今、半分空の上にいるから

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今、半分空の上にいるから 龍と鷹 その3

2017-07-25 00:21:14 | 今、半分空の上にいるから①(完結)

 「もう自衛隊員になったよ。」
坂井櫂太は「ほら」と自分の制服を見せました。

 「そうかあ。おめでとう。じゃあ、ここは広島県の呉市なのか。」
禄郎は周囲を見回しました。

 「どこに着いたか分からなかった?…ところでこの鷹何?」
櫂太は不思議そうに聞きました。

 「……ふーん。じゃあ、あれ、本物の鳥じゃないんだね。」
今までの経緯を聞いて、櫂太は自分の腕から離れて上空を飛んでいる鷹を眺めました。

 鷹はしばらく上空を飛び、自衛隊基地の木の天辺に止まりました。

 「あそこを寝床にするのかな?」
落ち着いた様子の鷹を見て、公吉が言いました。

 「あの鷹しばらくここに置いてもいい?」
禄郎は櫂太に尋ねました。

 「別にいいんじゃないかな…。あの状態だと龍にはならないんだろ?」
櫂太は聞きました。

 「鱗が鳥から龍になるには一旦鱗に戻るか、白い龍本体の元に帰らないと駄目らしい。」
禄郎は答えました。

 「もし何か変化があったら連絡するよ。」
櫂太は言いました。

 禄郎は櫂太と連絡先を交換し、
「じゃあ、櫂太君元気でね。」

「禄郎君も。公吉君、頑張ってね。」

「いやあ、ははは。頑張ります…。」

挨拶を交わすと、禄郎と公吉は呉から半分天上界に戻りました。


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