映画「シンデレラ」で王子様と踊るワルツで使われた楽曲「La Valse de L'amour」(愛のワルツ)を分析してみようと思います。
エンドロールで使われた「夢はひそかに」がワルツなので使ってほしいと思った人が多かったのではないかと思います。
映画『シンデレラ』日本版エンドソング「夢はひそかに (Duet version)」
しかしこのワルツもとても良い曲です。ということでちょっと分析してみようか、と。
まずは形式。
この曲は4分の3拍子のワルツ。ト長調。前奏4小節のあと32小節のAパート、32小節のBパート16小節のCパート、BCパートを繰り返し、最後に和音を追加しておしまい。116小節。
ABCBCの形式ですが16小節がひとまとまりで同じような旋律を繰り返します。16小節ごとに同じような旋律が繰り返されます。
同じように感じるのは、各パートの前半が共通しているからです。CパートはAパートのオクターブ上での再現とみなしてもいいでしょう。
Aパートには二つのモチーフが同時になっており、ababの形式ですが、4小節のモチーフの中には「hhh、ccc」(しー|しー|しー|、|どー|どー|どー|)というモチーフと「hag-ahcha」(しー|らー|そー|、らし|どー|しー|らー|)というモチーフが同時に鳴っています。
耳にすると同じ音が続くモチーフがだんだん上昇するものと3つずつ下がるモチーフがだんだん上昇するもの、ということです。
この同じ音が続くモチーフはAパートとCパートの前半で共通しており、三つずつ下がるモチーフがだんだん上昇するという部分が共通しているのがBパートです。
Bパートはabacの形式です。cは経過句的なもので、オクターブ上昇してCパートにつながります。
モチーフは回るイメージがあります。Bパートのメロディーは螺旋を書いて上昇してるさまをあらわしています。シンデレラがワルツでくるくる回るイメージそのままです。
次に注意したいのは、オーケストレーション。BCパートは2回演奏されますが、1回目は弦楽器で割とおとなしめですが2回目はオーボエとフルートにつながり、効果音的にハープのグリッサンドが使われます。グリッサンドはシンデレラが足を大きく上げるところのイメージにぴったりです。2回目のCのパートにおいてはヴァイオリンの主旋律に管楽器で対旋律のモチーフが演奏され、二つのモチーフが同時に鳴っています。そうして一番盛り上がっておしまい。
最後にはあいさつのために和音が鳴らされます。
イメージ的には二つのモチーフが王子とシンデレラを表し、まるで踊っているかのようです。
今回の映画ではディズニー映画にしては歌成分が少なかったのでその点を不満に思う人はいるかもしれません。