採集生活

お菓子作り、ジャム作り、料理などについての記録

台湾2019.3:台南市美術館二館

2019-04-17 | +海外

台中のオペラハウスに行ってみて、(よく分からないなりにも)現代建築も見ておく価値はあるなーと思ったのでした。
(観光客ならば、「これが我々の血税××億円分か。。。だったらそのお金は○○に・・・」などという苦い思いはなくて、「わーすごー」とか「えー、へんー」とか勝手に思っていればいいですしね。)

 台南にも、最近できた現代建築が。
台南市美術館ニ館(2号館)です。日本人の建築家、坂茂(ばん・しげる)氏の設計。

板茂氏は、紙管を使った建築物(教会、仮設住宅、災害時避難所のパーティション)で知っていた方でした。
(勿論通常の立派な建造物も作っています)
以前TEDの講演を聞いて、印象深く、機会があれば作品を見てみたいと思っていた建築家です。

この日は大変な暑さで迷いましたが、ネットで調べたら、まだ開館記念無料公開期間中でした。
無料なら行ってみるかな! 
という訳で、タクシーで向かいました。

台南市美術館二館

到着。
どこが正面入り口かはよく分かりませんが、周囲一帯はしらじらとしたコンクリートで、日影がないです。
上の方にちらっと見えますが、巨大な五角形のガラス屋根がかぶさっているデザインです。
(この屋根を、ここのタタキのところまで広げてほしかった・・・日影が欲しい・・)


台南市美術館二館

上からも下からも紫外線地獄。モニュメントとか見てる場合ではないです(鏡面素材だし)。
早速館内へ!

台南市美術館二館

館内は涼しい・・・。
壁と天井はほぼ白。床はコンクリートを磨いたような感じでした。
いくつかのギャラリーがとびとびに配置されています。

台南市美術館二館

平面図はこんな感じ。
方向音痴の私には、「この地図見せられても無理!」という複雑な形状ですが、なんとなく時計回りに回っていくとすべてのギャラリーが回れるようになっています(よく出来てます)。
ランダムにジグザグしているようですが、基本のモチーフは五角形。
台南市の花、鳳凰花(ハイビスカスをスカスカにしたような花)をモチーフにしているとのこと。


台南市美術館二館

ギャラリーは、広さや天井の高さ、壁の色が、それぞれ違っています。この部屋は、天井がとっても高いもの。
ここの壁は青ですが、赤い部屋もありました。


台南市美術館二館

無料公開期間は、台南市にゆかりのあるアーティストの作品、書などを展示していたようです。
このハトが素敵でした。


台南市美術館二館

吹き抜け部分。ここにエレベーターシャフトがあります。


台南市美術館二館

カウンターがあるこの壁面は、(おそらく)天然石です。(クリックすると拡大します)
大きな石材の塊をスライスして石のタイルをつくり、それを、(もともとの模様を生かしつつ)ロールシャッハ模様のように配置してあります。
あっさりした白い内装のなかで、ここだけは天然石。
結構お金がかかっているのではないかと思いますが、白とグレーの材料を使うことで目立ちすぎないようになっています。
(実物は、この写真よりしっかり迫力があって目を惹きますが)
目立たないものにお金がかかっている、というのが日本的かも、と思いました(実は台湾発注側のリクエストかもしれませんけれど)。


台南市美術館二館

五角形のパイプ組の中に、四角いガラスエレベーターが入っています。

台南市美術館二館

エスカレーターもあり、外観は館内の雰囲気に合わせて白いです。


台南市美術館二館

最上階までくると、この美術館全体にかぶさっている五角形のガラス屋根が見えてきます。
ここはちょっと高級なレストラン。
オープンしてまだ間もないようで、開店祝いに飾りつけた花がまだ飾ってありました。
(この花も綺麗だったのでまた後日記事にしたいと思います)



台南市美術館二館

屋根の中心部。
五角形の構造が分かります。

台南の暑さでガラス屋根!?と最初思いましたが、模様みたいに見える何か(金属?フィルム?)があるためか、ガラス素材がハイテクなのか、直射日光でじりじり、ということはないです。


台南市美術館二館

ミュージアムショップも、白を基調としたデザイン。



真っ白で広々、天井も高くてスカ~っとした空間でした。
でも壁は垂直だし、展示会にあわせて飾りつけたりなどもしやすそうです。
今後、どんな風に使われていくか、台南に行ったら、確認してみたいと思っています。


たまたまかもしれませんが、台中オペラハウスも、台南市美術館も、内装がとてもとてもシンプルで、白い感じ。
コンペの他の作品はどんな感じだったのか、見てみたいです。

台湾の、ふた昔くらい前の建築(ホテルなど)や内装は、色つきの天然石をあちこちに使ったりなど、もっとずっとデコラティブでゴージャスな印象があります。(日本の同時代作品より、もっと豪華系。勝手な想像ですが、石を愛する国民性がある気がします)
そういうデコラティブからの反動で、いま、こういうスッキリ真っ白なのが好まれているのかな。
色をなくして、構図・構造の妙を楽しむ、みたいな。
オペラハウスや美術館のような非日常空間は特に、住宅、マンション、ホテルなどの住空間とは全く違うテイストが採用されるのかも。

あと何十年か後になると、また別の流行が来るのでしょうか。
再びデコラティブ系が流行ったりしたら面白いなあ。
金ぴかで天使やら花綱の立体があちこちにモコモコしているロココ調(?)とか、もう来ないのかなあ。
(実はダンナサマの趣味がゴージャス系ということが最近判明! もはや我が家には全然あわなくて可哀想・・・。)

■参考情報
台南在住の方のブログによる
 建築前の更地の状態と完成イメージ図
 建築開始~1年目の追跡レポート
 建築2年目の追跡レポート


坂茂氏のTEDでの講演
建築家は人助けもしなければ 社会の役にも立っていないのに 特権階級の人たちや お金持ちや 政府や開発業者の為に 働いている」という言葉が印象的です。

JIA25年賞
JIA(日本建築家協会)が日本の建築物のなかから、「25年以上の長きにわたり、建築の存在価値を発揮し、美しく維持され、地域社会に貢献してきた建築」を登録・顕彰したもの。
「建築が未来に向けて生き続けていくために、多様化する社会の中で建築が果たすべき役割を確認するとともに、次世代につながる建築のあり方を提示することが目的」。
個人宅、ビル、公共施設、会社施設などいろいろ。知っているものもいくつか。

長くきちんと使われて、地域に溶け込むというのは重要なことだと思います。(その建築物だけの力では変えられない再開発など外的要因もあるかと思いますが)
誰がデザインした、とかそういうことはすっかり忘れられてしまった後に、普段そこを使っている人、通りがかるひとの50人に1人くらいがふと、「ああ、この建物ってなんか綺麗だよなあ」と思うような、そんな建築っていいなあ、と思います。

写真が少なかったり、なかったりで、このサイトだけだとよく分からないものもありますが、名前で検索すると、他のサイト(建築ファンの個人ブログなど)より詳しいページに行けるかと思います。
2018年受賞の小国ドーム(熊本県阿蘇郡小国町の町民体育館)は、なんかカッコいい。
熊本県小国町の、しかも体育館に行くことなんてまずなさそうだけれど・・・。阿蘇観光のついでに・・?


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2 コメント

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Unknown (ono)
2019-04-18 16:08:26
もし紙管の建築家だったら坂茂かもしれないです。ばんと読むとは知りませんでした🐱
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ご指摘大感謝です (●onoさま~Fujika)
2019-04-25 11:18:03
恥ずかしい間違いのご指摘ありがとうございました。修正しました~。
私も最初なんと読むのかわかりませんでした。
せっかく読みがわかったので「ばんしげる」で変換すると、違う字が・・。変換ソフトもこの方のこと知らないみたいですね。ぷんすか。(と、ソフトのせいに)
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