中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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モンブラン登頂記(18):グーテ小屋に到着

2010年04月24日 21時17分52秒 | フランス・スイス;モンブラン登頂

                    <岩稜を行く>

         モンブラン登頂(18):グーテ小屋に到着
             (アルパインツアー)
        2005年9月7日(水)。
その1。曇時々晴。

■テートルース小屋の朝食
 私たちは標高3,167mの高地にあるテートルース小屋で1泊した。フランスに来てから,もう,5日目の朝を迎えるのに,まだ時差の影響が残っていて,夜中によく眠れない。何回も,何回も,夜中に目がさえ渡ってしまう。それなのに,昼間に無性に眠くなるので困ったものである。
 7時00分から7時20分まで,朝食である。
 明るい食堂に,一同集まる。遅刻者がいないので気分がよい。ただ,例によって朝食はスープ,固いパン,チーズだけ。もちろん,山の中で贅沢を言うつもりは全くないが,どうも口に合わない。でも,そんなことを言っていられないので,とにかく食べ続ける。



<朝食:これもフランス料理なのだ!>

■テートルース小屋を出発
 朝食が済んだ者から,適宜,出発する。本日の行程は,標高3,782mにあるグーテ小屋まで。ただ,明日の天候が悪いと予想される場合は,本日中にモンブラン山へ登頂することもあると,ガイド頭のピエールが言う。
 昨日,シャモニーを出発するときに,ピエールから,
 「余計なものは,全部,ホテルに預けなさい。できるだけ持っていく荷物は軽くするように・・・着替えも要らない,寝間着も不可。化粧品も要らない・・・・とにかく荷物は極力軽くしなさい」
と厳命を受けていた。
 もちろん,私は最初から化粧用品など全く持っていないだけでなく,下着の予備も1組しか持ってこなかった。これをこまめに洗濯して,使い回してきた。シャモニーを出発するときには,もちろん下着の着替えは持っていない。それでも,アイゼン,ピッケル,ヘルメット,サングラス,目出帽,フリース,雨具上下,スパッツ,水筒,歯ブラシ,手拭い,地図,ノート,小形デジカメ,非常食など必要最低限のものだけをリュックに入れている。それでも,結構な重さになる。
 準備ができた者から,順次,出発する。
 テートルース小屋から先は,ガイドと1対1のペアーで出発する。ガイド頭(かしら)のピエールは,賑やかなノシイカのガイドをすると言い出す。ノシイカとヘルメットを被った頭を付き合わせて,お互いに「イー~ッ」をしている。登りが少々弱いドッジには,先日の氷河下りから付き添っていて事情を良く知っているステファンが付く。その他の参加者は,小屋を出た順番で,適宜,ガイドが1人ずつ付く。辺りは広い雪原になっている。

<テートルース小屋から朝の山並みを望む>

■アイゼンとピッケル
 私は,7時45分に出発する。仲間内では,早く出発した方である。私の担当ガイドは,若いフランス人,デビッドジョングル(David Jongle)である。長身でハンサムである。出発してから暫くの間は,かなり急な岩稜が続く。丁度,剱岳に登るときと同じような雰囲気である。天候は,昨日までとは違い,下り坂である。周辺の山が雲間に見え隠れする。大きな岩塊が連なっている稜線沿いに,しばらく登り続ける。勾配はさほどきつくはないが,岳小屋から前穂高岳に登るような感じである。
 やがて,進行方向右手に,氷河が流下する谷間の縁に到着する。これから,幅500~600mの氷河を横断する。氷河は左手から右手へ,かなりな勾配で流下している。ここで足を滑らせたら一巻の終わりである。ここを慎重にトラバースする。登山学校で習ったとおりに,フラットフッティングをして12本のアイゼン刃を利かせる。山側にピッケルを突きながら,へっぴり腰にならないように気を付けながら,重心を落とす。足下をしっかり見ながら,一歩一歩,着実に歩き続ける。
 当初,私の歩く姿を心配そうに見ていたガイドが,
 「あんた,なかなか良いぞ(You are good!)」
と褒める。お世辞でも,褒められれば嬉しい。
 歩行技術は,山旅スクールのN田ガイド,N方ガイドから指導を受けたものである.率直に山旅スクールに感謝したい.

<次々に出発>

■難所クロワールを渡る
 氷河を渡りきると,稜線を回り込むように,かなり傾斜が急なトラバース道が続く。
 11時05分,いよいよ,モンブラン登頂道の難所,クロワールのトラバースに入る。ここは落石が頻繁に起きる谷間である。谷間の上を見ると,急傾斜の斜面に無数の岩石がへばり付くように重なり合っている。何かちょっとしたことが切っ掛けになって,ごろごろと落下してくることは自明である。私たちがヘルメットを持参してきたのは,正にこのクロワールを横断するためである。
 間隔を空けて,1組みずつ慎重にクロワールを渡る。緊張して身体がこわばってくる。ガイドのデビッドが,
 「朝の内は,岩石が凍り付いているので,落石は少ないよ」
と慰め顔で私に話しかける。




■本格的な岩場
 クロワールを過ぎると,やがて登山道は,本格的な岩場になる。前穂高岳や奥穂高岳の岩場とは,全く比較にならないほど大規模な岩場が連続する。テートルース小屋からグーテ小屋までの水平距離は,せいぜい1km程度しかない。その間に,3,167mから3,817mまで高度を稼ぐのだから急傾斜になるのは当然と言えば当然である。
 Sガイドによれば,この岩場は2級程度だという。岩場の傾斜は急だが,足場がとてもしっかりしているので,3点確保が容易である。登山学校で習った初歩の登攀技術でも十分対応できる。そのため急傾斜だが,恐怖感は全くない。
 一歩ずつ足場を確かめ,3点確保を忠実に守りながら,登っていく。私をロープで確保しながら先に登っているデビッドが,再び,
 「お前,なかなか良いぞ」
と褒める。
 岩を登りつづけると,勾配が一層急になる。グーテ小屋直前になると,足が届かないほどの大きな岩塊が重なり合っている。高度が高くなるにつれて,岩場に残雪が増えてくる。岩登りとはいえ,もちろん薄手の手袋をはめているが,手のひらに冷たい氷が付着すると,冷たいのを通り越して痛くなる。手のひらを頻繁に握ったり開いたりして,手がかじかむのを防ぐ。こんなことを繰り返していると,何だか切ない気持ちになる。
 「何で,好きこのんで,こんな苦労をしているんだろう・・・」


■グーテ小屋に到着
 10時03分,グーテ小屋に到着する。やがて,ドッジさんを除く全員が揃う。
 取りあえずは,一同,食堂で一休みする。
 ガイド頭のステファンさんが,
 「明日の天候は,余り良くなさそうなので,今日中にモンブランへ登りましょう」
と提案する。
 すでに,テートルース小屋(3,167m)から,グーテ小屋(3,817m)まで,750mも登っている。それも,普通の登山道ではなく,岩場である。これからモンブラン山の山頂,4810mまで,1900mも登らなければならない。しかも,山頂に着いたら,すぐに下って,このグーテ小屋まで戻らなければならない。
 「これは大変なことになったぞ・・・俺には無理かも知れないな・・・」
どうしようもないほどの不安が,心の中をよぎる.なんで,こんなところへ来てしまったんだろうと,半ば後悔に似た気分になってくる.
 昼食を済ませて,準備ができた人から,順次出発することになる。私はもの凄く緊張している.

                         (つづく)
「モンブラン登頂記」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/453f5979046b9bbef0b36b71723d4c13
「モンブラン登頂記」の次回の記事
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