道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

薬師寺展(東京国立博物館・上野)

2008年05月26日 | 美術道楽
東京国立博物館で開催中の「平城遷都1300年記念 国宝薬師寺展」に行ってきました。金曜日の夕方に行ったのですが,人出はかなりのものでして,普通に混雑していました。観客も老若男女を問いません。

展示物は多くなく,聖観音菩薩,日光菩薩,月光菩薩,吉祥天像,玄奘像といくつかの像くらいに集約されますが,展示スペースを贅沢に使っています。日光菩薩,月光菩薩などは360度の角度で見られるので,大勢の人だかりができていました。

光背が取り外された日光菩薩,月光菩薩は,堀をすべて埋め尽くされた城か武装解除させられた兵士のように無抵抗な姿をさらしているように見えました。それでも正面から見れば,菩薩の姿なのですが,後ろから見ると,普通の人間の姿のように見えてきまして,随分と写実的な彫像だったのだということに改めて驚きました。
例えばギリシアのヴィーナス像を見た場合,像にもよりますが,多くの場合,我々はそれを「神」の姿としてではなく,人間の女性の姿として見るはずです。しかし,仏像を見るときはあくまでも仏像として見ていたと思います。今回,光背を取り払い,「裸」にされてしまった仏像を360度の角度から見まして,はじめてそこに生身の人間の姿を見たように思います。その意味では面白い展覧会であったとは思います。ただ,私の個人的な感想からしますと,やはり仏像や襖絵,屏風は本来安置されている場所で見た方が,その迫力を感じることはできるように思います。
薬師寺に行ったのは,京都に住んでいた時ですから,もう15年も行っていないことになります。また奈良に行き,薬師寺を訪れてみたくなりました。

帰路に上野公園から写した噴水と東京国立博物館


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