From Planetarium

名古屋市科学館プラネタリウムのスタッフから、さまざまな話題を紹介します。

今がみごろ

2007-11-29 16:33:56 | Daybook
ItemItem1 白川公園の紅葉、まさに今がみごろです。北側はすでに工事で風景がちょっと…ですが、紅葉の美しさはここ数年で一番のような気がします。9月まで駐車場だった場所は、こんなに変わっています(左写真)。現在、埋蔵文化財の調査のための工事が着々と進んでいます。さて、紅葉はとてもきれいで良いのですが、清掃をされる方は大忙し(右写真)。毎日、トラックに山となった枯れ葉が運び出されて行きます。科学館の北側には、いちょうもあるので、落ちた銀杏が大変です。
 さて、今日は薄曇り。こうした影の少ない日に下のようなパノラマ景色を撮影します。そしてさまざまな加工をして、ドームの中に24台のスライドプロジェクターからなるスカイラインシステムを使って景色として投影するのです。ただし、これがプラネのドームに再現されるのは早くても来年の秋。プラネの景色は季節感をちょっと先取りしますから、その年の紅葉では間に合わないので、こうして数年先を見越して撮影をしておくのです。ちなみに、明後日からの12月の一般投影「天地創造神話」のスカイラインは雪景色です。
 紅葉の白川公園をパノラマにするついでに、QuicktimeVR版を作ってみました。ここをクリックして開いたウインドウで、マウスでぐるぐる景色を見渡す事ができます。うまくいかない方は、Quickitime Playerをインストールしてみてください(無償です)。WindowsでもMacでも大丈夫です。もちろん星も紅葉も本物が一番ですね。プラネの帰り道は公園側へどうぞ。
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本当の地球の出

2007-11-29 01:04:32 | Moon
 かぐやのハイビジョン映像は本当にすごいものでしたね。他の観測機器の成果も楽しみです。ところで、先日の記事「かぐや特別番組」でも触れましたが、あの「地球の出」や「地球の入り」は、月を周回する衛星ならではの現象です。将来、月旅行に出かける際は、周回船からの地球の姿を見るのをお忘れなく…という感じですね。さて、この件、説明をしているサイトが少ないようですので、ちょっと触れてみます。これはさる11月24日のプラネタリウム「天文学に挑戦」で紹介した内容です。
 まず、JAXAプレスリリースから関係部分を引用します。
(注)今回、「地球の出」という表現を使っていますが、これは月周回衛星「かぐや(SELENE)」やアポロ有人宇宙船のように月のまわりを回る衛星で見られる現象です。月面上に立つ人間からは地球は絶えずほぼ同じ位置に見え、地球が地平線から昇ってくるような「地球の出」を見ることはできません。

Moon066001Moon067001 黄色が月の表側(地球に向いている側)、青が月の裏側です。左側は表の中央に立っている人。常に地球は真上にあります。右側は表のふちにいる人。常に地球は地平線近くにあります。月に秤動がなければこれだけで終わりなのですが、秤動のせいで月面上で実際に地球の出や入りが見られる地域がでてきます。秤動は、月がゆっくりと振動運動を行う事を言い、地球と月の関係では、月の約59%を見る事ができます。
Moon068001 左は秤動の図です。黄色と青の関係は先ほどの図と同じです。赤い点は表側の中心点。中心点がずれるにしたがって青い部分が少しずつ見えます。その結果、右上の丸のように、青く塗った裏側の地域も少しではありますが、地球から見えます。この秤動は、下の図の3つが合わさっています。さて、この左の図にもどって、右上の丸の周囲の青い地域は、地球から見えたり見えなかったりします。反対に、この青い地域(黄色の最周辺部も)にいる人からは地球が見えたり見えなかったりします。その結果、月の公転周期、すなわち1ヶ月で地球が見え隠れ、すなわち出入りを繰り返すのです。
 
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 そこでその様子をステラナビゲータで確認してみました(made by 気象予想士)。この1ヶ月間の動画(Quicktime Movie,12時間おき)は、「地球の出」が撮影された北極近くのかぐや軌道上の位置から計算しています。月面に降りてもその効果は基本的には変わりません。どうでしょう? 結構昇ったり沈んだりするんですよ。あくまで1ヶ月での話しですが。
[星図は株式会社アストロアーツのステラナビゲータを使用しました]

11/29 21時追記、地球の出についての話題はこちら(Garbage Collection)にもあります。星の情報さま、情報ありがとうございました。また、アストロアーツ社のサイトでは、オリエンタル盆地からのアニメーションが公開されています。



アポロ8号のカメラ

2007-11-25 19:06:59 | Moon
 かぐやの「地球の出」の映像が話題ですが、そちらはこんなことなので、それをちょっと離れて「地球の出」の昔のネタを、、、
 2005年4月11日の記事「月面着陸仕様」で、アポロ11号の着陸仕様のカメラを紹介しました。昨日の天文学に挑戦マスターコースでも月の色の話の中で紹介しようと準備していたのですが、時間の関係で現場割愛となったのです。ごめんなさい。詳細は上の記事をご覧ください。
 さて、今回よく引き合いに出される有名な「地球の出」の写真は、初めて月を周回したアポロ8号によるものでした。
 そこで今回はその「地球の出」を撮ったカメラを探してみました。こちらはカメラの製造元であるハッセルブラッドのページにありました。ただし日本語版はなぜか大事なページへのリンクが切れていましたので、英語版のページで紹介します。左段、上から3台目の黒いカメラです。滞在期間がアポロ8号と一致しますから、一緒に持って行った別のカメラという可能性はもちろんありますが、まあアポロ8号の「地球の出」はこれ! と言って良いでしょう。

 ちなみに「地球の出」の最初の写真は上のアポロ8号ではなく、ルナーオービター1号によるものです。写真はこちらです。これはマスターコースで年表とともに紹介しましたね。詳細(英文)はこの記事にあります。
 というわけで「アポロ8号が初めての地球の出を撮った」とか「かぐやは日本初の月周回衛星」などのガセにご注意を。

おっと、こんなところに!(3行目)
こちらにも…ただし「ひてん」は、惑星空間の塵を測定する程度しか科学観測を行っていないので、厳密には月探査衛星ではないとも言えます。そこで、日本初の本格的な月探査衛星は○です。そんなわけで、これは、うーん、△かな?


昨日は満月

2007-11-25 12:54:54 | Moon
20071124moon 昨晩、満月がきれいでしたね。久々に早い時間に館を出たのですが、ついつい空が気になってしまいます。ふと見ると、いい月が出ているではありませんか? でも先日の三日月の時と違って道具一式を持ってないし、もし持ってても、こんな街中で夜にでかい三脚とかカメラを振り回すのは結構気が引けるものです。以前、タワーズライツが星座だったとき、ちょっと離れた交差点から撮影してたら、おまわりさんに声をかけられてしまいました。デジカメの利点で、ほら、ここからは、こんな風に写るんですよと見せると一発で納得。ありがとうと言われたのですが、ならもっとフレンドリーに近づいてきてほしいものです。その時の写真はこちらです。
 そこで、今回はいわゆるコンパクトカメラの手持ちでの撮影です。最近のコンパクトデジカメは、手ぶれ防止の機能がついていますので、レントゲン撮影の気分で、「大きく息を吸って、、、止めてください。パシャッ」という感じで撮ると、こういった夜の写真でもブレがかなり少なくなります。もちろん、カメラを置いたり、何かにくっつけたりできれば、さらにブレない写真が撮れますよ。満月は明るいので、カメラが周囲の景色に露出を合わせると、真っ白に飛んでしまいます。でももともと白くて丸いので、それはそれで良いものです。設定はカメラ任せのAUTOで、ストロボ発光のみOFFにしています。その結果、ISO400、F3.3、1/3秒となっていました。
 今日もほとんどまんまるの月が、16時58分に出ます。直後は見えませんので、17時すぎから東の空をどうぞ。