ブログ「風の谷」  再エネは原発体制を補完する新利権構造

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水俣病原因企業チッソの廃水貯蔵施設跡の護岸の市道が崩れる恐れ。通称「八幡プール」は負の遺産

2016-05-01 | 公害

 

チッソの廃棄物処分場跡、護岸役の市道にひび

熊本日日新聞 2016年05月01日

熊本地震によって、水俣病の原因企業チッソの廃棄物処分場跡(水俣市、通称・八幡プール)と不知火海を隔てる市道が崩れる恐れが強まり、市が警戒を強めている。チッソはかつて八幡プールにメチル水銀を含む排水を貯蔵していたことから、埋め立てられた現在も土壌に汚染が残っているとみられる。老朽化のため、市は護岸の役割を果たす市道の改築を計画していたが、度重なる地震でコンクリートのはがれやひびが拡大している。

 八幡プールは水俣川河口左岸にある。水俣病発生当初、水俣湾に排水を流していたチッソは1958年、排水を八幡プールに一時貯蔵した後に不知火海に流すようになり、汚染が拡大。その後、チッソが埋め立てた。

 市道は、不知火海と水俣川河口を隔てるように八幡プールの周囲を走っており長さ約1・2キロ、幅2~7メートル。もともとチッソの管理道路で市が譲渡を受けたが老朽化しており、現在立ち入り禁止になっている。

 市は昨年度まで市道を調査し、幅数センチのひび割れや鉄筋の腐食、護岸のゆがみなどを確認。「今すぐ崩壊する恐れは低い」としながらも、市道の全面改築を計画し、環境アセスメントや設計の費用約5500万円を本年度予算に計上した。

 ところが、熊本地震が発生。市土木課が見回りを強化したところ、新たなコンクリートのはがれやひびの拡大が見つかった。活断層の日奈久断層帯に近く、同課は今後の強い地震を懸念している。

 一方、チッソの事業会社JNCは14日以降、現在所有する廃棄物処分場跡の約20万平方メートルを調査。「異常はない」としている。

 同プールの一部は86年に市が購入し、下水処理場とごみ処理施設を建設した。市が87~88年度に2施設の土壌を調査した記録によると、土壌1キログラム当たり最大で総水銀11・80ミリグラムを検出。ヒ素、鉛などの重金属も含まれていた。

 熊本学園大の中地重晴教授(環境化学)は「地震で液状化を起こす恐れもある。行政が調査し、リスクの再評価を急ぐべきだ」と指摘している。(隅川俊彦) 

 

(管理人より) 通称八幡プールというチッソの廃水貯蔵施設の護岸の役割を果たす市道で、今回の熊本の地震によりコンクリートのはがれやひびが拡大しています。

八幡プールはチッソの廃水の排出先ですから、水銀・ヒ素・鉛などの毒物が染み込んだ土がいまでも海のそばに大量にあるということです。

この八幡プールが崩壊したら、水俣湾に水銀がまた流れ込むことになります。

昨年の時点で、その市道の改修が決まって予算もついていたのですが、結局のところ改修工事は間に合いませんでした。常総市の水害のときの堤防と似ていると感じます。

リスクが正しく評価されていないということではないでしょうか? 

不要不急のものは後回しにして、こういう緊急性がある工事を先にしなければならなかったのではないかと思えて仕方がありません。

昨年2015年の2月の時点で西日本新聞が以下のように報じています。 

チッソ廃水貯蔵施設跡 汚染土流出の恐れ 水俣市、周辺市道改修へ [熊本県]

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/143482(リンク切れ)

2015/02/04付 西日本新聞朝刊

熊本県水俣市は3日、水俣病の原因企業チッソが一時的に廃水を貯蔵した「八幡(はちまん)プール」の埋め立て地を通る市道が老朽化し、有機水銀などの汚染物質を含む土壌が、隣接する不知火海に流れ出す恐れがあるとして、補強工事に着手する方針を明らかにした。総工費は約20億円に上るとみられ、汚染者負担の原則からプール跡地を所有するチッソにも一定の負担を求める方針。早ければ2016年度にも汚染防止対策を含む補強・改修工事に着手する。
 八幡プールはチッソが整備し、水俣病公式確認から2年後の1958年、廃水の排出先が水俣湾からプールに変更された。ただプールは不知火海へ排水できる構造になっていたため、汚染海域が拡大。その後プールは埋め立てられ、現在は環境関連企業や市のごみ処理施設などが立地する。
 市は埋め立て地の沿岸部などを市道として整備。しかし現在は老朽化で通行に危険があるため、ほとんどが通行禁止になっている。
 さらに今年1月までの市の目視調査で、市道の複数箇所で亀裂が生じ、路面下の汚染物質を含む土砂が不知火海に漏出する恐れがあることが判明。市は、市道1・2キロについて、「地域経済振興」の名目で14年度補正予算に調査費などとして1350万円を計上。昨年12月定例会で可決され、一部で構造を調べるボーリングが始まっている。
 市によると、プール跡周辺での水質調査では、水銀などの汚染物質は国の基準値を下回っている。ただ市幹部は「近くに活断層の日奈久断層もあり、将来を考えて汚染防止策が必要。市民の不安も払拭(ふっしょく)したい」と話す。すでに国、熊本県と協議を開始し、チッソにも工費負担の可能性について情報伝達しているという。
 一方、八幡プールから数キロ離れ、チッソが排出した水銀を含む汚泥などが埋まる水俣湾埋め立て地(82年着工)は、県の老朽化対策の検討委員会が1月30日、「(今後)おおむね40年以上、性能を維持できる」と結論づけている。
 13年10月に採択された世界規模での水銀の排出・使用削減を定めた「水俣条約」は、水銀汚染地の特定と適正な管理を各国に求めている。 

 

「近くに活断層の日奈久断層もあり、将来を考えて汚染防止策が必要。」と、市幹部は分かっていたのに結局、工事は間に合いませんでした。

 「地域経済振興」の名目で予算をつけたようですが、水俣ですら「防災」じゃないんですね・・・

公害防止よりも経済振興? いま日本中で行われていることでもあります。

公害原因となる毒物を含んだ汚染土壌は現実なのに・・・

汚染土壌を一体いつまでこの海の近くに置いておくのでしょうか?このような毒物を出した企業が責任を持って後始末するべきなのに・・・・

 

 地図

 

 

Googleストリートビューで見れる限界

 

 

熊本地震のあと、水俣ではこの廃水貯蔵施設跡の危険性が報道で指摘されましたが、そのほかの熊本・大分の産業廃棄物最終処分場などの施設はどうなっているのでしょうか?

もし、地震の影響があるとしたら、山の中の場合は土砂災害の危険、海なら液状化。環境中に有害物質の汚染が広がる恐れがあるのではないでしょうか?

日本のような地震大国では、原発と同じように、漏れ出すとまずい有毒物質を含む産廃最終処分場や中間施設などを自然環境の中に分散、点在させてはいけなかったのです。

施設が壊れたら有害物質が一気に周辺の自然環境に拡散してしまうことになるからです。

あらゆる種類の産廃の最終処分場と呼ばれる大きい貯蔵施設だけでなく、小さい貯蔵施設や溜め場、残土置き場みたいな場所が、九州だけでなく日本中にあります。

大企業が工業生産の工程で危険な廃物を出し、その危険廃物を運ぶ仕事も存在し、焼却炉、リサイクルも含めて巨大な利権構造になっています。

そういった産廃業が災害廃棄物の処理で行政の”支援”をしているのですから、産廃を減らすという議論の方向にすらなりません。

必ず産廃企業と繋がった地方議員がいますので、どんなに危険でもやりたい放題。

 

今回の八幡プールに関する問題は「公害」は昔の話なんかではないということがよくわかる例。

八幡プールは原発と同じ負の遺産。次世代に残してはいけないものです。

 

こういった主張をすると必ず、「どうしようもないことは考えないことにした」と言い出す市民が出てきます。

見て見ぬふりをして、個人の快楽ばかりを追求してきた結果が今の日本です。