中国では陰暦の5月5日が端午節の祝日で、この年は6月16日の水曜日であったが経貿学院では授業の振り替えなどで13日(日曜)から4連休になった。宿舎の常連来訪者であるケイ・ショウロとヨウ・ハイジエの2人からこの連休に泰山の登山に誘われていた。中国には五名山といわれる道教の聖地があって 、その一つである泰山は世界遺産にも登録されている最高位の霊山と崇敬されている。中国人にとって泰山登山は江戸時代の金毘羅山参り、現在の富士登山のようなものである。2千数百年の歴史の中で歴代皇帝がこの山頂で即位の儀式を行ったとされ、山頂およびそれに至る参道には夥しい数の歴史的建造物がある。その泰山が我が滞在している山東省にあるのだ。かなりハードだと聞いていたが登ってみたかった。ガイドブックによると標高は1545m、大した高さではない。途中までバスもあるし、そこから山頂近くまでのロープウェイもある。しかしガイドブックには「昔からの参道には名所旧跡や絶景地があり、ぜひ自分の足で登ってほしい」とあった。全長9kmの参道に7412段の石段があるという。
泰山は普通夜間に登り、日の出のご来光を拝むものである。6月とはいえ深夜・早朝の山頂は相当冷え込むというので、私はこのためにリュックザックを買い防寒衣を詰めて、13日の午後ケイさん、ヨウさんの2人と学校を出発した。因みに2人とも初めて登るのだ。濰坊駅から列車で麓の泰安市に行き、夕食をした後、タクシーで参道入口まで行っていよいよ登山開始。午後9時頃だろうか。参道は幅が7~8mで全行程ほとんど石畳と石段。9kmもの道をよくこれほど整えたものだと感嘆する。しかしこの石段がきついきつい。何度も休憩を取り、喘ぎながらひたすら登った。深夜にかけても夥しい数の登山者が我々を追い越すように登って行く。夜中でも所々にある茶店が開いていてその灯りで元気をもらう。行程の半ば過ぎにある「中天門」という所が広い休憩基地になっており、茶店や宿泊施設もある。ここから山頂へのロープウェイも出ているが夜間は勿論休転である。大勢の登山者がここでドタッとして休憩を取り、山頂での日の出を計算してまた出発をして行く。我々もバテバテの体をここで休め、気力を取り直して山頂を目指した。そして5時ちょっと前、ようようにして泰山の「山頂付近」にたどり着いた。

登り始めた午後9時過ぎ/真夜中にひたすら登る人・人/夜明け前山頂付近に立つ







