≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

『ウィリアム・モリスと英国の壁紙展―美しい生活を求めて』を観に群馬県立近代美術館に行った。

2018-08-24 18:34:24 | 展覧会に行った話


最近あちこち行ってるなあ。 これもチケットをいただいたので観に行った。ありがとうございます。
プレスリリース用資料

高く晴れた秋の気配の空の日に観に行った。
しかし、せっかく出たのにカメラを忘れたんである。タブレットのカメラで写真を撮ったので、ご容赦ください。


展覧会のあった群馬県立近代美術館は群馬の森という広い公園の中に群馬県立歴史博物館と並んで建っている。


入口。白い美術館の向こうの暗色のガラスのえぐれた四角錐を伏せたような建物は歴史博物館。



最近、展覧会は撮影可能ブースを置くようになったなあ。それも急に、という印象。
ウィリアム・モリスでしつらえた部屋。クラシックバージョン。


外側も。


スタイリストの中田由美氏によるものだそうだ。
モダンバージョンはグレー基調に流木とかそういう感じで、ごめんなさい、ピンと来なかったので撮らなかった。


この展覧会はサンダーソン社のアーカイブによるものだ。
サンダーソンといえばわたしが最初に思い出すのは花柄プリント生地で、リバティより華やかかな?というイメージだったのだが、そうか、壁紙も作っていたんだな、というのを最初に知った。
この展覧会ではウィリアム・モリス以前のイギリスの壁紙事情から始まりモリス後の後継者たちにも触れる、という内容で、サンダーソン社のものも展示されていた。
蛇足だが、モリス商会は第2次大戦で解体してデザインを Sanderson and Sons 社と Liberty of London 社が買い取り Morris & Co. というブランド名で現在も販売されているらしい。
3分でわかるウィリアム・モリス モリス商会を設立したモダンデザインの父、ウィリアム・モリスの生涯と作品 より
しかし、それらはみな Walker Greenbank 社の傘下だ、とプレスリリース用資料(いちばん上のリンク先)にもあるし、調べてみると、なんていうか権利とか面倒くさいのね、でも集約するのね、きっと経緯も面倒くさいのね、ということはなんとなく分かった。
Morris & Co. Sanderson ←それぞれの HP を探すと、なるほどどちらも Walker Greenbank Plc. 内の Liberty にたどり着いた。 リバティプリントのデザインにはモリスと共通するものを感じるなあ。


ではやっと、観た感想を。
壁紙は木版印刷でしかも版が20枚以上あるような凝ったものだ、というのが分かった。木版も展示されていたが、かなり大きくて、手に取ってみる浮世絵と壁一面に張り付ける紙との差を感じた。また、ウールの粉を貼り付けてフロック加工したり、日本の金唐紙を真似たり日本で作らせたり、技術的なバラエティも面白かった。
モリスの柄の変遷というのも見て取れてたいそう興味深かった。
植物柄が豊富なので、それぞれの植物を知っているのかそうでないのかでずいぶん面白さは違うのではないか、とも思った。個人的にはオダマキあたり面白かった。ミルフルール(千花模様)ならレオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」やボッティチェリ「プリマヴェラ」の足元とか、タピストリー「貴婦人と一角獣」とかそういう古典があるが、その流れを汲んでいるのだな、と感心した。

モリスのデザインは確かにそれ以前とははっきり一線を画している。デザインというのはこういうことか、と思わされる。
自然にある題材のどこを切り取りどこを強調するのか、それをどう配するのか、ということが何の気なしに見る者の気分をこうもも変えるのか。

そして、曲線もさることながら、わたしが一番うなったのが色だ。
思い切って色味を絞っている。実際には20色も使っていたりするのだが、近い色/トーンに絞ってあって、遠目にごちゃついた印象を決して与えない。
この色のセンスには参った。


↓展覧会のチラシ裏とコースター。
チラシは大変な人気だったようで、会場ではとっくに品切れになってしまったらしい。
コースターは無料体験コーナーで数種類の中から好きな柄を選んで貼る、というもの。あえて植物柄ではなくファブリック柄を選んだ。段染めの糸を緯糸(よこいと)に織り込んだ布を模した、と思われる。はて、どこから出ているものか?今にして思えば聞いておけばよかったな。



ところで↓うちのカーテン。結婚するときに母が縫ってくれた。
今回の展示は壁紙に特化したもので、ファブリックの展示はなかった。しかもモリスは壁紙とファブリックの柄が一緒、というのを許さなかったらしい。ということでこの柄の壁紙には出会えなかった。ちょっと残念だったかな?

少し調べてみたが、この柄は検索ではほとんどお目にかからない。  ←ベルマリさんはモリスデザインといっておられる。
むしろヴィンテージ・リバティ、メルローズ、の方が数点引っかかる。なんか心配になってまいりました。ほんとにウィリアム・モリス?
いや、デザインの著作権は切れているが名前の権利は商標権でどこぞが持っているからモリスといえないのかも!?  ←ヴェスタショップ、モリスのブランドセミナーの記事
ううむ


というわけでたいそう興味深くまたそれなりに身近なテーマの展覧会ではあった。
しかし写真撮影ブースを見ても思ったが、実際に使ってみるのは思いのほか難しいなあ、ということなんである。カーテンはいいけど壁紙はもっとあっさりいきたいなあ、というのがわたしの正直なところ。すみません、こんなんで。



会場は近代美術館の1階だった。常設は2階で、スロープを下って1階に戻ってくるようになっている。
中2階のガラス扉。閉め切られている。


折り返すと表に面した廊下を見下ろす窓。


さらに折り返しスロープを下っていくと、1階の会場がちらと見える。映りこんでいるのは反対側の窓の景色。


これがその映りこんでいた窓。茶室の庭だったりする。


このスロープを下ると1階。左に曲がると先ほど見下ろした 表に面した廊下。



絹雲に飛行機雲とその上に月。


アップ



コメント (2)
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