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■都立西高校、東大32名、京大15名、国立医学部21名の大躍進
■栄東高校(埼玉)27名、県立千葉高校38名、相模原中等7名…躍進校は?
2016年度の東京大学の合格発表が3月10日ありました。高校別の合格者数が発表になっています。速報値をお伝えします。
初の東大推薦入試で、医学部をはじめ2名の合格者を輩出し最大の話題となった都立日比谷高校(東京)は、前年の37名を大きく上回る51名の合格者を輩出しました。
都立高校で1校からの東大合格者数が50名を超えるのは、1979年の戸山高校(55名合格)以来、37年ぶりの快挙です。日比谷高校の歴史で見ると、50名オーバーを達成したのは1972年の52名以来、44年ぶりの快挙となります。
今回の日比谷高校の東大の合格者数復活は、都立高校の歴史を大きく塗り替えるのみならず、「中高一貫校ではなくても東大入試で戦える」ことを知らしめ、全国の高校受験生や公立進学校に希望を与えることになります。
なお、日比谷高校は国立医学部医学科の合格者数でも、進学指導重点校指定以来最多の合格者数を出しており、「高校入試から東大・医学部を目指すなら日比谷へ」の流れはなお一層加速しそうです。高校入試関係者の間ではすでに、「来年の高校入試で日比谷は過去最高のハイレベルな争いになりそうだ」との声が聞かれています。
■都立西高校、東大32名、京大15名、国立医学部21名の大躍進
日比谷と並ぶ都立トップ校である都立西高校(東京)も、公式サイトで大学受験結果の速報値を掲載。東大は前年の22名を大きく上回る32名の合格で躍進。さらに、特定の大学に縛られない、自由な校風の西高を象徴する京大の合格者数も15名と都内トップクラス。
今春は国立医学部医学科も多く、東大レベルの東京医科歯科大学、千葉大学には複数の医学部合格者を輩出するなど、合計21名が合格しています。
日比谷高校の躍進ばかりが注目されがちですが、堅実に実績を伸ばしており、今春の高校入試でも、例えば男子は開成高校の合格辞退による西高の熱望入学者が多くいました。数年前は珍しかったかもしれませんが、今や学芸大附属高校や開成高校を第二志望とした西高入学者は当たり前となりつつあります。学力層が年々レベルアップしています。今春の入学者が大学受験を迎える3年後も期待できそうです。
都立中高一貫校のトップ校であり、全国の公立中高一貫校の中でも最難関の一つとされる、小石川中等教育学校(東京)が、前年の東大9名からさらに伸ばし、14名もの大量合格です。
ポイントは、1学年の生徒数が150名前後の少数精鋭集団である点。一般的な都立高校の規模で換算すると、30名が合格している計算になります。京大、東工大、一橋大、国立医学部などのその他難関国立大の実績も伸ばしており、学校全体で大学進学実績が伸びています。
小石川中等教育学校といえば、府立第五中学校を前身とする全国屈指の名門校。東大合格者数で全国1位を獲得したこともあるほどの名門です。都立高校ですが、伊藤長七という創立者が存在し、今日まで彼が打ち出した「立志・開拓・創作」の三校是と「科学の道」に代表される理化学教育の振興で知られるアカデミックな校風です。今春は東大にも推薦入試で合格者を出しました。さらに、数学オリンピックなどの国際的な舞台でも小石川生の名前をよく見かけます。21世紀型教育に力を入れている同校は、来年度の中学入試でも注目校となるでしょう。
多摩地区の都立中高一貫校の最難関である都立武蔵高校も東大合格者が10名を超えたと情報が入りました。今後も小石川中と共に、都立中高一貫校のけん引役として実績を伸ばしていきそうです。
その他の都立中高一貫校は、白鴎高校が東大に現役5名オール合格、都立富士高校が2名合格、立川国際中等教育学校が3名、三鷹中等教育学校は東大推薦で合格者を出すなど、好調な実績が続いています。
■栄東高校(埼玉)27名、県立千葉高校32名、相模原中等7名…躍進校は?
その他の躍進校を見ていきましょう。埼玉の私学、栄東高校が、27名もの東大合格者数を出して大躍進。埼玉の浦和高校が22名ですから、埼玉で初めて、私立高校が東大合格者数1位になることが確実な情勢です。現時点で公立勢では、県立千葉高校が前年度大幅アップの32名が合格。中高一貫校化の成果が出てきました。2期生が卒業した神奈川の公立中高一貫校、相模原中等教育学校もさらに東大合格者数を伸ばし、7名が合格しました。
千葉県の渋谷教育学園幕張高校が76名となりトップテン入り濃厚の躍進。神奈川は横浜翠嵐高校が東大20名、湘南高校が16名となっています。
■圧巻の2年連続東大合格数 公立高校トップ!
日比谷高校の復活がいよいよ本格化だ。2015年度、日比谷高校が東京大学に37名もの合格者を出し、全国の公立高校のトップとなった。
昨年、浦和高校(埼玉県)や岡崎高校(愛知県)を抑え、46年ぶりに公立高校トップに復活。好調な年の翌年は数字を落とすことが多いが、日比谷は今年も進学実績を落とすことなく、全国に復活を鮮烈に印象付けた。
2015年の東大入試は、全国の高校入試組にとって苦戦を強いられるものだった。中高一貫校出身者に有利な傾向となり、東大合格者数ベスト20のうち、公立高校は日比谷のたった1校だけであった。
都内の私立中高一貫校でも、高校入試のある学校は大苦戦している。桐朋高校(国立市)は22名⇒13名とかつての難関進学校は瀕死状態。城北高校(板橋区)も18名⇒8名と激減した。あの開成高校(荒川区)でも、「中学入試組と高校入試組の差は年々に開いている」という。
国立大附属高校はさらに深刻だ。筑波大学附属高校が、29名⇒17名と激減し、創立以来の最低値を記録してしまった。東京学芸大学附属高校も、全盛期の100名前後の東大合格者数は減り続け、2015年の東大現役合格者数は22名だ。日比谷高校と互角の数字となり、かつての圧倒的な難関校のイメージはない。
東京都内の高校入試組の生徒に限れば、日比谷高校、都立西高校、都立国立高校といった都立トップ校だけが東大の合格者数を伸ばし続け、私立高校の高校入学組、国立大附属高校の東大合格者数は減る一方だ。
「高校入試を経て東大・京大を目指すなら、日比谷などの都立トップ校一択。開成や国立大附属を選ぶ時代ではない」そんな声が進学塾関係者より聞こえる。