マンガは五官をだめにする! (東海戯言)

気ままに読んだマンガのことを。タイトルは『チョコレート工場の秘密』の「テレビは五官をダメにする」から

大塚 英志 作/山崎 峰水 画 『黒鷺死体宅配便』

2005年06月06日 | かんがえてしまう
(←装丁がシックで私のお気に入りなんです)




お届け物は死体です。



久々の更新です。
この作品については前から書きたかったのですが、上手くまとまらず延び延びになっていました。

タイトルでおわかりのように、この作品には死体が毎回出てきます。
主人公たちは皆死体に関する特殊能力を持っていまして、
 
 ダウンジング:通常と異なり、水脈ではなくて死体のありかを捜す
 イタコ:死者と対話する。死者の願いを聞き入れ、死体をしかるべき場所に運ぶ
 ハッカー:ありとあらゆる情報を収集する

他にも死体を修復する「エバーミング」技能の持ち主、宇宙人とチャネリングする、というか常にチャネリングしている者も出てきます。
とは言え、オカルトめいた話は全くありません。そこにあるのは死者と対することで明らかにされている現代社会の病巣。
最初は短編が主だったのですが、この2巻(現在4巻まで刊行)ではまるまる一冊、一つのストーリーになっています。
ここで出てくる死体は死刑囚。そして加害者と被害者の思惑。死体を通じて、主人公たちは、我々は、難しい問題を突きつけられます。死刑になった遺体はこの世で一番清らかである、という言葉も出てきます(でもそれは建前だったのですが)。
そして最後に我々は悲しい現実を知ることとなるのです。

現代では死を身近に感じることがだんだんなくなってきました。これがいいことなのか、悪いことなのかは置いとくとして、現実の死が希薄になる分、虚構の死が濃厚になってきています。昨今の少年犯罪で目を引くのは痛いとなった被害者に加えるむごい仕打ち。死体にいたずらをしてしまうその不気味な感覚。

この作品は死体をメインに取り扱っています。
気の弱い方は読まないほうがよいでしょう。



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