かって、兵庫県の教育者に東井義雄先生というお方がいらっしゃった。
教育界の巨人として、尊敬の念を一手に集めた稀有な存在であった。
在野の哲学者森信三先生のお弟子さんで、とても素晴らしい教育者であられた。
若い頃に、何度かお便りを交わさせて頂いたことがあった。
その東井先生の珠玉の言葉である。
「根を養えば木は自ずから育つ」
これを私が関わるようになってから、わが信用金庫の若手の勉強会のペースに据えた。
それを今は佐世保地区の若い皆さんに実践している。
示唆はするが、教えようとはしない。
テーマは与えるが、答えは自ら考えさせるのである。
マズローの欲求5段階説と、マクレガーのXY理論とを組み合わせて
Y理論の性善説と自己啓発による自助力向上を勉強会の柱にしてきたのだ。
X理論は・・・・・人間は本来怠け者で、ノルマを課してアメとムチで厳しく管理しなければ成果はあがらないというもの。
欲求5段階説による、低次元の欲求が満たされていない労働者には確かに有効との管理手法である。
ところが、モノが溢れ、成熟化した世の中においては、価値観も千差万別であり、
当然セルフモチベーションを刺激して自分の力で考えさせ、潜在能力を引き出し、
最終的には、人間力をあげていかせることこそが、正しい管理手法だと思うのである。
だから、私の勉強会はちょっと変わっているといわれる。
でも、仕事はやれといわれて、イヤイヤやるものではない。
問題解決に向けて作りだすものなんである。
自分で主体性を持って取り組む時に、人間が持つ本当のパワーが出てくるものだ。
頭から、上から目線で、詰め込み主義の、教えてやろうという研修は、管理者の自己満足に過ぎないのである。
今日もその我々が標榜する「生涯取引担当者」の勉強会であった。
今日で5回目となる二時間あまりのプログラムであったが、さすがに目の色が変わって来た。
主体的に問題に関わり、自分で考えて仕事環境を変えていこうという志を持った眼である。
お仕着せを慎み、個々人の考え方が、ちゃんと出現してくるのかを見守ってきたつもりである。
それが、いよいよ爆発する予感がしている。
種を蒔いた、やがて芽が出る、花が咲く。
心が通っているので、そのことが手に取るように判るのである。
このことこそが、研修の醍醐味であろう。
そしてそんな企てを図り、講師を気取っていた私の方が、
実はいつのまにか、若い皆さんから逆に教えられている自分に気付くのである。
やっぱり教育とは、すべからく共育なのだと思う。
佐世保勤務を拝命して本当に良かった。
追伸:マズロー欲求段階説と経営活動
①生理的欲求・・・・・・・公正な評価に基づく処遇
②安全の欲求・・・・・・・メンタルヘルスの配慮
③社会的欲求・・・・・・・自己申告・面接
④自我の欲求・・・・・・・目標設定・権限委譲
⑤自己実現の欲求・・・個々人の尊重・キャリアカウンセリング
今、スキルアップ勉強中の問題にもあります。(笑)
そしてとても嬉しいです。
マズローの理論に基づくアプローチチャート、ありがとうございます。
とても参考になります。
成り立つ・東井先生の姿が彷彿とさせられたからです。
宮本さんの作品も、あくまでも虚構なので・・・・・・・・。
でもプロットのアイデアとして、だぶんそこが、題材ではないのかなあと・・・・・・・。