北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「大学の未来地図~知識集約型社会を創る(五神真著・ちくま新書2019刊)」を読んだ。五神真(ごのかみまこと1957生れ)氏は、東大(物理学科)卒で、光量子物理学を専攻し、東大教授である。2015年より東大総長を務めている。------
「大学の未来地図」は、難しい時代に東大総長として大学の舵取りをする中で、世間/日本社会に向けて大学の有用性を知り活用を大切にするべくそれを訴えるために、平易な文章で多くの人に分かるように説き明かしてくれている本である。-----
章立ては次のとおりである。“まずは大人が頑張ろう”、“これから世界はどう変わるのか”、“強力な社会インフラとしての大学”、“ビジネスパートナーとしての大学”、“大学は面白い”、“東大の経営改革”、“研究に打ち込める大学へ”-----
少子高齢化は世界からみれば日本のチャンスだと書いている。それは、10年先に経験するのであるからその際に潜り抜けるために施す手立てが世界に売り出せるというのだ。ロボットやAIの開発も若年人口の就職先を奪うなどと心配しなくて済む日本なら堂々と先陣切って開発し利用出来るのであると。-----
「大学の未来地図」の後半では、理系出身の総長らしく、基礎研究や長期目標を定めた研究は大学に任せなさいとも書いている。大学を置いて他に日本が21世紀を暮らしていくことは出来ない筈だと、自信を見せてもおられる。文系人士のような悲観論が全くないのがこの本の良さとも云えるようだ。