ベトナム北部、首都ハノイから南に 100kmほど離れたところにあるニンビン省のチャットビン中学校の奨学生たちから、“年賀状”が届きました。
FUJI教育基金会員の藤村知子さんが、しばらく前からチャットビン中学の生徒たちに、毎年ベトナムの新年、テトのときに年賀状を送っていました。
しかし、去年までは返事がきませんでした。ベトナムには、ごく親しい人や取引先の人との間ぐらいでしか年賀状をやりとりする習慣がないので、生徒たちは“年賀状”受け取っても、どうしていいかわからなかったのでしょう。
今年はチャットビン中学校の先生にも、“年賀状”の趣旨説明を書いて送ったところ、生徒たちから、たくさんの“年賀状”が届きました。数回に分けて、紹介いたします。
なお、ベトナムの学校制度は5・4・3年制を採っています。ただし、日本と違って、小学1年、中学1年あるいは高校1年とは呼称せず、小学1年から高校3年まで一貫して、1年生、2年生、…、12年生と呼称されます。ここでは理解しやすいように、カッコ内に日本式方法を併記しました。
1-PHAM THI THUY(ファム・ティ・トゥイ)女子 8年生(日本の中2に当たる)
年賀状をありがとうございました。
FUJI奨学金を受け取ることができ、また、皆さまと一緒に野外参観に行くことができ、本当にありがとうございました。奨学金は、きっと私の夢を実現するための大きな力になってくれると思います。
私は小さいころ、学校の先生になる夢を持っていました。その後、ガンで亡くなった父のことを思い、いまは医者になる夢を抱いています。ベトナムの発展のため、また私の家族のような悲しみをなくすために、良い医者になりたいです。
最後に、新しい年を迎えるに当たり、FUJIの皆さんのご健康とご幸福をお祈りします。皆さまがニンビンに、また来られる日を楽しみにしてます。
2-PHAM THI THU UYEN (ファム・ティ・トゥ・ウエン)女子 7年生(日本の中1に当たる)
こんにちは。年賀状をいただき嬉しいです。私たちのことを見守ってくださる心遣いを、ありがたく感じました。
今年のベトナムの正月休みは、とっても楽しかったです。私は、自分で3つのバインチュン*) を作りました。また、お年玉をもらいました。お年玉は、本を買ったり、塾の学費などに使います。
昨年10月に皆さんと一緒に旅行できたことを、ずっと覚えてます。言葉は通じなかったけれど、旅行のおかげで皆さまのことをより知ることができました。
経済的に困難な友人たちが、これからも学校へ通えるように、奨学金を続けてください。お願いします。私は、これからも皆さんと手紙を交換したり、連絡ができるといいなと思います。 FUJIの皆さまとご家族のご健康をお祈りいたします。
*) バインチュン(Banh chung):“バイン”は「もち」を意味し、“チュン”は「蒸す」を意味する。ただし実際の作り方には「蒸す」だけではなく、ゆでたり煮込んだりする方法もある。中国の「粽餅」(ちまき)に似ている。しかしベトナムのバインチュンは中国のものよりかなり大きく、形は正方形で、中身には脂身たっぷりの豚肉や緑豆餡などが入っている。日本の正月用餅と同様、ベトナムの代表的なおせち料理の一つである。
3-NGUYEN THI HIEN(グエン・ティ・ヒエン)女子 8年生(日本の中2に当たる)
2011年2月22日 チャットビンにて。
最初に、FUJIの皆さんのご健康をお祈りいたします。そしてFUJI教育基金が、大勢のチャットビンの生徒たちを支援できるよう願っています。年賀状を受け取り、たいへん感激しました。
私たちの勉強を助けるための基金を創ってくださいましたこと、ほんとうにありがとうございます。FUJI教育基金が、これからもチャットビンの貧しい生徒たちだけではなく、他の地域の貧しい生徒たちの力になってくださることを希望しています。現在、私は8年生で、来年高校に合格するため、一所懸命に勉強しています。
日本にはすばらしい伝統がありますね。ベトナム女性のアオザイと同じように、日本女性の着物姿は、とってもチャーミングで美しいです。私は日本の桜を見ることを夢見ていますが、たぶん難しいでしょう。
日本の中学校のことをいろいろ知りたいです。べトナム語の資料などがあればいいのですが……。私の叔父が日本で研修を受けていたとき、日本のことを、ときどき電話で話してくれました。とっても面白かったです。私は、日本のドラエモンや名探偵コナンのファンです。これらの漫画の作家をたいへん尊敬しています。日本人の才能は、ほんとうに素晴らしいと思います。
私は、学校の先生になるという夢のために、また愛するベトナムの発展のために、そして皆さんや学校の先生の期待に応えるために、一所懸命に勉強しようと思っています。
まだまだ、いろいろ書きたいのですが、これくらいにしておきます。皆さんがいつもお元気で、楽しく過ごされることを願っています。また皆さんにお手紙を書きますね。