奥多摩駅と201系(2年前の秋)
先日、知り合いの女性から、「女一人、ふらりと鉄道に乗りたいのだけど、ふわ~と心が癒される鉄道が近くにないかしら?」と質問されました。
「テツ」化して一年、まだ入口あたりをウロチョロしている新参者に過ぎませんが、「心が癒される鉄道」と聞いて、即座に頭に思い浮かんだのが、JR桐生駅を起点とする「わたらせ渓谷鐡道」です。旧国鉄時代は足尾線と呼ばれていた第3セクターの鉄道では、「テツ」の時代が来る前からトロッコ列車を走らせたり(ディーゼル機関車がトロッコ客車やお座敷客車を牽引する)、駅に温泉施設を造ったり(水沼駅)、列車を改造したレストランがあったり(神戸=ゴウド駅)、冬のシーズンに沿線の駅をイルミネーションで飾ってお座敷列車を走らせるなど、生き残りをかけて、いろいろなことを試みています。
(わたらせ渓谷鐡道に関しては、その魅力をたっぷり伝えるつもりですが、記事が遅れてごめんなさい)
こうした工夫を施さなくても、わたらせ渓谷鐡道は、その名のとおり、渡良瀬川に沿って走る鉄道で、窓から景色を眺めているだけで自然と心が「癒され」ます。桃の花が咲く春から紅葉の秋にかけて多くの観光客が訪れますが、冬の季節も捨てたものではなくて、線路に敷かれた落ち葉を風圧で舞いあげながら進む様子はとても風情がありました。小豆色の小さな旧型起動車とか、開業当時の木造駅舎がそのまま残されている(上神梅駅など)点など、それだけで十分魅力的です。足尾銅山跡を訪ねるのも面白いでしょう。
東武鉄道桐生線が渓谷鐡道に乗り入れていて、浅草から特急に乗って1時間半で「相老」に着きますが、国立から出発するなら、4時37分の下り始発電車に乗って、立川から青梅線&八高線と乗り継ぐと高崎を経由して7時半頃には始発駅の桐生に到着、8時8分発の終点「間藤」行きに乗ることができます。わたらせ渓谷鐡道でたっぷり遊んで20時に桐生に戻ってきても、今度は「小山」「大宮」経由で22時半には国立に戻って来られることを教えてあげたら、意外な近さに驚いていました。
「でも、何も群馬や栃木まで行かなくても、東京都内にも「青梅線」という渓谷鉄道があるんだよ」と教えてあげたら、もっと驚いていました。西立川から市街地を一直線に進んでいく青梅線は、青梅を過ぎると景色がガラリと変わり、御嶽から終点の奥多摩までは完全に山岳鉄道になります。ついこの間乗ったときは、雨が降っていたので、なおさら神秘的でした。国立から往復3時間、終点の「奥多摩」まで行って帰ってくるだけで、深い峡谷の景色を見られるなんて・・・ブラボ~♪
(今回は窓ガラスが水滴だらけだったので、車窓の風景を撮らなかった)
晴れても雨でも雪(だと止まることがあるが)でも、それぞれの顔を四季折々楽しむことができますが、せっかく奥多摩まで行ったのだから近くを歩いてみましょう。
(空気がうまい!)
そして、20分くらい電車を待つことになったら、是非とも、駅舎二階の広々とした蕎麦スタンドに立ち寄って、ギャラリーに飾られている奥多摩の美しい写真を眺めながら、400円の手打ち蕎麦をおやつ代わりにお試しあれ。
「これが駅そば?」と感動する美味。特に、暖かい汁に浸けていただく「田舎せいろ」は、鳥の出汁がほどよく出ているめんつゆが絶品。食後は、つゆに蕎麦湯をドボドボ注いで、一滴残らず飲み干しました。
その日、あまりの旨さに「おいしかった、ごちそうさま~」とお礼を言って、大急ぎで改札へ向かったニワトリさんは、電車が青梅に着くころ、折りたたみ傘を入口の傘立てに置き忘れてきたことを思い出しました。傘のことをすっかり忘れてしまうほど、おいしかった、ということにしておきましょう。
お気に入りのだったのに・・・