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『ペルシャ猫を誰も知らない』 ~この音楽を聴け!

2010-08-18 08:28:00 | 映画&ドラマ


イランから音楽映画の傑作が誕生しました!


 『ペルシャ猫を誰も知らない』(09)の「ペルシャ猫」は「イラン」のことを表しています。この題名は文字通り、私たちが誰一人としてイランの「現在」を知らないことを意味していて(それには三つ原因があって、一つはマスコミの怠慢。続いて我々の無関心。そしてイラン政府による徹底した情報管理)、知ることの難しさと大切さを改めて胸元に突きつけられる点で、非常に教育的な映画です。

 それにしても、17日間に及んだ無許可のゲリラ撮影が捉えた「イランの現在」の何と生々しいこと! 観客を最後まで惹きつける脚本で足元をしっかり固め、切り取った映像を編集という名のマジックを使って、(どこで腕を磨いたのか)アンダーグラウンドで活躍するイラン人音楽家の奏でる「驚異の音楽」と重ねることで、より力強く疾走感のある映像となってスクリーンに生き生きと映し出されていました。音楽が流れる場面だけを切り取ればポップで新鮮なミュージックビデオとしても十分楽しめ、ジャンルは異なるけれど、マイケル・ジャクソンの『スリラー』を観たときと同じような驚きを感じることでしょう。
 『ペルシャ猫を誰も知らない』は、誰も見たことのないイランの人々とテヘランを捉えた優れたドキュメンタリー映画であると同時に、音楽好きな観客をとことん魅了する青春映画なのです。必見!!!

 ニワトリさんは、巻頭一番流れてきた音楽にいきなり打ちのめされてしまいました(1ラウンド1分でいきなりダウンといったところでしょうか?)。そして、映画館で発売されていたサウンドトラック(輸入盤。国内盤は今のところ販売予定なし)を購入したのですが、先に聴いた映像付きの音楽の方が遥かにインパクトが強かったことに、今更ながら驚かされました。その逆も真なりで(映像に音楽を付けることで、映像を際立たせる)、映像と音楽をうまく組み合わせると、「1+1=2」以上の相乗効果を生み出せるというわけです・・・。

 イラン政府はそのことを危惧したのか、カンヌ国際映画祭で絶賛された『ペルシャ猫を誰も知らない』を公開するつもりは全くないようです。イランと言えば、イスラム革命が起こる前は中東で一番西洋化した国だったのですが、その時代に生まれた文化(日本の戦後も同じだと思うが、一種のカルチャーショックですね)が厳格なイスラム教徒国になってからも脈々と受け継がれてきたのでしょう、絶品のポップ、フォーク、ロック、ヘビーメタル(本当なんだから!)、R&B、ラップ、そして西洋音楽と伝統音楽が融合した全く新しい音楽が、当局に厳しく監視され検閲されながらも歌われていることに本当に驚いたし、大いに意気に感じました。人種・宗教・国家の違いといった、ときに戦争を引き起こすまでの大問題を些細な問題に変えてしまう「音楽の力」が全編にみなぎっているのです。同じ音楽を好きな心に国境は存在しない・・・正しく「音楽は自由への翼」なのですね~♪

 『ペルシャ猫を誰も知らない』は、バフマン・ゴバディ監督の最新作です。ゴバディ監督はイラン在住のクルド人で、1993年から短編映画を作りながら、1999年にアッバス・キアロスタミ監督の『風の吹くまま』の助監督を務め、2000年にはサミラ・マフマルバフ監督の『ブラックボード 背負う人』の主演俳優の一人を演じ、同年にイラン映画史上初めてクルド語で演じられた『酔っぱらった馬の時間』を発表しました。
 この映画はとんでもない傑作なのに、日本ではアッバス・キアロスタミが『友だちのうちはどこ?』(87)で発見されたときほど話題にならなかったことが非常に残念でした(このあたりから、蓮實教授&その取り巻きたちと袂を分かつようになった)。

 その後ゴバディ監督は、コンスタントに『わが故郷の歌』(02)と『亀も空を飛ぶ』(04)を発表、クルド三部作を完成させました。『亀も空を飛ぶ』は、イラク&イランの国境地帯に住む人々の苛酷で厳しい「現実」を描いたデビュー作の『酔っぱらった馬の時間』でも描いていたユーモアを一切排除して、観客を逃げ場のない崖っぷちに追いつめたこの上なく厳しい作品でした。
 日本未公開の第四作『Half Moon』(06)を撮ったあたりから、(現政権になってからでしょう)当局の検閲が厳しくなり、二年間撮影許可をもらえなかった監督は、スタジオで歌を歌って憂さ晴らしをしている最中に(ゴバディ監督は音楽でも食べていける?)この映画の主人公となるアンダーグラウンドの音楽家と知り合い、彼らの映画を撮ろうと思い立ち、当局に無許可で撮影を敢行、映画を完成させました。
 現在ゴバディ監督は、事実上の亡命生活を送りながら次回作の準備を進めているそうです。


   

(左)『ペルシャ猫を誰も知らない』サントラ。主演の二人(写真手前)は、「Take It Easy Hospital 」というユニットを結成し人気も出てきたが、ゲリラ・ライブの最中に当局に逮捕され出国を決意。監督とは録音スタジオで偶然知り合った。最終テイクの四時間後!にイランを離れ、現在ロンドン在中。個人的に一番驚いたのは牛舎に鳴り響いたヘビメタ。牛たちも目が点になっていたが、「丑」のニワトリさんも思わずびっくり、手を叩いて喜んだ!
(右)現在、アメリカで活躍しているラナ・ファルハンの新作『 Your Wish 』。輸入盤を取り寄せ中。彼女の声は素晴らしい。痺れます! 「ブルーノート東京」に是非呼んでください~♪

 『ペルシャ猫を誰も知らない』公式HPは、 → ここをクリック

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