佳境の北京冬季五輪、今日(16日)は13日目を迎え、残り4日となって来た。連日感動や落胆劇が報じられているところだが、昨日(15日)の競技から。
スケートの女子団体追い抜き(パシュート)で日本は2位であったが、歓喜の銀メダルではなく悔し涙の銀メダルとなった。前回の平昌五輪で金メダルに輝いた見事なチームワークで決勝に進み、決勝戦でも終盤までカナダをリードして、もう金メダル目前だったところで高木奈那選手が転倒して敗れた。
日本選手団では最も金メダルが有望視されていた種目であり、世界に誇るチームワークを高めるため年間300日も生活を共にしていたという。確かに縦に並んだ3人がシンクロして滑走するシーンは一種の芸術品であった。そんな中で最後に転倒した奈那選手は、チームの優勝と国民の期待を無にしたことにいつまでも打ちひしがれていた。実況放送はその後しばらく慰めと取り成しの言葉が続いた。大きな期待は時にして過酷なシーンの素にもなる。
ドーピング疑惑で世界の目がスポーツ裁判所の裁定に注目していた女子フィギュアスケートのROCワリエワ選手。結局「16歳という年齢を勘案して、暫定的な資格停止を適用すべきではない」として五輪出場の継続を決定した。ワリエワ選手は直後のSP(ショートプログラム)に登場し、精神的な動揺があったのか本来の演技ではないとの評価だったが、さすがと言うべきかSPを1位で終えた。
私はまだ16歳のワリエワ選手がドーピングに対する厳格な禁止措置の隙をついて忌避薬剤を摂取できたとはとても思えないので、本人に罪の意識はなかったと思うのだが、ROCと言ってもなにせロシアの組織。その暗黒の国家が作った妖精というべきであろうか。
ジャンプとクロスカントリーという同じスキーでも全く異質の競技を組み合わせたノルディック複合。その勝者は「King of Ski」、スキーの王者と呼ばれる。この競技でかつて世界に名を馳せたのが萩原健司選手だが、現在日本が誇る渡部暁斗選手がラージヒル複合で3位に入り3大会連続メダルという記録を打ち立てた。今回は1位と2位の差が0.2秒、3位の渡部選手も1位とわずか0.6というゴール前の大接戦であった。