奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1028)

2019-06-18 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「つぎはぎ仏教入門(呉智英著・ちくま文庫2016刊/2011版の文庫化)」を読んだ。呉智英(くれともふさ1946生れ)氏は、早稲田大学(法学部)卒で、マンガ評論、知識人論などの分野で執筆活動をしている。-----

「つぎはぎ仏教入門」は、呉智英氏の周辺を見渡しても仏教の知識は頗る少ない人達ばかりであり、これは日本人全体が仏教を真剣に考えもしないのだなという気がして、先ずは日本人が囚われている宗派仏教の軛(くびき)を解くことから始めて、易しい仏教入門書を仕上げたとのことである。-----

西欧の一神教であるキリスト教と仏教ではその体系は正反対であり、西欧人はそのような宗教の体系が存在することに驚くのだそうである。但し、仏教の内の多くはそうではないと言う。浄土教はキリスト教と同じ一神教の色彩が強いし、日蓮宗はギリシャのイデアと似た教理を持っているので、興味が湧かないそうである。ところが、原始仏教と禅宗には西欧に無い教えが溢れており、信仰と云うよりも哲学のような世界と感じるようである。勿論、密教などはインド仏教の堕落した姿であって、仏教の一派とは考えもしないのだそうである。-----

呉智英氏は、日本仏教の宗祖に縛られた現状を嘆いており、宗祖が仏教を逸脱せしめてきた事を、認めるべきだとも書いている。日本人は仏教ではない形に変貌してしまった仏教を仏教だと信じているようだが、グローバル化する世界で自身の宗教的な知識を確りと掴んでおかないとこれからは国際的コミュニケーションにも困るだろうと教えてくれている。禅宗も仏教から逸脱してはいるが、大乗よりは小乗仏教に近い処もあり、中国の荘子の思想が混在している事も知っておくべきだという。-----

宗教者からの批判はあるようだが、本自体は売れ続けているのだそうである。良書の部類になっている本なのだろう。

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