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シネマ座椅子

座椅子に座り、酒を飲みながら日々映画鑑賞。
映画の結末を待たずに酒の力で本日の結末を迎えることもしばしば。

おくりびと

2011-03-03 | 超おもろい
コレがモントリオールを制したことはTVなんかでよく知っていて、そうなだけに何となくどうせ「単なるお涙ちょうだい的な映画」だろうと若干敬遠してたところがあった一作です。敬遠してても、やっぱり観たかったという。やはり男子は、好きな女子に対して、敢えて嫌われるような態度を取るものだということだろう。


高校生だった頃「死体洗いのバイトっつーのが、ものすげー儲かるらしい」などと都市伝説風の話を聞いたことがあったが、要するにこの「おくりびと」っつーのは、まさにそれだな。なるほど、コレ高収入なんだなー。そりゃ誰も進んではやりたがらないもんなー。


さて映画、実際のところ納棺師の物語というのが、どのように2時間語られるのかが実に興味深かった。TVだとモックンがひたすら人を包むようなシーンしか紹介されてなかっただけに、まさか包んで2時間ハイ終わりじゃないだろうということで。


最初のシーンで、まずモックンが鮮やかな納棺技術を見せつけ、そこから時間をロールバック。そもそも何故納棺師に?というエピソードまで遡り、思わず笑わずにいられないシーンの連発で一気に観客を引きこむ、、、。

さながらアイドルソングのような手法である。



とかなんとか言って、仕事に小慣れてきたモックンが納棺師として手に職がついてからが本番。「親の死」に向き合う時、人は何を思うのか?という重たいテーマがこれでもかと突きつけられ、「親」に対して抱く贖罪と、「子」に託す希望とが、胸に迫る勢いで描かれます。


なんつーか「お涙ちょうだい」とかそういう次元で話が収まってなく、全ての「親」や「子」といった絆の中で生きている人に勧めて恥ずかしくないような、そんな映画でした。そしてコレを認めてくれたモントリオールの懐は深い。よくこんな日本独自っぽい文化を認めてくれたもんだ。


笑える、泣ける、考えさせられる。いい映画でした。


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