奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1173)

2019-11-09 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「零戦~その誕生と栄光の記録(堀越二郎著・角川文庫2012刊./初出:光文社カッパブックス1970/講談社文庫1984)」を読んだ。堀越二郎(ほりこしじろう1903~1982)氏は、東大(航空学科)卒で、三菱内燃機に入社し、海軍の“零式艦上戦闘機”を主任設計技師として誕生させた。戦後は三菱重工参与を経て、東大、防衛大、日大で教鞭をとった。-----

吉村昭(1927~2006)の小説“零式戦闘機(1968)”を以前に読んでいて、零戦の歴史を知っている積りになっていたが、設計者本人の書かれた「零戦」は流石に事実そのものの重みが感じられた。ノンフィクション記録作家の吉村昭でも、両者を読み比べると、設計思想の理解は当然にして堀越二郎氏の方が正しいし、直接的であることが分かった。文系頭脳の吉村昭が堀越二郎氏にインタビューして自身の理解の中で背伸びして書かれていたのだと分かった。-----

解説にアニメ映画“風立ちぬ(2013)”制作に至った宮崎駿監督の心境が語られているが、航空マニアの目から見て美しい零戦を設計した堀越二郎氏へのオマージュ作品かなというのである。------

百田尚樹の小説“永遠の0(2006)”を読んだり、映画化されたものを観た方は、是非ともこの本「零戦~その誕生と栄光の記録」をお読みになることをお薦めしたいと思った。-----

軍関係の船舶や航空機などの設計に携わった人が書かれた一般向けの本は本当に数少ない。堀越二郎氏が書かれた経緯(いきさつ)は、きっと吉村昭の小説“零式戦闘機(1968)”を堀越二郎氏が目にして、直接に抗議はなさらなかっただろうが、吉村昭の理解の浅い箇所について、解説を自身がしておかねばとお考えになって、書籍として残されたのだろうと思った。特に、零戦に防弾装備の無い理由を当時の設計思想と合わせて丁寧に解説されている。航続距離を延ばすためにだけ、機体重量を軽減するために、防弾鉄板を取り付けなかったのではないと。

コメント
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