奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その695)

2018-07-20 08:15:00 | 奈良・不比等
「素顔の西郷隆盛(磯田道史著・新潮新書2018刊)」を読んだ。磯田道史(いそだみちふみ1970生れ)氏は、国際日本文化研究センター准教授で、歴史家である。NHK大河ドラマ“西郷どん”の時代考証も務めているそうである。-----
「素顔の西郷隆盛」は、タイトル通り、西郷隆盛の虚像を排して、歴史的真実を並べてくれている。それでも、その時代の事件についても語ってくれている。例えば、孝明天皇の急な崩御とか、島津斉彬の急死などである。坂本龍馬の遭難についても自説を述べてくれている。これらは歴史家の矜持を逸脱しているのかも知れないが、新書としてはサービスとして面白く読んだ。西郷隆盛の行動については、海音寺潮五郎の小説などで事前知識があり、磯田道史氏の解説でもそれ程の新しいことは無い気がした。西南の役の城山での最期についても詳しく書いているが、小説家の筆ではないので些かグロテスクに感じたのは仕様が無いのだろう。-----
南北朝正閏論など危ない議論には殆ど言及されていないので、トンデモ本的な話題はなくて、大河ドラマ“西郷どん”の大仰な脚色については一言も非難していない。流石だなと思った。しかしながら、「素顔の西郷隆盛」を読んでも、西郷隆盛が好きになるかどうかは分からない。意外と磯田道史氏の好きな部類の歴史上の人物ではないのではないかと思ってしまった。西郷隆盛を偉いとか一言も褒めていないのだから。
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