Zooey's Diary

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「女王陛下のお気に入り」

2019年02月23日 | 映画


今年のアカデミー賞最優秀作品賞有力候補のひとつと言われている作品。
18世紀、フランスとの戦争下にあるイングランドの王室が舞台。
肥満で通風持ち、無知で孤独で情緒不安定なアン女王(オリヴィア・コールマン)。
その女王の寵愛を巡っての、女官長レディ・サラ(レイチェル・ワイズ)と
没落した貴族の娘のアビゲイル(エマ・ストーン)との熾烈な争い。

映画の冒頭、アビゲイルが乗った狭い6人乗りの箱型馬車の中で
男がいきなり自慰を始めて驚かされます。
この映画は一体何処へ向かうのだ?という不安を
神経を逆撫でするような一音のみの音楽が、更に掻き立てます。



当時の宮廷模様を忠実に再現したという美術そして衣装は、本当にすばらしい。
しかし、そこに描かれる人間模様は…
下品で滑稽で、醜悪なこと甚だしい。
女王のお気に入りになろうとする二人の女は、手練手管を使って女王をたぶらかそうとする。
(とにかく「舌技」まで使うのです!)
ライバルをどんな汚い手を使っても蹴落とそうとする。
そしてその女たちに関わる男たちは、保身に走る小心者ばかりで、更に情けない。



無知で高慢な女王の癇癪癖に辟易しますが
かつて17人もの子を流産死産したと知って驚きます。
その代わりに彼女の部屋にいる17羽のウサギを溺愛する、孤独な女王。
幼なじみのレディ・サラに全幅の信頼を寄せるものの、その高圧ぶりが鼻についてきた女王は
初々しい新入りのアビゲイルに心を寄せ、彼女との交流によって少し癒やされたかのように見えますが
ラストに唖然とさせられます。
レディ・サラを蹴落とし、権力を手に入れたつもりであったアビゲイルは
自分も踏みつけられたウサギにすぎないと思い知ったのか。



善人が一人も登場しないという映画です。
女三人のいびつな「王様の椅子取りゲーム」と見れば面白いのかもしれませんが
私は、こうした人間の暗部を抉り取ったような作品は好きでないということが
つくづく分かりました。
女優3人の鬼気迫る競演は見事なものですが、評価が分かれる作品だと思います。
ヨルゴス・ランティモス監督、原題は「Favorite」。

公式HP http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お気に召しませんでしたね (ノルウェーまだ~む)
2019-02-26 22:42:52
zooeyさん☆
確かに3人とも不幸な末路を迎えた、ある意味バットエンドでしたものね。
私はイギリスの特徴的なブラックユーモアが大好物なのでストレートに誰か一人が勝利したお話だったら退屈に思ったかもしれないです。
史実に割と忠実なのだからビックリですよね。そういう意味で興味深く面白く感じました。
身一つでのし上がって行こうとする女性の影で、男たちの小物感がまた存分に生きていたし、「不愉快な宮廷絵巻」と感じたのは監督のそれこそ意図した所なのだと思います。
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まだ~むさま (zooey)
2019-02-26 23:18:31
闘いすんで日が暮れて、誰も幸せになれなかったという…
ブラックユーモアは好きなのですが
例えば最初の馬車から突き落とされるシーンなど、どうにも笑えなくて…
ラストの、女王とアビゲイルの暗い表情のアップを延々と映していたのは
この映画を象徴していたのでしょうね。
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報告とお礼に参上しました。 (ヤマ)
2019-05-19 23:04:11
Zooeyさん、こんにちは。

 すっかり遅くなってしまいましたが、先の拙サイトの更新で、こちらの頁を拙日誌からの直リンクに拝借しております。僕の周辺では、僕自身も含めて評価し面白がる方の声が目立つなか、「こうした人間の暗部を抉り取ったような作品は好きでない」と明言しつつ、「美術そして衣装は、本当にすばらしい」と記しておいでる部分を一目瞭然にしてくれているところに惹かれての拝借です。
 評価する者一辺倒になろうはずの無い作品なので、上手くバランスが取れて喜んでいます。どうもありがとうございました。
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ヤマさま (zooey)
2019-05-20 12:51:26
リンク並びにご報告ありがとうございます。
ヤマさんが言われるように
”滅法おもしろかった”という評も少なくないようですね。
でも私には、ちっとも面白くなかったのです。
自分にはその良さがどうしてわからないのだろう?と少々情けなくも感じるのですが
好みは人それぞれということで、割り切ることにしました。
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