Zooey's Diary

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「コリー二事件」

2020年07月16日 | 映画

ドイツの現役弁護士作家フェルデナント・フォン・シーラッハの世界的ベストセラー小説を映画化した社会派サスペンス。


2001年、ドイツで30年以上も模範的な市民として暮らしてきたイタリア人コリーニ(フランコ・ネロ)が、大物実業家ハンスを殺害し、新米弁護士のカスパーが国選弁護人に任命される。
被害者ハンスはカスパーの親友の祖父であり、その姉ヨハナとカスパーは以前付き合ってもいた。
ハンスはまた、トルコ系移民であり、父親もいないカスパーを援助してくれた恩人でもあった。
コリー二は黙秘を貫き、殺害の動機を話そうとはしない。
カスパーはイタリアのコリー二の故郷に行き、彼の過去を調べることに。



被害者が80代の老人であり、殺害に使われた拳銃がワルサーP38であったということで、第二次世界大戦の関与が匂わされますが、やはり。
ワルサーP38は、ナチスの制式拳銃であったのです。
戦争とは、基本人を殺すこと。
であれば、レイプも略奪も、そして無抵抗の民間人を殺すこともまかり通るのか。
戦争犯罪は、何処まで許され、何処まで裁かれるべきなのか。
そして戦後に作られた、先の大戦の戦争犯罪人を野放しにしたドレーアー法という悪法にまで、話は及びます。


カスパーが生粋のドイツ人でなく、トルコ系移民であるということも、味わいを深くしています。
元カノのヨハナが、祖父を殺した人間の弁護を引き受けるカスパーに腹を立てて言った言葉が面白い。
「アンタなんか、祖父がいなかったら今頃ケバブ屋の店員よ!」
私はトルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督が好きで、「そして私たちは愛に帰る」
「消えた声が、その名を呼ぶ」などその映画をいくつも観てきたのです。
ドイツでの、トルコ人の立ち位置が垣間見える気がします。



ドイツの司法制度をまるで知らない人間にとっては、前半は中々分かりにくいものでしたが、後半はテンポよく進み、次々と暴かれる過去、法廷の予想外の展開にドキドキします。
臭いものに蓋をしようとする、狡猾な老練教授マッティンガーを新米弁護士カスパーが慎重に、しかし確実に追い詰めてゆく姿には、カタルシスを感じます。
見応えのある映画でした。


公式HP 

コメント
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