教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

この国の教育改革路線がわかる

2010-11-17 16:12:12 | 
下村博文の教育立国論
下村博文
河出書房新社


☆すでに紹介した、現在の文科省副大臣の鈴木寛氏の<「熟議」で日本の教育を変える>(小学館)と比較しながら読むことをおすすめする。鈴木寛氏のほうが、日本社会や国際社会全体の動きを視野に入れながら、「近代」の意味を問い直しながら学問的に論じているのに対し、下村博文氏のほうは、教育政策に絞って、その領域での世界の動きを取り入れながら論じている点では、比較しづらいところもあるが、基本ビジョンが違うのがおもしろい。

☆鈴木寛氏は、新しい公共圏を国民1人ひとりと生みだし、国の教育政策を補完しようというコラボレーションを提唱しているのに対し、下村博文氏は、教育政策を国家傘下の文科省に集中し、自治体の教育委員会は廃止し、自由な教育を、株式会社も含め、民間の力で大いにできるようにしようという市場の原理の中で教育をというビジョン。

☆新しい公共としてのコミュティニーソリューションでいくのか、市場というマーケットソリューションで行うかの大きな違いがある。

☆ただ、いずれにしても国の力は無視できない点では共通である。

☆いずれにしても、教育は大きく変わるが、こうなってくると、政権交代によって、教育行政も大きく揺れることが将来予想される。

☆この揺れに耐えるには、初めから両者に与しないで一定の距離を保ちながら独自路線をいく私立学校が安心という事になるか。あるいは、今のところまだ現れていないが、ソーシャルビジネスとしての株式会社立の学校が安心できるということかもしれない。

☆もちろん、ソーシャルビジネスという言葉はすでにあるが、それはどこか企業に依存して存在しうるということであり、依存場所が国家でなくなっただけであるから、自律はしていない。自律した経営をしながら学校を運営するというチャレンジをする新しいタイプの学校ということ。

☆このように私立学校と新しいタイプの株式会社学校は、政権がどちらになっても関係なく存在できる。もっとも後者は経済特区を超えて運営できるようにするには、教育関連法規の改正が必要であるから、現状では特区でのみの取り組みになるが・・・。


「熟議」で日本の教育を変える 現役文部科学副大臣の学校改革私論 (教育単行本)
鈴木 寛
小学館

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。