綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

偏愛MOD JAZZ(Edgar‘Jones' Jones)

2006-05-27 02:20:13 | MUSIC SELECTION
 ジャズ喫茶に行ったことがあるかな?薄暗い店内で客は皆俯きながら目を閉じ、ひたすら黙ってレコードを聴く、お喋りしようものならマイルス・デイビス似のマスターが飛んで来てトランペットの広がってる方で頭を小突かれる・・・というような、一部嘘が混じっているが、まぁそんなイメージの場所だ。我が故郷長野は理屈っぽい県民性のせいか、ジャズ喫茶が多い。

 ここで書くのはそんな聴き方をするんでもないし、超絶プレイに感嘆するんでもない、ロックやR&Bと同じような気分で聴くジャズ、例えば60年代にマンフレッド・マンが演ったような気分のジャズで始まるアルバムなのだ。

 90年代初頭の英国に、おバカなジャケットとアルバムタイトル及び怒涛の60年代調R&Bガレージロック(しかもモノラル録音)で、一部の人々を大喜びさせたのにたった一枚で行方不明になってしまったステアーズというバンドがあった。

 同時期に人気だった同郷(リバプール)、同系統バンドのラーズの方は「There She Goes」のヒットもあって、同じくアルバム一枚で沈没したにもかかわらずこちらは伝説化しているというのに。「メキシカンR’N’B」という意味不明なタイトルと、ポンチョかぶったメンバーが二人、もう一人は宇宙服というジャケット(バカですね)がいけなかったのか。万人向けじゃなかったかもしれぬ。
 蛇足ながら僕のファーストアルバムのレコーディングの際、プロデューサーのサロンミュージック吉田仁氏がある曲のアレンジ参考用にとこのアルバムを差し出した時は、さすが吉田仁!VIVAメキシカンR’N’B!と思ったものだ。

 あれから幾年月・・・フロントマンだったエドガー・サマータイムことエドガー‘ジョーンズ’ジョーンズが突然のソロアルバムで還って来て驚いた。
 聴いたらまた驚いた。いきなりジャズ。ジャズの他は50年代R&Bボーカルグループ、ゴスペル、スライ「If You Want Me To Stay」・・・愛情丸出しかついかがわしい。しかもステアーズ同様モノラル録音なもんだから、聴いてるとカバーだかオリジナルだかよくわからなくなってくる。なんていう偏愛ロック、モッドジャズ。

 アーティストが影響を受けた楽曲を自ら選曲したCDシリーズ「Under The Influence」のポール・ウェラーの巻(激渋好盤)を地で行くようなアルバムだ。ちなみにエドガーは近年、そのポール師匠バンドのベーシストとして来日もしているのだな。

 モッズ魂による趣味の良い音楽への偏愛が産み出した変態クールサウンド。やっぱり万人向けじゃありません。
Edgar‘Jones' Jones / Soothing Music For Stray Cats
コメント (8)
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