玉川上水 花マップ

玉川上水沿いの主な野草の生育地図を作ります

伐採は大幅に抑制されました

2020-10-15 08:51:40 | シンポジウム
助かった欅たち

高 槻 成 紀     

九月の末に小平市の喜平橋と茜屋橋のあいだに、たくさんの樹に伐採予定を示す赤テープが巻かれていると聞いて、慌てて現地に行きました。すると、ほとんどの樹にテープ巻かれており、その容赦のなさに心が痛みました。こちら
 私たちの住む東京という街は邪魔であるから、危険であるからといって、あたかも電柱か廃屋でも片付けるかのように樹木を伐採します。季節の移ろいに合わせて様々な表情を見せる樹を見れば、間違いなく、私たちと同じく生きているいのちであるのに、そのことを知らないかのようにやすやすと伐採します。ある日、突然大きな樹が伐られるというのは私たちが日常的に目の当たりにすることです。そのことに慣れて行くことを恐ろしいことだと思います。


その少し前に、小金井の玉川上水で無残に伐採された欅の伐採痕の年輪を調べて、それらがほぼ自分と同じ年齢であることを知り、「ああ、この樹たちも、私と同じ時間を過ごしてきたのか」と、共感のようなものを感じていたので、なおさらでした。



そこで、これまで伐採や刈り取りについて担当の東京水道株式会社と交渉をしてきた小口さんたちとその事務所に行って、なんとか見直してほしいとお願いしました。そして最終的に「要望を書き出してほしい」という発言を引き出して、翌日、小口さんたちと調査に行きました。雨の中、小口さんは草むらを歩き、濡れながら調べてくれました。その時私は記録係をしながら、一本一本の樹に向かって「助かるといいね」と語りかけるような気持ちでした。大戦時にユダヤ人を救った杉浦千畝のことが思い出されました。



そうして、すべての樹木について、「この樹は伐採しないで剪定にしてほしい。この樹はこの辺りに一本しかないから、残してほしい。この欅は株立ちしているから、全てを伐らないで一本だけでも残してほしい」などの要望をつけて、金曜日の十七時にその一覧表を提出してもらいました。「半分でも受け入れてもらえるといいんだけど」と気をもみながら週末を過ごし、現地にも行きました。そして、月曜日に小口さんから電話があり、驚いたことに、我々の要望が一〇〇パーセント受け入れられたということでした。「ああ、よかったね」と、助かった樹々に報告したいような気持ちでした。



多くの人のご協力を得たおかげで欅が伐採を逃れることができました。ありがとうございました。

二〇二〇年十月十五日
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