Zooey's Diary

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最後の上映作「天使の分け前」

2013年05月29日 | 映画


テアトル銀座の最後の上映作品というのは
社会派の名匠ケン・ローチ監督のヒューマン・コメディ「天使の分け前」でした。
第65回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞。

ロビー(ポール・ブラニガン)は、スコットランドの社会の底辺に生きるチンピラ。
警察沙汰の事件を起こすが、恋人にもうすぐ赤ちゃんが生まれることに免じて
収監の代わりに社会奉仕300時間を命じられる。
そこで知り合った仲間は、揃いもそろってクズばかり。
酔っ払って線路をふらふら、電車とぶつかりそうになる男。
インコを万引きしてつかまり「クソポリ公!」と怒鳴る女。
自販機を壊したり、記念碑に落書きしたり放尿する男。
とにかくどのくらい無学って、
モナリザやアインシュタインを知らなかったりするのです。



ロビーは赤ん坊の為にも、今度こそまっとうな人間になろうと決心するのですが
無学無教養で資格もなく、前科あり、顔に大きな傷があるとあっては
中々思うようにはいかない。
その彼が、一発逆転を狙って考え出した計画とは…

「天使の分け前」(The Angels' Share)という洒落た言葉は
ウイスキーなどが樽の中で熟成されている間に、年2%ほど蒸発して失われる分を指す、
ウィスキーに関する用語らしい。
ロビーたちがちゃっかり失敬した貴重な酒は
丁度そのくらいの分であったのか?
しかし、それってただの窃盗でしょう、と私は思ってしまう。
いくら誰にも分からない、誰にも迷惑をかけないとはいっても。
年代物の特別なスコッチひと樽に、オークションで100万ポンド(1億5千万円)以上
の値が付くバカバカしさを皮肉ったものだとしても…
最後の一本の配分先に救われはしましたが。

中盤、オークション会場を目指すチンピラ4人が
一体何を着て行ったらいいのだと相談するところで、笑ってしまいました。
ジャージー姿なら奉仕活動中だとバレバレ、
スーツを着れば処分の言い渡しを聞きに出廷する姿にしか見えないと悩み、
彼らが出した結論が、スコットランド伝統衣装のキルトだったのです。
それならスコッチオタクに見えるだろう、と。



彼らの計画に不満は残りますが
それでも後味のよい映画でした。
テアトル銀座、今までありがとう。

「天使の分け前」 http://tenshi-wakemae.jp/
コメント (4)
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