本朝徒然噺

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お中元

2006年07月04日 | よもやまばなし
今日は7月に入って最初のお稽古日だったので、お月謝と一緒にお中元を持って行きました。
ここでちょっと、お中元について書いてみたいと思います。

■お中元を贈る時期

私が、東京に出てきて間もないころ驚いたことの一つが、お中元を贈る時期です。

西日本では、8月初旬から旧盆の8月15日までの間に贈るのが通例です。
一方、関東では新暦のお盆のところが多いため、7月初旬から7月15日までに贈るのが通例です。

大学生のころ所属していた能楽サークルで、部員一同から師匠にお中元やお歳暮を贈っていたのですが、1年生のときに先輩が準備されていたのを見て初めて、関東でのお中元の習慣について知りました。
こういうことは、教えてくれる人がいなければ知らないままになって、礼を欠いてしまうことになりますから、あのとき先輩に教わっておいてつくづくよかったと思います。
郷に入りては郷に従えと言いますが、お中元は贈る相手の土地の習慣に合わせなければいけませんから、余計に気を使います。

ちなみに関東では、7月15日を過ぎたら、立秋までの間は「暑中お見舞」「暑中お伺い」、立秋を過ぎたら「残暑お見舞」「残暑お伺い」として贈るのが一般的です。
西日本では、8月15日を過ぎたら「残暑お見舞」「残暑お伺い」として贈るのが一般的です。

■お中元を贈るときのマナー

・本来は直接渡すもの

本来は、相手のお宅へ直接うかがってお渡しすべきものですが、相手が遠方に住んでいる場合などは、そうもいきませんよね。
そんなときはもちろん配送で構わないのですが、いきなり品物だけ送りつけるのは失礼です。品物が相手のところへ届く前にハガキなどで挨拶状を送っておくのがマナー。挨拶状には、季節の挨拶や近況報告などをつづり、別便で「ご挨拶の品」を送った旨を記載しておくとよいでしょう。

・金券を贈るときは

最近は、お中元やお歳暮に商品券などの金券を贈る方も増えています。
結婚式の引き出物にカタログを贈るのと同様、相手の好きなように使ってもらえるので、便利ですよね。ただし、注意しておかなければならないこともあります。

金券は、現金と同じ。つまり、金券を贈るということは、現金を贈るのと同じことなのです。
お中元やお歳暮で、いきなり現金だけ渡すことを想定してみてください。それはちょっと失礼な感じがしますよね。

現金を贈る場合は、「台」をつけることが礼儀とされています。
昔は、贈り物や現金を渡すとき、必ず三方(さんぼう)にのせていました。その三方の代わりになるのが「台」です。
この場合の「台」とは、お菓子や食品など、箱に入ったちょっとしたもののこと。その上に、封筒に入れた現金をのせて「台」ごと渡すのです。
商品券などの金券を贈る場合も同様で、包装紙に包んだ商品券を「台」の上にのせます。

「台」にするものは、1000円~2000円程度のちょっとしたもので構いません。
贈ったものを相手が持ち運ばなければならない場合などは、「台」も小さめのものがよいでしょう(ただし、あくまでも「台」ですので、封筒よりも小さいものでないほうがよいでしょう)。

お稽古事の先生に贈る場合は、このように、現金または商品券を「台」にのせて渡す形式が多いようです。
もちろん、品物だけ渡しているというお稽古場もあるとは思いますし、師匠やお稽古場によってさまざまですので、一概には言えませんが。

踊りの世界などでは、お月謝約1か月分の現金(もちろん封筒に入れたもの)を「台」にのせて渡すというのが通例のようです。
ちなみに私は、お月謝1か月分に近くキリのいい金額の商品券を「台」にのせて、三味線の師匠にお渡ししています。

・「のし紙」の付け方

お中元やお歳暮など通常の贈り物の場合は、必ず「蝶結び」の水引(印刷されたもので可)がついたのし紙を使います。冠婚葬祭用の「結び切り」の水引は使いません。縁が「切れて」しまわないように、との考えからです。

のし紙をつける場合、「内のし」にするか「外のし」にするかを聞かれます。
のし紙をつけた上から包装紙をかけるのが「内のし」、包装紙をかけた上にのし紙をつけるのが「外のし」です。
本来は「外のし」が正式ですが、配送してもらう場合は「内のし」でもよいでしょう。
「外のし」の場合は、持ち運ぶ際にのし紙が汚れたり破れたりしないよう注意が必要です。贈り物を持って行くときは、風呂敷やふくさに包むのがマナーです。

現金や商品券を「台」にのせて渡す場合、のし紙は「台」の品物につけるのではなく、現金の封筒や商品券の包み紙につけます。


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