AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

ゴモラがバーンって感じ。

2023-09-30 18:33:40 | ノンジャンル

何だかんだで、やっぱ入手するよ、このバンドのアルバムは。

CRYPTOPSYの『AS GOMORRAH BURNS』。
前作『CRYPTOPSY』より、約11年振りの8th。

一応、2015~2018年にかけて、『THE BOOK OF SUFFERING』というEPを2枚に分けてリリースしている(日本盤では、それらをまとめて一枚にして、2019年リリース)。
まァ、飽くまでもバンドがちゃんと曲作りを行っているスタンスを見せる傾向だったのもあるのだろうが、コロナ禍の約3年間を除けば、アルバムとして作るほどのマテリアルがまだまとまりきらない状況下にあったんじゃないかと思えてしまう。

ハイペースではないにしても、このバンドはコンスタントにアルバムをリリースしていたと思う。
遅くとも4年に一枚くらいのペースではあったので、今回アルバム単位として見れば、相当な間が空いた。
因みに、バンド結成は1992年だった筈なので、もう30年を超える大ヴェテランだ。
現時点でオリジナルメンバーは、ドラムのフロ・モーニエのみとなっているが、それにしたってこのバンドがここまで続くとは思わなかった。

今でもまだ日本では知る人ぞ知る的な存在かもしれないが、CRYPTOPSYはデスメタルの不穏さと、各人の技巧を獰猛に聴かせる術とを融合させた、テクニカル・ブルータル・デスメタルという枠組みで語られる、言わば伝説的バンドの一つ。

カナダのバンドである事から、「カナディアン・デスメタルモンスター」などとも言われていたりするが、全くその通りだと思う。

オレが知った時は、3rd『WHISPER SUPREMACY』がリリースされた頃だったが、入り口となったのは、名盤と誉れ高い2nd『NONE SO VILE』である。

初めて聴いた時は笑ったわ(笑)。
その時までにはデスメタルに関しては耳慣れしていたものの、CRYPTOPSYは明らかに過去聴いてきた同系バンドと次元の違う音楽だと感じた。
曲全体の流れとしては何やってるかは判るケド、とんでもスピードで繰り出される演奏は何やってるか解らない、って感じだった。
特に当時のヴォーカルは下劣な低濁音のデスヴォイスだった事もあり、歌詞が存在してるにも関わらず、どの曲も同じ様な発音にしか聴こえなかったのが、正確且つクリアな音像で繰り広げられる絨毯爆撃の如き演奏との対比となって、余計に笑える要素だった。

「デスメタルは、楽器をちゃんと演奏できる者でないと真の音楽にならない」とは誰が言ったものか、その通りだと思う。
まァ、この手の音楽に関わらずでもあるんだが、特にその枠組みとして聴こえる音の特殊性が強いデスメタルは、「デスメタルとはどういうものか」という一定の道筋が楽器からしっかり出せないと、音質として先ずデスメタルとは見なされないし、音像と曲描写がある程度明確でないと、今度は「ただのノイズ」で片づけられしまったりと、その音楽性を名乗るのであれば条件はシビアになり、結果狭い枠組みの中に押し込められてしまう可能性と隣り合わせになる。

ここから個性を見せる事ができたバンドは、それこそデスメタル黎明期のバンドくらいじゃないかと思えるほど。
その後から出てきたバンドでも居ないワケじゃないが、断言できるほどの存在って数えれる程度だと思う。

そんな中でも、CRYPTOPSYは突出し、バンドならではの個性をこの音楽に表出させる事に成功した、数少ない存在の一つ。
今でこそテクニカル・デスメタルを名乗るバンドは数多く出てきているが、そんなバンド達が使っている曲の手法を編み出したのもまた、CRYPTOSYなんじゃないかと個人的には感じている。

で、
話がまーた大分逸れてきちまったが(笑)、
今回のアルバムは言ってみれば『CRYPTOPSY』以降の延長線にある音楽性であるが、オレとしては前作よりも前向きに聴けるアルバムかな、とは思っている。

このバンド、『THE UNSPOKEN KING』で一度不評を買う様な内容の路線を披露してるんだよね。
このアルバムから現在も在籍しているマット・マギャキーにヴォーカルが代わり、その時にクリーンヴォーカルを導入したというのが、一部のコアなファンから猛烈な批判の的となった。
まァもう少し言うと、音楽的にもメタルコアやデスコアといった、元々CRYPTOPSYの様なテクニカル・デスが礎となったからこそ出てきた様なバンド系列のノリの軽さ(と言って良いのかは判断難しいところだが)の見える曲があったりと、ここに来て迷走してるのか?と疑いたくなるような要素が出て来ていた点が存在していた。

「俺達はアルバム毎に過去の同じ様なものはやらない様にしている」と、ともすればその言葉の果てに生み出されたアルバムが『THE UNSPOKEN KING』であり、非難を受けた事も何のそので、次のアルバムへと向かう姿勢を見せる事へ期待と不安を個人的に抱いていたところでリリースされたのが、『CRYPTOPSY』である。

このアルバムは、正にファンが望むようなCRYPTOPSYのスタイルで固めた内容なんだが、実際のことろ、「戻ってしまったアルバム」なんだよね。

当時、バンドも「1~4枚目までの音楽性を集約させたアルバム」と公言している事からも、『THE UNSPOKEN KING』での不評を気にして、逆戻りを図ったとどうしても穿って見てしまう。
1~4枚目までの雰囲気を持った音楽性をまとめあげる様な事をこれまでしてないから、これも新たな前進だと言われれば、確かにそうだとは思うけれども、ね(苦笑)。

なので、
オレとしてはあのアルバムは、聴いていても「かつての良いとこどりを寄せ集めたアルバム」程度にしか感じなく、思い入れの薄いアルバムとなっている。
ま、だからといって『THE UNSPOKEN KING』に対して賛を唱えるつもりも無いが。

その時のバンドのメンバーってのも大事だと思うワケよ。
このバンドも、メンバーによって細部の音の聴こえ方は変わる。
ギターであれば、かつてはジョン・レヴァサーがサウンドの中核を担っていたわけだが、現在はクリスチャン・ドナルドソンがその役割を担っている。
共に同レヴェルの卓越した演奏能力を持っているが、そもそも違う人間でギターに於ける影響下も違っているんだから、バンドとしてのサウンドの聴こえ方は違って来て当たり前。

昨今のバンドの音の違いは、紛れもなくそこから来ているワケだが、相変わらずCRYPTOPSYと言えるのは、それらの手綱を引っ張っているのが他ならぬオリジナルメンバーであるフロが居るからこそ、だと思っている。

こんなドラミングはフロしか居ねェだろっていうくらい、バンド内で爆裂速度で炸裂させまくっているが、このドラミングこそがある意味CRYPTOPSYの要となっており、このバンドをホームとしているフロの本領が発揮されていると考えられるんだよね。

最近のライヴでドラムを映した動画を見てみたが、相変わらず見てても真似できんわと笑ってしまうくらい凄まじいドラミングを展開。
いよいよもって、その姿が「鬼速のデイヴ・ロンバード」と化してきた様にオレの目には映った。

そうそう。
フロに関しては、『AS GOMORRAH BURNS』をリリースする際のBURRN!でのインタヴューも印象的だったね。
「自分達がやっている事に、何かしらの進化を見出しながら続けていける様にやってきている」と。
同時に、「過去の名声を盾に、同じ様な事を30年も40年もやってきている人達を見るのは、ちょっとうんざりしている」とも。

この辺りの発言に関しては、実際BURRN!の10月号で見てもらいたいところだが、個人的に共感する内容。

当然、オレはフロの様な悶絶技巧を駆使できる技量は持ってないし、CRYPTOPSYの様なバンドを創り上げる事もできなかったが(いや、そもそもにしてデスメタルらしいデスメタルをやりたいとは考えていなかったが)、それでも❝バンドを考えるいち演奏者❞としては、志は同じだと今回のインタヴューで明確になったと思っている。

前作に対してのネガティヴ発言をしたものの、このバンドに関してはいつだって音源を出す度に追っている。

CRYPTOPSYは世代的に少し上くらいだが、オレが耳にした時と変わらず途轍もないエナジーが現在進行形として続いているんだから、ここは恐れ入るというよりも、勇気を与えてくれる。

ロック/メタルは心身共に溢れんばかりのエナジーを、演奏する楽器を通して放出できる音楽であり、演奏者はそうであるべき。
昔取った杵柄を再現するというだけでは、ただの形骸化。熱すら感じないソレはもう、現役と呼んではいけないのでは・・・?
「ここまでやってきたからもう良いでしょ」という、悪い志向停止状態にはなりたくない。
だから、心身共にエナジーを放出させていく姿勢は持ち続けたい。

少なくとも、CRYPTOPSYは、前回よりも前に踏み出した。
じっくり聴いていきたい。



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