Zooey's Diary

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今年最高!「君のためなら千回でも」

2008年02月24日 | 映画
私はこの映画、水曜日に観たのです。
感動しました。しかし、どうも社会情勢などが画面からだけでは読み取れず、次の日、近くの書店で原作本を買おうとしたのですが見当たらない。amazonで注文し、それが届いたのが昨日土曜日の夕方。昨夜遅くに読み終わって、泣き腫らした目がいまだに腫れています。映画と原作と、ちょっとゴチャゴチャになってしまいましたが…
原作は、全世界で800万部を売り上げたというカーレド・ホッセイニのベストセラー小説「君のためなら千回でも」(原題 The kyte runner)。

1970年代、平和なアフガニスタン、カブール。
裕福な家の一人息子アミールは、召使いの息子ハッサンと兄弟のように仲よく暮らしていた。だがある日、アミールはハッサンを裏切り、やがてソ連がアフガニスタンに侵攻。2人の関係は修復されないままに、アミールと父親は米国に亡命する。二十数年後にアミールは、タリバンの支配する荒れ果てた故郷に帰ることになる…

少年の友情、裏切り、そして贖罪。
そこに父子の愛情、葛藤、アフガニスタンの人種差別、内戦、荒廃など複雑に絡まります。そしてアフガニスタン人の誇りや生活様式も。
アフガニスタンでは被差別階級であるハザラ人の、ハッサン父子の悲しみ。
大理石の床、30人用のマホガニーのテーブルを備えた邸宅に住んでいたアミールの誇り高い父親が、アメリカではガソリン・スタンドで油まみれになって働くが、尊厳は失わないところなど、考えさせられるシーンが多々あるのです。
映画ではその辺がどうしても端折ってあるので、本を読んで納得できた部分もあることは否定できませんが。

アフガニスタンの凧揚げというのは日本の平和なそれと違って、他者の凧を追い上げ、糸を切って、最後まで残るのを争うという競技的なものであるらしい。
そして凧が落ちるや否や、それを拾いに走る”kyte runner”の存在が必要なのです。
「君のためなら千回でも」この言葉は、召使の息子ではあるけれども兄弟のように育ったハッサンが、アミールの凧が落ちる度に走っていく時に叫ぶ言葉なのです。そんな純粋な友情を寄せてくれた親友を、アミールは12歳の冬に徹底的に裏切ってしまう。これは、そのアミールの二十数年後の贖罪の物語なのです。

今年観た中では最高の感動作でした。
マーク・フォスター監督のアメリカ映画ではありますが、アフガニスタンの人の目線で語った物語です。
ところがこの映画、アフガニスタンでは上映が禁止されたのだそうです。
問題となったのは、作品中に描写される民族紛争や少年強姦のシーンなのだと。
原作者のカーレドも、複雑な心境でしょうね…

「君のためなら千回でも」 映画http://eiga.com/official/kimisen/
 原作
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6 コメント

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TBさせていただきます (ももママ)
2008-02-25 00:12:29
早速おじゃましました。

アフガニスタンに関してはまったく無知で、ソ連侵攻も遠い過去の出来事のように思っていました。でも、人々は傷つき、国土は荒れ、できた溝は埋まっていないのですね。そんな中で、大事な友人であり、実は弟だったハッサンを失ったアミール。取り返しのつかない喪失感です。しかし、ハッサンの息子を引き取り、凧上げを教える時のサンフランシスコの空は青くて美しかったですね。希望を感じさせられました。
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ももママさま (zooey)
2008-02-25 07:43:37
ようこそいらっしゃいませ。
アフガニスタンについては、私もまるで無縁でした。
人々の生活様式、ものの考え方、彼らの誇り、プロポーズの仕方なども面白かったですね。
そして何よりも、二人の少年が遭遇した運命の切なさに泣けました。

>ハッサンの息子を引き取り、凧上げを教える時のサンフランシスコの空は青くて美しかったですね。

映画では端折ってあったようですが、サンフランシスコにソーラブを連れ帰って、彼が初めて笑ったあの凧揚げのシーンまで、実に一年の歳月を要したのです。
それまでソーラブは固く心を閉ざして、一言も喋ろうとしなかったのですよ。あのラスト・シーンには、本当に救われました…
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おじゃまします♪ (jester)
2008-02-27 12:08:16
こんにちは~
遅くなってごめんなさい!

こういう映画って、素直に「良かった!」って言うのに躊躇してしまうことがありますよね。
映画好きな方のなかにはわりと斜めから見て「お涙ちょうだいものは飽きた」みたいにおっしゃる方も時折いらっしゃるし・・・
でもこの映画はやはり☆☆☆☆☆でした・・・・
展開で乱暴なところがあるなあと思いつつも、最後までひたってしまった。
ああいう「純粋さ」みたいなものにあこがれる気持ちがあるのかもしれません。

>ところがこの映画、アフガニスタンでは上映が禁止されたのだそうです。

ああ~
そうなんですか・・・・
残念ですね。宗教的なこともあるのかもしれませんね。タリバンの指導者も子供を襲ってましたしね。
本はアフガニスタンで売ってもいいのでしょうか?
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jesterさま (zooey)
2008-02-27 23:24:17
いらっしゃいませ。

>こういう映画って、素直に「良かった!」って言うのに躊躇してしまうことがありますよね。

そうなのですよ…
しかもこの題名ですしねw
しかし、それを差し引いても、これはよかった。
映画でも小説でも、涙が止まりませんでした。

>本はアフガニスタンで売ってもいいのでしょうか?

どうなのでしょう?
ユン・チアンの「ワイルド・スワン」が全世界でべストセラーになったのに、当の中国では発禁の書であるように、この本もアフガニスタンでは刊行されていないのかもしれませんね?
著者のカレードはアフガニスタン人ではあるけれど、
アメリカに移住して、英語でこの本は書かれたのですから…
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こんばんは。 (NAO)
2008-03-09 21:25:35
TB&コメントありがとうございます。

私は全く予備知識なくこの映画を観ました。
感動とはまた違うのかもしれませんが、強く心に響きました。
そして原作も読んで観たいと思いました。
やはり小説は映画以上によさそうですね~
zooeyさんの感想を読んで原作を読むのが益々楽しみになってきました♪
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NAOさま (zooey)
2008-03-10 00:12:17
こちらこそありがとうございます。

原作と映像を比べると
大概後者に失望するのですけど、今回は違いました。
日本人にとって縁のないアフガニスタンの街並みや人々の装束、習慣などを想像するのはどうしたって限界がありますものね?
そして、2時間の映画では描き切れない部分を原作で補足して…という感じで、相乗効果がありました。

私も、予備知識殆どなし状態でこの作品観たのですけど、見終わった後で色々興味を持って調べてみました。
もしよかったら御照覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/franny0330/e/2aef6c118efd9ff6e77c0d212f68272a
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