玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

11月の観察会の記録

2020-11-08 04:21:16 | シンポジウム
コロナで自粛していた観察会ですが、野外で少人数ならいいだろうと、再開しました。11月8日に、喜平橋に集まって、伐採予定の茜屋橋までを歩くことにしました。最初は5人くらいでしたが、そのご合流した人がいて、10人あまり、子供が5人と結構な人数になりました。この場所は9月に伐採予定の赤テープが沢山 - というよりほとんどの木に巻いてあった - ので、なんとか減らして欲しいとお願いて飲んでもらった場所です。
 喜平橋よりの場所はかなり前に伐採され、明るい場所が多いため、クズ、センニンソウ、カナムグラなどのつる、ススキ、ヤマカモジグサなどのイネ科、ダンドボロギク、ヨウシュヤマゴボウなどの外来雑草などが生い茂る群落があります。少し東に行くと間隔は広いですが、ケヤキが出てきます。しかし下にはえる植物に違いはありません。こういう群落は喜平橋の西側にはありません。つまり、「小平的な雑木林」は喜平橋よりも上流だということです。

解説する高槻

 一角にノコンギクの白い花が咲いていました。ユウガギクとの違いは冠毛が長いことではっきりわかるのですが、シロヨメナは調べれば調べるほどわかりません。でもこれは葉がざらざらしているし、葉の基部にくびれもないのでノコンギクだろうと思いました。
 実体顕微鏡を持ってきていたので、花を割って冠毛を見てもらいました。

「ファーブル」でノコンギクの花を見る

この時期ですから花は少なく、ナンテンハギやシロダモくらいでした。

ナンテンハギ/ シロダモ

 
マユミ/ ヒヨドリジョウゴ

 今回私が伝えたかったのはやはり伐採のことでした。一つは伐採抑制のお願いのことです。赤テープについては、希望が受け入れられるかどうかわからず、欲張って断られては元も子もないと、遠慮気味に頼んだのですが、結果的には飲んでもらったので、今思えばもっと頼めばよかったと思いました。また、その時はすべて受け入れたということでしたが、その後、現場で確認し、少し伐採せざるをえないといけないものも出たという説明は聞いていました。そういうわけで、今後伐採されると、かなりスケスケになるものと予想されます。
 もう一つは、水道局は安全性を優先するというのですが、実際に電線近くにあるのはサクラであり、バス会社から苦情があるそうですが、それもサクラなのに、サクラは手をつけず道路から離れたところのケヤキなどを伐採することの理不尽さです。

 さて、歩いていくとケヤキが連続的に生えて林状態になるところになりました。そうすると見事にクズやススキは消えて、ホウチャクソウなどが出てきました。

ホウチャクソウ

もう少し行くと、今度はススキが出てきましたが、そこは木がまばらになっていました。
「植物って本当に正直というか、環境にちゃんと反応するんですね。ススキは小さい種子を風で飛ばして、至る所に飛んでいきます。でも大部分は暗いところに着地するので発芽できません。たまたまこういう明るいところに着地すると発芽して育つわけです。さっきの場所にホウチャクソウがあったけど、あそこではススキやクズは生きていけなくて消えていくわけです」
「そういうふうに、伐採すると地上に直射日光が当たるので、そういう環境が好きな雑草的な植物がはびこります。そうすると雑木林の野草は明るいからダメと言うより、そう言うたくましい植物との競争に負けて消えていくわけです。大事なのは、明るくするのは一瞬だけど、それが林に戻るためには10年とかもっと長い時間がかかるということです」
「水道局は仕事としてある程度木を切らないといけないでしょう。でも小金井のあの木が全くないような状態にしてしまったら、絶望的です。だから、せめて数メートル程度の間隔でもいいから残してもらう。そうすれば木は今まで以上に枝を広げて育ちますから、皆伐とは全く違って、速く林状態に戻るはずです」

 この場所は小平第3小学校が近く、参加していた足達さんが以前近くに住んでおられて、子供さんが通っていたそうです。その時にここにある「119番」と番号のついた直径が1メートルほどもあるサクラの木について、この木が子供たちを見守ってくれていると言う劇をしたそうです。その木を確認しました。



 さらに進むと大きなクヌギがあるところにきました。このクヌギは直径が80cmほどある立派なものですが、これにも赤テープがついていました。それで、この辺りにはクヌギはごく少ししかないからと伐採をしないように頼んで、青テープ(剪定)にしてもらったものです。本当に良かったと思います。そこでこの木の前で記念撮影をすることにしました。


 朝は少し肌寒いくらいでしたが、歩くにつけてポカポカしてきました。安河内さんはご主人と子供さん(男の子2人)で来ておられました。調査の時に何度か小さい方のすばるちゃんが来ていましたが、いつも抱っこされていました。それが今日は歩いていたのでびっくり。1歳1ヶ月というから早いのだと思います。丸顔で髪がカールしてとても可愛いので、私の絵心がくすぐられて説明用のボードに顔を描くことにしました。安河内さんがとても喜んでくれました。

 

調子に乗ってお兄ちゃんも描きました。

はるくん

 茜屋橋まで来たので、Uターンして南側を歩きました。北側はまだ伐採はされていませんでしたが、南側はすでに作業が行われていました。ただし、根元からの伐採は見当たらず、剪定だけのようでした。こちら岸はもともと木が少ないので、景観が激変ということはないようでした。


 小桜橋から上水を見ると法面を覆うように根を伸ばしているケヤキがありました。
「水道局は伐採の理由として樹木が倒れて法面を崩壊させるから、と言います。そう言う事例がないとは言いませんが、多くの場合はむしろこういうふうに根を張ることで土留めをしているのであって、木を切って枯れたら根が腐り、土留め効果が失われるはずです。それに伐採すれば火が当たって乾燥し、そのために法面の土砂が崩れやすくなるので、法面を守るために樹木を伐採すると言うおは見直すべきだと思います」

 カリガネソウがあるポイントがあるのですが、花は終わり、果実になっていました。

カリガネソウ

葉をちぎって独特の匂いを嗅いでもらいました。お昼になったので、少し急ぎ足で歩いて、喜平橋に近づいたので、締めくくりました。

「今日は思ったより多くの人が来てくださり、ありがとうございました。花マップでは牧歌的にいつ、どこで花が咲いているかを楽しみながら記録してきたのですが、今年の2月に小金井での皆伐を見てショックを受けたこと、それから9月のここでほとんどの木に赤テープが巻かれているのを見て、これはいくらなんでもひどい、目に余ると感じたのですね。それで伐採をやめて欲しい、伐採を剪定に変えて欲しいとお願いしたわけです。その時は、それが受け入れられるかどうかわからなかったので、今思うとお願いが控えめで、もっと頼めば良かったと言う気がします。でもあのクヌギなどが伐採されないですんだのは本当に良かったと思います。今日伝えたかったのは - うまく伝わったかどうかわかりませんが - 下生えの植物が上の木のあり方にいかに敏感に影響を受けるかということでした。私にできることは生物学的な事実を調べて相手を説得することですから、これからもコツコツと続けたいと思っています」

 秋の日を子供も交えてのんびり散歩して楽しい時間を過ごしました。写真の多くは豊口さんによるものです。ありがとうございました。

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