奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その520)

2018-01-26 08:15:00 | 奈良・不比等
歴史ミステリー小説 北円堂の秘密

「老人一年生〜老いるとはどういうことか(副島隆彦著・幻冬社新書2017刊)」を読んだ。副島隆彦(そえじまたかひこ1953生れ)氏は早稲田大学(法学部)卒で、外資系銀行・予備校教師の後、常葉学園大学教授となり、現在は政治・社会・経済の分野で評論家活動を行っている。-------
「老人一年生」では自身が64歳となって前期老人を迎えて、身体の老化に直面したことを赤裸々に書き綴っている。5つを挙げており、「痛風(つうふう)」「前立腺肥大症」「高血圧症」「首の痛み(頚痛)と腰痛」「慢性気管支炎」だそうである。幸いなことに、これらを遣過す術を獲得したと述べており、転んでもタダでは起きない性格が幸いしてか「老人一年生」の執筆に結実している。老人性の様々な疾患の症状は各自がその年齢に達して経験しないとわからないのだから仕様がないが世には悪徳医療を施す輩もいるのでご注意召されよと、老人医療の問題点を可成りな程度、見抜いているように思えた。-----
形成外科はいいが整形外科はひどい、美容整形で稼いでいるのが整形外科医で腰痛や頚痛の原因が「椎間板ヘルニア」・「脊柱管狭窄症」と診断されたら手術を勧められても簡単に応じてはいけないとも書いている。-----
副島隆彦氏の主張は老人になれば西洋医療よりも中国伝来の按摩や鍼灸の方が痛みの軽減や症状の回復に効くだろうと自身の経験を踏まえて書いてくれている。-----
国民健康保険の管理が市町村から都道府県に移管されるので、代替医療はきっと保険適用されなくなるでしょうが、何らかの形で漢方薬の文化を残している奈良県などではその点を十分に勘案する必要があるだろう。まあ、県の医学・薬学などのテクノクラートが賢い選択をしてくれるものと心配はしていないが。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その519)

2018-01-25 08:15:00 | 奈良・不比等
歴史ミステリー小説 北円堂の秘密

「理系脳で考える~AI時代に生き残る人の条件(成毛眞著・朝日新書2017刊)」を読んだ。成毛眞(なるけまこと1955生れ)氏は中央大学(商学部)卒で、日本マイクロソフト社長を務め、2000年に退職後、投資コンサルティング会社を設立している。早稲田大学客員教授の他、旺盛な執筆活動をしているようだ。-----
「理系脳で考える」では、文系理系学部卒と文系脳・理系脳とは意味合いが異なると分かり易く冒頭で説明して呉れている。文系学部卒でも理系脳を持つ人がいるし、理系学部卒でも文系脳しか持たない人もいるのだと云う。そして今からでも文系脳から理系脳に替わることも可能であると楽天的な見解を表明している。ご自身が商学部卒でありながらインターネットの興隆期からずっとその総本山とも云うべき会社に身を置いて来られて実証して来られた自信があるようだ。だから誰にでも真似の出来る話ではないと思うが、読んでいるうちに自分でも大丈夫と云う洗脳を受けることが出来ればこの本を読む値打ちがあると云うことなのだろう。-----
これからは文系脳のままでいた日には早晩暮らして行けなくなるとも脅かして呉れている。現在40歳代の人でも2030年にはAIに職を奪われる職種が可也(かなり)あるので、13年もすれば未だ50歳代半ばであるにも拘らず用無しになる可能性が大であると。少なくともプログラミングの一つや二つ出来なくては話にならないとも云っている。------
成毛眞氏の云う理系脳と云うのは、商学部で算盤(そろばん)の使い方を学んだとすれば、算数が出来る人という理解でも構わないようであり、必ずしも数物の世界を理解できる人になることは無理であっても少なくとも計算が其れなりに出来る人にはならないといけないと云う。文系脳の水掛け論のような抽象的な議論ではなくて数値で示す議論が出来ることが大切なのだと云う。だから文系脳の得意な「それは君の考えであって誰しもの考えとは異なる」などと煙に巻く議論では理系脳とは云えないのだとか。------
荒井正吾・奈良県知事は県政の仕上がりを他府県の数値との比較で論じるベンチマーク方式で評価すると云う理系脳的な取り組みをなさっている。文系脳で満足している職員の方は少しでも理系脳への学びを始める必要があるように思った。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その518)

2018-01-24 08:15:00 | 奈良・不比等
歴史ミステリー小説 北円堂の秘密

「通じない日本語~世代差/地域差からみる言葉の不思議(窪薗晴夫著・平凡社新書2017刊)」を読んだ。窪薗晴夫(くぼぞのはるお1957生れ)氏は大阪外大で英語、名古屋大学大学院で英語学を修め、エジンバラ大学にて言語学・音声学を学んでおり、言語音韻論の専門家である。現在は国立国語研究所にて教授・副所長を務め、日本言語学会会長でもある。-----
「通じない日本語」では、新書なのでとても分かり易く書かれている。その方面の知識は最高にお持ちだと思われるが、小難しい事をひけらかさずに易しい表現で全ページを書き切っている。-----
一般にも分かるように事例を豊富に並べて教えてくれる。日本語だけでなく、英語の事例も対照させてくれるのでグローバルな言語世界を覗(のぞ)くことも出来る。「象(ぞう)さん」を「象(どう)さん」と発音する和歌山地方の例を挙げる時には、英語のsunがtunとなったり、thatがdatと発音する例を挙げて同様の変化が見られると例証して呉れている。-----
年代の離れた同僚や身近に遠方の出身者が居れば現在でも若者言葉や方言が奇異に感じられることもあるだろうが、「通じない日本語」を読んでおけば、粗方(あらかた)はその言葉の変化の意味が分かってそれ程、気にならなくなるだろう。-----
その昔、近鉄奈良線の車内放送で関西弁のキツイ車掌さんが居て少し聴くのが嫌な気がする時もあったが現在では日本語どころか中国語・韓国語・英語と国際的なアナウンスとなっており、日本語の方言などの罷(まか)り通る時代ではなくなっているのだろうと思った。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その517)

2018-01-23 08:15:00 | 奈良・不比等
歴史ミステリー小説 北円堂の秘密

年初(平成30年)に当たって夢を考えてみた。平城宮跡の地上を走る近鉄奈良線の朱雀門以南への迂回ルート(リニア新幹線開通時を目途として)の検討を荒井正吾・奈良県知事が示唆しているが、近鉄奈良線が大阪と奈良を略直線で結ぶべく計画し敷設された歴史が示すように迂回ルートは好ましくないだろう。------
AI(人工知能)が発達し、囲碁・将棋のプロを凌ぐ時代となっているのだから、平城宮跡から出土する木簡類の解読作業もAIの力を利用するようにすべきであり、古代の漢字や崩し字や万葉仮名の読み取りを指紋認証でも顔認証でも出来るのであるから、全国の国公立の文学部の先生方に木簡読み取りのソフトを開発する事を要請してみては如何だろうか。文学部の先生方の中にも文系ではあっても理系の素養のある方もきっと居られるでしょうから、2足の草鞋を履いて貰って今後3~5年位で完成を目指して木簡読み取りソフトを実際に使えるようにすることが出来れば、近鉄奈良線の現在位置での地下化も可能となる訳であり、この方法が遠いようで一番早いのではないだろうか。確かに地下水位が保たれて現在位置に眠らせている未発掘の木簡などの考古遺物は粗末には扱えないが、解読出来る人材の人数の問題で有れば、AIはもう使える状態となっている筈である。現在の研究者が理系の素養を持たないだけで、今後も同じペースで発掘し地下の正倉院としてゆっくりと時間を掛けて解読を進めていても良いがリニア新幹線の開通時点までに間に合うだろうか心配である。それよりも現在の研究者も木簡読み取りソフトの開発に自身のノウハウを積極的に開陳してプログラムのお勉強もして協力されれば良いと思う。決して今のお仕事がAIに取って替わられることはないので安心すれば良いと思う。----
京奈和道路の奈良北道路区間は地下化が予定されているが、現在の処、排気筒が大き過ぎるなどの問題がある。それも今後排気ガスの無い電気自動車の普及が進むことから問題ではなくなる可能性もあり、時代は確かに進んで来た。-----
何時までも旧来の陋習に囚われることなく、文系で有れば理系のお勉強もするなど柔軟な仕事への取り組みをすることが望ましい。文系であっても自然科学の一分野位はこなせる人材がこれからは求められるだろう。文系の中の法律の知識などは文系プラス文系で余り役には立たない時代となって来ているようだ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その516)

2018-01-22 08:15:00 | 奈良・不比等
歴史ミステリー小説 北円堂の秘密

「東電原発裁判~福島原発事故の責任を問う(添田孝史著・岩波新書2017刊)」を読んだ。添田孝史(そえだたかし1964生れ)氏は阪大基礎工学部・同大学院修了後、朝日新聞・科学部記者として務め、阪神淡路大震災を取材し東日本大震災後の平成23年5月に退社し、以後フリーランスとしてサイエンスライターの活動を続けている。東電福島原発事故では国会事故調の協力調査員として津波分野の調査を担当したとのこと。-----
「東電原発裁判」の表紙扉には次の抜書がある。「2017年春、司法が大きな一歩を踏み出した。福島原発事故における東京電力の刑事責任を問う初公判が開かれたのである。津波の予見は不可能とする被告の主張は真実なのか。各地で継続中の賠償訴訟とともに、裁判を通じて明らかにされたデータと証拠から、事故の原因をあらためて検証する。」------
メディア人士の中に漸く理系の本格的な取材活動が出来る逸材として添田孝史氏は登場したと云えるだろう。阪神淡路大震災の発生した後、原発の安全性についての論及が盛んになって以降一貫してその問題に取り組み、東日本大震災が発生してしまうと所属組織を離れてまでも独自の取材を進めて科学者の目で一般人にも分かる啓蒙書を提示し続けて呉れて居り、このような人物が居ない事には真相は闇に閉ざされたままであっただろう。------
現代の科学分野の問題に取り組む難しさは相当に偏差値が高く、倫理観にも優れた人でないと無理であることであろう。経済のように外れていても平気な世界とは異なるのである。個々の分野の専門家と対話できなければならないし、専門書も読み解けねばならない。欧米には自然科学ジャーナリストが一定数居るそうであるが日本では本当に少ないようであり、フリーランスであっても添田孝史氏の活躍は一般人にとって心強いと考えられる。-----
地方公共団体でも原発の立地県では既にビューロクラートだけでなくテクノクラートも採用しているのだが、他の府県ではどうであろうか。文系理系を分けて教育してきた日本の実情からするとテクノクラートの必要性はこれから必ずや高まることは有っても下がることは有るまいと思った。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする