ストラヴィンスキーの舞踊音楽「ペトルーシュカ」はロシア・バレエ団委嘱作品の第2作にあたり1911年に完成した。因みに第1作が1910年の「火の鳥」、第3作が1913年の「春の祭典」である。この「ペトルーシュカ」は彼の舞踊音楽作品の中でも傑作中の傑作と言ってもいいかも知れない。四管編成の大管弦楽作品で実に音の色彩感が豊かな作品だ。
物語の内容は1830年代、ペテルブルグの謝肉祭の操り人形芝居小屋での話。踊り子の人形に恋をした人形ペトルーシュカが凶暴の人形ムーア人に殺されてしまう筋である。初演はパリのシャトレ座でピエール・モントゥー指揮でされた。
傑作作品だけに数多くの録音があるが私はエルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の2回目の録音1957年のステレオ盤を愛聴している。(写真、英Decca SXL2011)さすがに舞踊音楽が得意な指揮者だけあり繊細な感覚で味わいのある演奏だ。スイス・ロマンド管弦楽団の巧さも光る。私はアンセルメが1968年このオーケストラを率いて来日した時のことを思い出した。東京文化会館で確か「火の鳥」組曲を聴き金管楽器の目がさめるような音が心の中によみがえった。
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