奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その600)

2018-04-16 08:15:00 | 奈良・不比等
「人生の退き際(曽野綾子著・小学館新書2018刊)」を読んだ。曽野綾子(そのあやこ1931生れ)女史は、聖心女子大学卒で作家である。吉川英治文化賞・菊池寛賞を受賞している。日本財団の会長(1995~2005)をしていたこともある。-----
「人生の退き際」は週刊ポスト連載記事「昼寝するお化け」を新書版に纏めたものである。近年はこのような著述作品が増えている。どれも面白いエッセイが多くて、つい読んでしまう人が多いようである。------
本音炸裂の一例は次のようである。「日本の社会では老人が今すぐに口減らしのために自殺する必要は全くない。しかしただ寝たきりでも、長生きをするために高額な医療費や制度を使い、あらゆる手段で生命を延ばそうとするのは実に醜悪なことだと私は思っている。人は適当な時に死ぬ義務がある。ごく自然にこの世を辞退するのだ。それで初めて私たちは人間らしい尊厳を保った、いい生涯を送ったことになる。」-----
殺伐として身も蓋もないエッセイが続いた後で、曽野綾子は読者を和ませるためにか、「直助(なおすけ)が来た日」を書き添えてくれている。「夫(三浦朱門)の遺品整理をしていた時に見付けた“夫のへそくり”らしき12万円でペットショップにいた猫(スコティッシュフォールド♂)を買った。私は家族もいない一人の家の中で、もう後数年もすれば私自身がこの世にいなくなるという時に、理屈を通したり、折り目正しく生きたりするのはやめにすることになった。私は毎晩、1.3キロほどの大きさの直助を抱いて寝ることにした。夫が死んでから私は一軒の家の責任者になった。直助もその中の住人だ。」-----
ソニーのAIロボット犬も悪くはないだろうが、本物の犬や猫のペットには未だ未だ勝てないことだろうと思った。曽野綾子女史でさえ寂しさの前にはノックアウトされているようだ。それを直助はきっと癒して呉れるのだろう。
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