)
■授業計画の項目・内容
第1回 寺社縁起とは
第2回 寺社縁起研究史
第3回 長谷寺概説
第4回 長谷寺縁起概説
第5回 長谷寺縁起概説
第6回 長谷寺縁起研究史
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 発表とディスカッション
第14回 発表とディスカッション
第15回 総括



演習A(総合文化研究科)
水曜2限 教室:研究室



日本文学史1(文芸学部)
木曜2限 教室:A-301(G602から変更)


■授業概要・方法等
 「日本文学史1」では、古典文学史、つまり近代以前の文学史を扱う。
 「文学史」というと、作家や作品の名前を時代順に並べて年表形式にした、試験の前に暗記するだけの退屈なものというイメージを抱くかもしれない。何年に誰々が何々という作品を書いたという“事実”を並べる、きわめて客観性の高いものであると考える人もいるだろう。しかし、それは大きな誤解である。
 歴史叙述とは無色透明なものではない。どんなに客観的に見えても、事項の取捨選択がおこなわれているため、叙述者の主観を排除することはできない。「文学史」にしても同様で、『万葉集』や『源氏物語』等々の作品名を並べてゆく作業は、これらが“重要”で“有名”な作品であるという、後世の少数者の認識に基づくものであり、同時代の誰もが同じ評価をしていたわけではない。むしろ、そういった少数者による“評価”だけが独り歩きして、作品不在のまま再生産されてゆくことのほうが多いだろう。また、そもそも「文学」という概念は近代に成立したものであるのに、近代以前の『万葉集』や『源氏物語』等を「文学」と認識し、文学でないものと区別すること自体、非常に不合理なことである。
 本講義では、こういった視点から「古典文学史」を検討することをとおし、「古典」や「日本」に限らず、広く「文学」とはいかなる営為であるのかということについて考えてゆきたい。
■学習・教育目標及び到達目標
 古典文学を学習・研究の対象とする際に必須の様々な知識・手法・理論を身に付ける。自明のものとされがちな「古典」「文学」という概念に疑問を持ち、様々な視点から考察できるようにする。「文学」を「学問」として学ぶことの意味を理解できるようにする。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
ミニッツペーパー45% 定期試験55%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
プリント
■参考文献
[ISBN]9784788506695 『創造された古典―カノン形成・国民国家・日本文学』(ハルオ・シラネほか編、新曜社)
[ISBN]9784861822612 『「日本文学」の成立』(鈴木貞美、作品社)
[ISBN]9784585220992 『近代学問の起源と編成』(井田太郎・藤巻和宏編、勉誠出版)
笠間書院『リポート笠間』61号(特集=理想の『日本文学史』)
■関連科目 古典と現代1
■授業評価アンケート実施方法
文芸学部が定めるとおり、半期に1回行います。
■授業計画の項目・内容
予習・復習内容および時間は教員が指示するものではなく、学生自身が判断するものと考える。各自、納得のゆくまで予習・復習をして授業に臨むこと。
第1回 そもそも「文学」とは何か?
第2回 そもそも「文学」とは何か?
第3回 時代を「区分」することの意味
第4回 「文学史」の諸相
第5回 「文学史」の諸相
第6回 創られた「時代」イメージ・上代
第7回 創られた「時代」イメージ・中古
第8回 創られた「時代」イメージ・中世
第9回 創られた「時代」イメージ・近世
第10回 「文献学」の方法と目的
第11回 「文献学」の方法と目的
第12回 近代国家と「古典」
第13回 近代国家と「古典」
第14回 「古典文学史」の可能性
第15回 総括
定期試験 持ち込み不可。内容は論述。



言語・文学演習IIA(文芸学部)
木曜4限 教室:日本文学専攻共同研究室


■授業概要・方法等
 卒業論文テーマの検討と設定、それに基づく資料の収集、中間発表とディスカッションをおこない、卒業論文作成の準備を進める。対象とする時代は上代・中古・中世前期(奈良・平安・鎌倉)、ジャンルは神話・物語・説話・軍記・宗教文学・思想史…等を中心とするが、それ以外の時代・ジャンルも相談に応ずる。
■学習・教育目標および到達目標
 卒業論文作成へ向けて入念な準備を進める。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)100%
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
言語・文学演習IIB
■授業計画の項目・内容
第1回 ガイダンス、中途原稿(4000字)提出
第2回 各自の題材選定とアドバイス
第3回 各自の題材選定とアドバイス
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 発表とディスカッション
第14回 発表とディスカッション
第15回 総括、中途原稿(6000字)提出



言語・文学演習IA(文芸学部)
木曜5限 教室:日本文学専攻共同研究室


■授業概要・方法等
 中古・中世文学を中心とした演習。前期は『伊勢物語』を採り上げ、それを中世の古注釈書を援用して読解する。
  『伊勢物語』は平安時代初期に成立した歌物語で、誰もが知る有名作品でありながら、作者や成立経緯、書名の由来等については諸説あって、いまだ未解決の問題が多い。内容は、在原業平を連想させる主人公を中心とした短編約125段から成る(諸本によって相違あり)。この中から任意の一段を選び、出典・類話・時代背景・解釈といった基本的な問題についての先行研究を調べ、さらに『和歌知顕集』や『伊勢物語愚見抄』等々の古注釈書から中世における解釈・再解釈の様相を探る。このような観点で調べたことをまとめ、発表し、議論することにより、古典の読解、思想的・社会的背景の把握、問題の発掘やプレゼンの技法…等々を身に付けることを目的としている。
■学習・教育目標および到達目標
 自分でテーマを設定し、調べてまとめる力を身に付ける。卒業論文を書くための基礎力を付ける。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
言語・文学演習IB
■授業計画の項目・内容
第1回 ガイダンス
第2回 各自の題材選定とアドバイス
第3回 各自の題材選定とアドバイス
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 発表とディスカッション
第14回 発表とディスカッション
第15回 総括



学外出講



中古中世国文学特殊研究B(奈良女子大学 文学部言語文化科)
言語文化基層論特論(奈良女子大学大学院 博士前期課程 言語文化学専攻)
水曜5限(9・10時限) 教室:N201


■授業概要
寺社の起源を語る言説、即ち寺社縁起を扱う。寺社縁起の起こりは、律令制下において諸寺が朝廷に提出した資財帳(財産目録)に付加された寺院の由来である。後にここから独立し、十世紀頃から寺社の仏神や開創者の権威を誇示し信者を獲得するため多彩に展開していった。中世には霊験譚等、種々のエピソードが加わり長文化し、また、絵巻化されるものもあった。寺社参詣が庶民層にも拡大していった近世になると、長く複雑な内容を避けるべく、それを略述・再構成した内容の略縁起が作られ、その系譜は現代の寺社のパンフレットに引き継がれている。本講義では、東大寺や長谷寺、室生寺、高野山等の縁起を採り上げ、その再生産と変容の様相を具体的に見てゆくとともに、縁起の機能と定義についても考えてみたい。
■学習・教育目標
縁起とは、〈聖なる力〉がそこを〈聖なる場〉へと変容させた経緯を叙述することにより、外部に対してその権威・聖性を主張する言説でもある。単に寺社の起源や歴史を語るだけでなく、縁起にはこうした機能が備わっている。こうした観点から寺社縁起を読み解くことにより、〈聖地〉が成立するメカニズムを考察し、それを通して広く言語と信仰の持つ力について学習する。
■キーワード
寺社縁起、聖地、参詣、巡礼、霊験、神仏習合
■授業計画
第1回 寺社縁起とは
【事前学習】縁起という言葉の意味や用例を調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第2回 神仏習合と中世
【事前学習】神仏習合という現象について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第3回 『今昔物語集』に見る寺社縁起
【事前学習】『今昔物語集』巻第十一を読む
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第4回 古代の長谷寺縁起
【事前学習】長谷寺について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第5回 中世の長谷寺縁起
【事前学習】中世の長谷寺について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第6回 近世・近代の長谷寺縁起
【事前学習】近世以降の長谷寺について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第7回 東大寺縁起概要
【事前学習】東大寺について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第8回 東大寺縁起と東大寺四聖
【事前学習】東大寺四聖について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第9回 東大寺縁起の比較文化論
【事前学習】「鷲の捨て子」譚について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第10回 室生寺縁起と如意宝珠
【事前学習】室生寺について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第11回 空海の遺言
【事前学習】空海について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第12回 高野山縁起の諸相
【事前学習】高野山について調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第13回 縁起と参詣
【事前学習】参詣と巡礼の意味や用例を調べる
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第14回 縁起の機能と定義
【事前学習】縁起の持つ機能について考える
【事後学習】引用資料、参考文献を読む
第15回 縁起研究の射程
【事前学習】縁起研究の範囲について考える
【事後学習】これまでの総括をする 
■教科書
プリントを配布する
■参考書
1.  『聖なる珠の物語――空海・聖地・如意宝珠』   藤巻和宏   平凡社   2017年   9784582364507  
2.  『聖地と聖人の東西――起源はいかに語られるか』   藤巻和宏編   勉誠出版   2011年   9784585210078  
3.  『寺社縁起の文化学』   堤邦彦・徳田和夫編   森話社   2005年   9784916087591
■成績評価の方法
授業への参加度とレポートにより評価する。
(言語文化表象論特論)なお、本科目は学部との共通開講科目であるが、大学院生にはより深い理解と主体的・能動的な学習を求める。
■成績評価割合
宿題・授業外レポート50% 授業態度・授業への参加度50%



2019年度・後期



フィールド・ワーク(文芸学部)
火曜2限 教室:A-205
担当教員:佐藤秀明・井田太郎・藤巻和宏


■授業概要・方法等
 大阪編・京都編・奈良編の3部構成。それぞれの地域に関わる4回の講義と、それを踏まえた実地踏査を、3人の教員が順番に担当する。
 ただし、実地踏査をおこなう5・10・15週目は、通常授業日ではなく、その前後の土日祝日等に振り替えることになる。
 3回の実地踏査のうち最低1回に参加し、レポートを提出すること。
■学習・教育目標及び到達目標
 文学テクストを読んだうえで、その背景となった場所を踏査し、知識や観念や文字だけでなく地勢や空気の実感を取り入れた文学世界を言語化する。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
レポート35% ミニッツペーパー30% 実地踏査35%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
原則としてプリント使用。
ただし佐藤担当講義は[ISBN]9784003118528 『夫婦善哉 正続 他十二篇(岩波文庫)』(織田作之助、岩波書店)を使用。
井田担当講義は、ユニパを通じてPDFでプリントを配布する。各自印刷し、持参されたい。
■参考文献
大阪編[ISBN]9784806041214 『織田作之助 : 生き、愛し、書いた。』(大谷晃一、沖積舎)
大阪編[ISBN]9784062178129 『大阪アースダイバー』(中沢新一、講談社)
京都編[ISBN]9784000080149 『標注洛中洛外屏風 : 上杉本』(岡見正雄、岩波書店)
奈良編[ISBN]9784004308416 『奈良の寺 : 世界遺産を歩く(岩波新書)』(奈良文化財研究所、岩波書店)
■関連科目
なし。
■授業計画の項目・内容
第1回 大阪編1(佐藤) 大阪の地勢
 予習内容:教科書に指定された織田作之助『夫婦善哉 正続他十二編』の「木の都」を読む。(60分)
 復習内容:配布した地図をもとに、大阪の地形を頭に入れる。(60分)
第2回 大阪編2(佐藤) 織田作之助作の描いた道頓堀界隈
 予習内容:「木の都」を読み、地名や場所を記した個所にマーカーで印をつける。(60分)
 復習内容:昭和戦前戦中期の道頓堀界隈について復習をし、知識を吸収する。(60分)
第3回 大阪編3(佐藤) 織田作之助の描いた生玉神社と四天王寺
 予習内容:織田作之助「夫婦善哉」を読む。(60分)
 復習内容:「夫婦善哉」の地誌について、地図をもとに整理する。(60分)
第4回 大阪編4(佐藤) 俊徳丸伝説
 予習内容:織田作之助「放浪」を読む。(60分)
 復習内容:「放浪」の狙いをまとめる。(60分)
第5回 大阪編5(佐藤) 実地踏査(四天王寺、口縄坂、生玉神社、高津神社)
 予習内容:実地踏査のコースを、調べておく。(60分)
 復習内容:実地踏査した場所と文学作品との接点をまとめる。(60分)
第6回 京都編1(井田) 洛中洛外図を読む(前編)―ことばとかたち―
 予習内容:洛中洛外図について調べる(60分)
 復習内容:洛中洛外図について整理する(60分)
第7回 京都編2(井田) 洛中洛外図を読む(後編)―都の風俗と詩歌―
 予習内容:京都がどう詠まれたか調べる(60分)
 復習内容:京都の景観と詩歌の関連をまとめる(60分)
第8回 京都編3(井田)東山というトポス―清水寺・八坂の塔―
 予習内容:東山について調べてくる(60分)
 復習内容:東山についてまとめる(60分)
第9回 京都編4(井田)京都と江戸―三都論の中の京都―
 予習内容:京都と江戸のちがいを考えてくる(60分)
 復習内容:ちがいについて整理する(60分)
第10回 京都編5(井田)実地踏査(八坂神社、祇園、八坂の塔、清水寺)
 予習内容:地図を頭に入れ、なにを調べるか考えてくる(60分)
 復習内容:実地踏査した成果をまとめる(60分)
第11回 奈良編1(藤巻) 南都(奈良)巡礼記の世界
第12回 奈良編2(藤巻) 古代・中世の東大寺
第13回 奈良編3(藤巻) 古代・中世の興福寺
第14回 奈良編4(藤巻) 古代・中世の春日大社
第15回 奈良編5(藤巻) 実地踏査(東大寺、興福寺、春日大社)



中世の思想と表現(文芸学部)
火曜2限 教室:A-205


■授業概要・方法等
 日本の中世とは、一般的には鎌倉・室町時代を指すが、例えば平安末期も中世に含める等、時代認識の方法により若干の誤差がある。この中世という時代を扱うには、「顕密体制」と「神仏習合」という概念への理解が不可欠である。
 本講義では、これらの意味と学説史をわかりやすく解説し、その理解の上に、中世という時代の特質が刻印された文芸表現の世界を探ってゆく。
■学習・教育目標及び到達目標
 中世という時代の特質を理解し、文学を中世の社会・文化との相関関係の中で捉えることを可能とする。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
ミニッツペーパー50% レポート50%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
プリント
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業評価アンケート実施方法
文芸学部が定めるとおり、半期に1回行います。
■授業計画の項目・内容
予習・復習内容および時間は教員が指示するものではなく、学生自身が判断するものと考える。各自、納得のゆくまで予習・復習をして授業に臨むこと。
第1回 中世という時代を考えるために―時代区分と〈中世〉認識―
第2回 中世という時代を考えるために―顕密体制と神仏習合―
第3回 御霊信仰と物の怪―「霊」「鬼」の認識―
第4回 御霊信仰と物の怪―御霊の成立と展開―
第5回 狂言綺語をめぐる言説―紫式部は地獄に堕ちた?―
第6回 寺社縁起の世界―縁起・寺社縁起とは―
第7回 寺社縁起の世界―縁起研究の範囲と展望―
第8回 中世神話と本地物語―中世日本紀と中世神話―
第9回 中世神話と本地物語―読み換えられる『日本書紀』―
第10回 中世神話と本地物語―注釈から本地物語へ―
第11回 偽書と未来記―偽書の諸相―
第12回 偽書と未来記―未来記という偽書―
第13回 キリシタン文学の世界―キリシタン文学・語学の諸相―
第14回 キリシタン文学の世界―宣教師の見た日本―
第15回 総括



演習B(総合文化研究科)
水曜2限 教室:研究室



古典散文特論1B(総合文化研究科)
水曜3限 教室:研究室

■授業概要・方法等
 本講義では寺社縁起を扱う。寺社縁起の起こりは、律令制下において諸寺が朝廷に提出した資財帳(財産目録)に付加された寺院の由来である。後にここから独立し、十世紀頃から寺社の仏神や開創者の権威を誇示し信者を獲得するため多彩に展開していった。中世には霊験譚等、種々のエピソードが加わり長文化し、また、絵巻化されるものもあった。寺社参詣が庶民層にも拡大していった近世になると、長く複雑な内容を避けるべく、それを略述・再構成した内容の略縁起が作られ、その系譜は現代の寺社のパンフレットに引き継がれている。
 後期は東大寺縁起を事例として採り上げ、絵巻の『東大寺大仏縁起』を中心に、東大寺創建をめぐる言説の生成・展開の様相を探る。そして前期と後期の総括として、「縁起」の機能や研究射程についても考えてみたい。
■学習・教育目標及び到達目標
古典文学研究の基礎的作法を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■教科書
なし
■参考文献
小山正文・小島惠昭・渡邉信和「共同研究―『東大寺縁起絵詞』の研究―」(『同朋学園仏教文化研究所紀要』9)
『続々日本絵巻大成 伝記・縁起篇 東大寺大仏縁起 二月堂縁起』(中央公論社)
[ISBN]4653034788 『古文書集〈1〉(真福寺善本叢刊)』(臨川書店)
■授業計画の項目・内容
第1回 前期成果の確認
第2回 発表とディスカッション
第3回 発表とディスカッション
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 発表とディスカッション
第14回 発表とディスカッション
第15回 総括
 



アカデミック・ライティング(文芸学部)
水曜4限 教室:研究室(A-206から変更)


■授業概要・方法等
 3年次から言語・文学演習(ゼミ)に所属することになるが、その前段階として、学術的な文章の書き方を身に付けるための授業である。
 言語・文学コースの専任教員6人の専門分野は、おおまかに分けると古典文学(井田、藤巻)、近代文学(大澤、佐藤)、日本語学(大田垣、深澤)であるが、この授業は、担当者それぞれの専門分野を扱うものではなく、あくまで学術的な文章の書き方の指導を中心とする。題材として、それぞれの教員自身の、あるいは当該分野の論文を読ませることになるが、この授業では取り扱う論文の内容よりも形式に注目してほしい。
 研究者の書く学術論文を“読む”ことで、論文というものがどのように構成され、何を目指しているのかを知ってもらう。そしてまた、読むこと自体が、論文を“書く”ための必須作業でもある。まずは担当教員の指定する論文を読んで学術論文というものの性質を知り、また、それを起点として先行研究を調べ、まとめる。そして当該テーマについての研究の可能性を見きわめ、自ら問題提起をし、それに対する答えを導き出す。そういった作業を通して、演習で学ぶための土台となる学問への取り組み方を身に付けてほしい。
 なお、この授業は3年次から所属する演習に直結するものではないので、演習決定の際には、改めて自身が希望する分野を扱う教員の演習を選ぶことになる。
■学習・教育目標及び到達目標
 学術的な文章を書くための基礎的な知識や手法を身に付ける。学術論文の探し方や読み方を身に付ける。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業計画の項目・内容
第1回 ガイダンス
第2回 学術論文を読む
第3回 先行研究を調べる
第4回 先行研究を調べる
第5回 発表―先行研究をまとめる
第6回 発表―先行研究をまとめる
第7回 発表―先行研究をまとめる
第8回 先行研究の問題点の整理
第9回 発表―研究テーマの発見
第10回 発表―研究テーマの発見
第11回 発表―研究テーマの発見
第12回 研究テーマの整理
第13回 発表―最終報告
第14回 発表―最終報告―
第15回 レポートの提出と講評

 



専門基礎研究(文芸学部)
木曜2限 教室:A-大学院演習室4

■授業概要・方法等
 前期の基礎ゼミで、大学における学習の前提となる基礎的な手法を身に付けたと思う。専門基礎研究では、それをさらに発展させ、日本語・日本文学を専門的に学ぶための知識と手法を自分のものとするため、特定のテーマを題材として演習を展開してゆく。
 まずは各自の興味と関心を確認したうえで、こちらでいくつかのテーマを用意する。例えば「文学と映像との関わり」「古典を題材とした二次創作」「国語教育の政治性」等々、言語・文学コースの学生の関心と合致するであろうテーマを複数提示したい。受講生は、そのなから選んだテーマを掘り下げ、より具体的な問題に絞り、関連資料を調べ、まとめ、発表し、そして議論する。議論には全員が積極的に参加すること。その成果は、最終的にレポートとしてまとめ、提出してもらうことになる。
■学習・教育目標及び到達目標
日本語・日本文学を専門的に学ぶ際に必要となる基礎的な知識と手法を身に付ける。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■試験・課題に対するフィードバック方法
授業中に適宜解説する。
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■授業評価アンケート実施方法
文芸学部が定めるとおり、半期に1回行います。
■授業計画の項目・内容
第1回 ガイダンス
第2回 題材選定のためのディスカッション
第3回 題材選定のためのディスカッション
第4回 図書館データベース講習
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 レポート作成の経過報告
第14回 レポート作成の経過報告
第15回 総括



言語・文学演習IIB(文芸学部)
木曜4限 教室:日本文学専攻共同研究室


■授業概要・方法等
 前期の成果に基づき、テーマの再検討、資料の収集・補充、中間発表とディスカッションをおこない、卒業論文を完成させる。規定の字数は20000字以上であり、この字数に達していないものは受理しない。提出後には、卒業論文発表会を通し、文章力・構成力・独自性・学術的な信憑性等を評価する。
■学習・教育目標及び到達目標
 卒業論文を完成させる。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)100%
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
言語・文学演習IIA
■授業計画の項目・内容
第1回 卒業論文計画書の確認とディスカッション、中途原稿(8000字)提出
第2回 卒業論文計画書の確認とディスカッション
第3回 目次・概要の発表とディスカッション
第4回 目次・概要の発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション、中途原稿(12000字)提出
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 卒業論文の提出
第12回 卒業論文の発表
第13回 卒業論文の発表
第14回 卒業論文の口頭試問
第15回 卒業論文の口頭試問



言語・文学演習IB(文芸学部)
木曜5限 教室:日本文学専攻共同研究室

■授業概要・方法等
 主たるテーマは、“古典の享受”である。
 前期の『伊勢物語』読解の成果を踏まえつつ、『伊勢物語』以外のテクストにも目を向け、古典とみなされた作品が後の時代にどのように享受され、解釈・再解釈されていたのかということを、影響、注釈、二次創作、絵画化…等々、種々の側面から考察する。例えば、『日本書紀』を神仏習合理論で再解釈した中世神話、『古今和歌集』の注釈に利用された種々の説話、『伊勢物語』の絵巻作成やパロディ化、『源氏物語』を題材とした近現代の小説・漫画・映画…等々、題材は多岐にわたる。これらの中から自由に題材を選び、古典享受の手法や背景について調べたことを発表し、議論する。そして、この作業を通して卒業論文に繋がるテーマを見付け、最終的にレポートとしてまとめる。
■学習・教育目標及び到達目標
 自分でテーマを設定し、調べてまとめる力を身に付ける。卒業論文を書くための基礎力を付ける。
 なお、この科目の修得は、本学科の定めるディプロマポリシー1、2、3、4の達成に関与している。
■成績評価方法および基準
授業への取り組み(発言、発表)60% レポート40%
■教科書
なし
■参考文献
授業中にそのつど紹介する。
■関連科目
言語・文学演習IA
■授業計画の項目・内容
第1回 前期の成果確認と後期の展望
第2回 各自のテーマ選定とアドバイス
第3回 各自のテーマ選定とアドバイス
第4回 発表とディスカッション
第5回 発表とディスカッション
第6回 発表とディスカッション
第7回 発表とディスカッション
第8回 発表とディスカッション
第9回 発表とディスカッション
第10回 発表とディスカッション
第11回 発表とディスカッション
第12回 発表とディスカッション
第13回 卒業論文計画の発表
第14回 卒業論文計画の発表、計画書(2000字)提出
第15回 総括

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