なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか―キャリアにつながる学び方 (ちくまプリマー新書)浦坂 純子筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
☆なぜ大学に行った方がよいのか?この疑問に、人的資本とシグナル理論で答えている。また、これからの学び、つまり働くために学ぶだけではなく学ぶために働くという転換の立場から言うこれからの学びは、読み書きそろばんという3Rだけではなく、探求型という付加価値もつけよと。
☆対象は、自分の将来を「なんとなく」「とりあえず」「わかんなあい」と思っている高校生のようだ。
☆総務省が公表している職業の一覧を取り上げ、これだけ職業があることを知っているのかという点も指摘。要するに自分にとって選択肢をたくさん持とうよ。そうすると、その中から選んだ職業をゲットするには、大学行かなきゃねということらしい。
☆悪くない。しかし、これは完全な「欠如モデル」。ですます体や大阪弁の表現を使って、優しげな雰囲気をだしているが、知識が不足しているから、大学に入りたいという意欲がわかない。だから知識を教えてあげるというスタイルだ。
☆そもそも将来について高校生が「とりあえず」と言っている心理を見抜いていない。決められた選択肢の中からは選ばないという選択肢が積極的に存在しないのが官僚政策の職業分類表なのだ。
☆どれにも属さない自分らしい仕事を自ら作りたいという若者の心理を、夢見ていないで、なれそうなものを一覧表から選びなさいよでは、モチベーションは上がらないのではないか。
☆大学はもともと職業の通過点ではないはず。未知の道の探究のはず。この点を見逃している大学にこそ問題があるのではないか。