綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

フィン親子(8.11 フィラデルフィア)

2007-09-17 03:00:50 | COLUMN
 ひと月前にフィラデルフィアで観たクラウデッド・ハウス再結成公演で、印象的で微笑ましかったこと。

 8月10日。夜8時過ぎ、ダウンタウンからわずかに離れた広大な公園の敷地内にある、半野外会場のマン・センターに着くと、ステージではヒゲもじゃの青年が独りでエレキをかき鳴らし、叫び、シーケンサーを操り、テルミンをウネウネさせていた。前座だ。寒かったのでビールはやめて赤ワインをすすりながら、「頑張れよ~」と思いながら主役達の登場を待っていた。近くの席で、中年のお父さんが膝の上で眠る息子に毛布を掛けていた。

 9時過ぎ、メンバー4人+サポート1名全員が黒いスーツで登場してきた。さすがにしわは増えたけれど、ニール・フィンの歌声の何と清々しいこと!だって10年前の解散後もずっと現役だもの。米国人観客は「我が青春の80年代」を取り戻しに来た・・・というレトロ感覚の人も多そうだったけれど、英国ではずっと人気があるし、母国ニュージーランド~オーストリアでは今もチャートの常連、VIPだ。

 新作や、過去の名曲の数々のおかげで気温の低さも忘れ、軽妙なトークに笑った(ベーシストのN・セイモアは前夜、ホテルの部屋のキーを忘れたまま遊びに行き、戻っても中に入れてもらえずロビーのソファーで寝たそうだ)。この雰囲気の良さは、メンバー同士のファミリー的な仲の良さの表れだ。バンドにとってとても重要なことだと思う。
 
 おまけに、ステージ後方にいたサポートの1名は、ニール・フィンの息子で、駆け出しのミュージシャンであるリアム・フィンだった。前座でがむしゃらに歌っていたヒゲもじゃの青年だ。黒人音楽では息子がメンバーに加わってサポート、何てことが結構あるけれど、ロックではあまりない。と思っていた矢先、ヴァン・ヘイレン再結成にエディの息子がベースで加わった記者会見をニュースで見た。太目の少年だった。

 それはともかく、さすがに親子のハモりは完璧で、まさか親子ハモで「Don't Dream It's Over」が聴けるとは思わなかった(あれがヒットした21年前、彼は3歳)。父さんの背中を見ながら、永遠に色褪せないポップソングのお手伝いをしながら世界を回れるなんて、なんて恵まれた息子だ。でも父さんの背中はでかい。頑張れよ。 (写真上 父。 写真下 父とヒゲもじゃ息子。)


 そういえば映画「i am sam」のサントラで(ビートルズ「Two Of Us」のカヴァー)、既にこの親子ハモを聴いていたことを思い出した。 
コメント (4)
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