『ちりとてちん』第6週 ~蛙の子は帰る

2007-11-12 23:59:30 | 連続テレビ小説


「セヲハヤミ~」


 三年ぶりに師匠の落語(『愛宕山』の録音テープ)を聞いてしまった草々は、「これが自分の逢いたい師匠なんだ」と、草若を慕う気持ちがいよいよ強くなり、藁をもすがる?思いから、あるいは猫の手も借りたい??算段から、喜代美に「俺の妹になってくれ」=つまり、師匠に弟子入りするよう仕向けるのですが、全てお見通しの草若に軽くいなされてしまいます。
 「師匠の落語を継いでいきたい」「自分の落語は師匠なんだ」という草々の想いを、おじいちゃんの塗り箸を継いでいこうと懸命に努力している父の姿と重ねる喜代美は、かつての兄弟子&弟弟子に戻ってきてもらえば道が開けるのではないかと考え、草々のために奮闘努力しましたが、苦労したわりに狂言回しになってしまった感がありました。さすが「あわれのチャンピオン」というか、見ていて気の毒なくらいだったけど(指を挟んだり、草々に殴られそうになって涙ぐんだり・・・)、怪しげな「ハンドミキサー」が必ずや役に立ってくれる!と信じる次第です。
(考えすぎかなあ?)
とにかく今は、じっと我慢のひととき・・・あっ、それって今週のお題でしたね!


「瀬を早やみ~」。もじゃチョンマゲが素敵?


 その頃の私は、毎晩毎晩、草々さんの落語を子守唄に眠っておりました。今思たやら、人生で一番贅沢なひとときやったかもしれません・・・
 草々の落語を聴いているうちに自然に覚えてしまった崇徳院の歌。
「瀬を早やみ~、岩にせかるる滝川の~、われても末に逢わんとぞおもう~」
 詠みあげる声がとっても素敵でしたよ、キーコさん!


「聴かせてよ、愛の言葉を♪」


 思いきり力が入ってしまった第4~5週ですが、第6週の感動は、草原兄さんが草々に講釈した「とぞ思う」の五文字に集約されるでしょう。気持ちをこめて、口にしてみました。
 そして驚いたのが、ここぞという場面に流れた音楽! 痺れました・・・だってだって、何とまあ、落語の『崇徳院』がですよ、シャンソンの『聴かせてよ、愛の言葉を』(だと思うのですが、歌っているのは誰?)になってしまったから。
 確かに「瀬をはやみ~」は愛の言葉で、草原も草々も四草も(九官鳥の平兵衛も?)、そしておそらくは小草若や草若にとっても、落語が「愛の言葉」なのでしょう。




不器用な貴方の右手になりたい・・・届かぬ想い・・・分割払いで買った(しかもいきなり修理代も払わされて)ハンドミキサーの活躍を信じたい!

                   


 『算段の平兵衛』(あらすじを聞いて「本当に笑える落語なのか?」と確かに思った)みたいな奴といわれた四草が、「お前に似合っとるからや。アホで、純情で、暖かくて、おもろい」と、草若師匠に言われて『崇徳院』を稽古することになったエピソードでわかるように、師匠もまた愛情にあふれたお人だったんですね、やっぱり。迷子の子猫を拾ってきたときから(=清海のマンションを飛び出した喜代美を家に連れて行って、うどんをごちそうした)優しい人だと思っていましたけどね。
 そして草々も、最初の稽古のときに「よく通る声やなあ、大事にしいや。お前の宝物や」と、師匠から褒められたことを忘れることができません。一時期の松田優作みたいな頭を草原兄さんに「何や、その頭?」指摘されて、「願かけみたいなもの」と答えていましたが、徒然一門の再集結を願う「願」だったのでは? トレードマークになってしまったストライプのスーツも、(背が伸びる前に)師匠が自分に買ってくれた大切な思い出の品に違いなく、だからこれも「願かけ」なんだと思いました。
 草若にしてみれば、弟子たちが可愛くて仕方がないのだけれど、三年前に天狗座に穴を空けてしまったときも、そして大好きだった落語をやめて酒びたりになっていることにも、何らかの事情があってのことだと思います。
「草々・・・拝啓&敬具は知っとるけど、(前略)草々は知らんな」
 喜代美は、とぼける草若に腹を立てますが、本当の気持ちは知る由もありません。




「聴かせてよ、愛の言葉を♪」「あなたの笑顔が見たい」「・・・とぞ、思う」

                   


 草々だけでなく四草もまた、「せをはやみ~」と声を張り上げていたのですが、このネタに関しては草原兄さんに敵いそうもありません。
 草原が「・・・とぞ思う」の五文字に想いをこめたとき、一度はホイない別れをしても、いつかきっと、いつかきっと逢うことができる、再び一つになれると、心の底から信じている自分がいました。
 才能がないと言われようが、可能性はゼロだと言われようが、「とぞ思う」を18年間続けたこと、それが「好き」ということではないかと・・・何ごとに対しても中途半端で「ほいない」別れを繰り返してきたニワトリさんですが、とても素敵な愛の言葉を聴かせてもらって、一念発起?

 草原さんの苗字は「原田」だけど、下の名前は? 緑さんは(草原兄さんの妻を演じた押元奈緒子さんに、またしてもニワトリは)、「マー君」と呼んでいましたが・・・



 おしまいは、相変わらず賑やかな和田家です~!