昔、どこかの先住民の地域に、
よそから黒船のような大きな船が渡来したとき、
沖を見ていた先住民たちには、
その黒船が見えなかった、という話があるの。
認識は記憶がなければ成り立たず、
記憶は認識がなければ成り立たない。
たとえば、
そこに花があるという認識は、花というものの記憶があるからできるし、
花を見たという記憶は、それが花であるという認識がないとできない。
見たことも聞いたこともないもの、
これまでのどんな記憶を動員しても推測が及ばないようなものに対するとき、
私たちは、その対象を認識することができない。
すなわち、
先住民は黒船を見ることができなかった。
[何か見えたけど、それが何か分からなかった]のではなくて、
[見る]ことができなかったんだ。
たとえて言えば、
それはきっとね、
小動物のかわいらしさを記憶していない人には、
フォルテの瞳から出るキラキラ光線が見えないのと、
同じ原理なんだと思うの
Things will be only better