AKILA's えgo

気まぐれに、ドラムや音楽の気になった事上げとります。

2バンドの間で

2022-09-05 21:46:03 | 音楽・ライヴ

購入してからも、暫く聴く体制に入れなかったMACHINE HEADの『OF KINGDOM AND CROWN』。

周辺で色々と良く思わない事があり、音楽自体耳にしようという気になれなかった。
事実、今日も良くない事はあった。ぶっちゃけ、割り切ろうと思っても直ぐに切り替えなんて出来ねェよ、という出来事だった。

そんな気分になっているからこそ、「今こそ聴くべき」という思いに駆られ、漸く耳にするに至ったワケである。

前情報としては、前作がバラエティにケッコー富ませた楽曲を並べていた事で、あまり良い評価を受けなかった為に、このバンドらしいヘヴィ、アグレッシヴ&ガッツィーなメタルアルバムに焦点を絞った内容に仕立て上げたというのは聞いている。

1曲目の「SLAUGHTER THE MARTYR」のアコースティックギターとクリーンヴォーカルでの幕開けも、昨今のこのバンドでもお馴染みの手法と思えるが、そこからスラッシー且つヘヴィなギターリフが入り込んだ時の緊張感は、「これぞMACHINE HEAD」と、反射的に背筋が伸びた。

以降も怒涛の勢いで進んでいくが、緩急のついた楽曲が当然並ぶが、前作『CATHARSIS』での、悪い意味での軽薄さは皆無(こう書いたものの、個人的にはあのアルバムはそれなりに好感触だったとは言っておく)。
リーダーであるロブ・フリンが、自身の息子と目にしたアニメ「進撃の巨人」の内容に感銘を受け、あからさまではないが、アルバムの流れにコンセプトを持たせた点も、一本線をビシッと引いた印象を受ける仕上がりに持って行った事の要因なのだろう。

そして、
今回から、新メンバー加入してから初のアルバムであるという点。
個人的には、ここが最も注目すべき点だろう。

長年、このバンドで活躍してきたフィル・デンメルとデイヴ・マクレインという、大きな貢献を齎してきたメンバーが脱退というのを知らされた時、ものスゲー落胆したのを覚えている。
その直後、今では90年代のメタル名盤として語られるまでになる『BURN MY EYES』の25周年記念として、当時のメンバーであるローガン・メイダーとクリス・コントスを呼び戻し(この時のベースは現メンバーのジャレッド・マクエイカーン)、アニヴァーサリーライヴを敢行する状態などがあり、一時「え、郷愁に浸りたくなるのも解るが、次へ進むつもりは?!」と不信感すら抱いてしまった。

そこから並行する様に、現メンバーとなったヴォッグとマット・アルストンが正式に加入というニュースが浮上したが、依然としてアルバムを作成するという状況が見えずに、モヤモヤした。

何故か?
今回新メンバーとして加入したヴォッグは、オレが大好きなポーランドのデスメタルバンド、DECAPITATEDの中心人物でもある。
現在もバンドはちゃんと活動しており、今年5月にアルバム『CANCER CULTURE』を発表している(因みにアルバム収録の「ICONOCLAST」では、ロブがヴォーカルで一部参加している)。
勿論、MACHINE HEADの新ギタリストのオーディションを耳にして披露したのはヴォッグ側である為、MACHINE HEAD側がとやかく言われる筋合いは無いのは承知している。

そうであったとしても、DECAPITATEDの活動を妨げる行為はしてもらいたくない、とファン心理としては思ってしまうものである。
このメンバーで、バンドの「次」を証明するものが創造されないのなら尚更。

そんな考えも、今回のアルバムを聴いて消え失せた。
ヴォッグがMACHINE HEADで自身のスタイルを盛り込んでいるというのが、曲を聴いていてよく判る。
現在のバンドに必要としているもの(=ロブが必要と思っているもの)が、ヴォッグに備わっている事の顕われである。

また、作曲でもその存在を表しているが、ソレは決してDECAPITATED的ではなく、ヴォッグその人の多彩さの一片としてMACHINE HEADに適合できるものを提供している点も見逃せない。

考えてみれば、
ロブもMACHINE HEADの中で、凡そメタルと言える様相ではない楽曲を披露していたりするが、狭義的な意味でのメタル的アプローチに固執しない点に於いては、ヴォッグも共通している。

今回のアルバムに関しては、『BURN MY EYES』25周年の活動を経た事で、あの当時の曲の在り方に触発されたという事らしいが、2000年代バンドの最高傑作と誉れ高い『THE BLACKENING』の持つ❝黒さ/暗さ❞を同時に彷彿とさせるが、その辺りもロブの中では意識下にあったんじゃないかと思う。
ファンにとって❝バンドの強さ❞と感じさせる自分達の持ち味を、今一度表出させようと試みたアルバムだと感じる。

未だオレの個人的気分は晴れる事もないが、少なくともこのアルバムが、テメェの中で切り替える為のスイッチとなり得そうな存在。

ヴォッグは、この2つバンドでどう上手く渡り歩いていくんだろうか?
そこも注目していきたいが、少なくともDECAPITATEDは止めることないよう願う。

色々書いたが、MACHINE HEADも、1990年代のPANTERAが台頭してきたあの時代のバンドの中では大好きなバンドの一つ。
ヴォッグを擁したこの編成で、少しでも長く活動してもらえたらと思うよ。