ここ数ヶ月、金融市場を巡る報道の色調に変化が見られます。
軍事史に喩えるならバトル・オブ・ブリテンで
英国軍が独空軍の猛攻を凌ぎ切った時期、
日本史で言うなら第2次長州征伐時の幕府軍の先鋒隊が
長州勢の新式銃の前で無様に崩れている状況です。
これから国内外のマーケットでは
意想外の出来事が次々と勃発するでしょう。
ターニング・ポイントの忍び足が聞こえてきます。
マス富裕層の4割、金融危機は「投資の好機」=調査(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367634.html
”金融資産1000万円以上を保有する「マス富裕層」の約4割は、現在の金
融危機を投資の好機ととらえている──英金融大手HSBCが日本の個人を
対象に行った調査でこんな結果が明らかになった。
同社は、金融資産1000万円以上1億円以下を保有するマス富裕層向けの
金融サービス「HSBCプレミア」を展開しており、対象となる顧客層の意
識の変化などを調べるため、昨年12月16─17日に調査を行った。対象
は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む30─60代の男女929人で、
金融資産1000万円以上の「マス富裕層」と1000万円未満の「マス層」
に分けて分析した。
調査結果によると、現在の金融市場の状況を「資産を増やすチャンス」とみ
るマス層は15%だったが、マス富裕層は39%で「マス富裕層の積極的な
投資意欲が示された」(HSBC)。リスク回避や資金流出が顕著な新興国
への投資についても「関心がある」と回答したマス富裕層は55%で、マス
層の37%を上回った。マス富裕層の間では、新興国の中でもインドへの関
心を示す割合が56%と最も高く、ベトナム、中国、ブラジル、南アフリカ
が続いた。
また、金融危機の教訓として「金融危機以前に比べ、より積極的に金融市場
についての情報収集を行いたい」とするマス富裕層は60%に及び、マス層
の34%を大きく上回った。具体的には、マス富裕層の55%が「金融機関
の格付けや評価、時価総額、決算内容の情報を気にするようになった」と回
答している。”
→ これは首都圏だけの調査である上に
本当の富裕層と「超」富裕層が抜けています。
是非海外の各国でも調査して欲しいものです。
近年の富裕層やその予備軍は賢く有能な人物が多いので、
(バブル期と違い、不況と国際競争で鍛えられている)
鋭く本質を見抜いた意見が多いのです。
中国よりインドとベトナムの将来性に着目していること、
不況の最中にある今こそ好機と見ていること、
全くもって同意見です。
インタビュー:中国で建機稼動が活発化=日立建機(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367047.html
”日立建機の木川理二郎社長は26日、ロイターとのインタビューで、4兆元
の景気刺激策に期待がかかる中国について、旧正月が明けて10日ほどたつ
2月20日ごろから状況が変わり、建設機械の稼動が活発化し始めたと語っ
た。
出荷も増えつつあるという。しかし、本格回復につながるかどうかを見極め
るには、国家予算が提出される3月上旬の全国人民代表大会(全人代=国会)
が終わるのを待つ必要があると指摘した。
<追加の景気対策に期待>
木川社長は「春節(旧正月)が明けた2月9日ごろから建設機械が動き始め
たが、例年に比べてペースが緩やかだった。しかし2月20日ごろから安徽
省や四川省、沿海部で活発化し、1月以前とはまったく様相が変わった」と
述べた。同社の建機は一部にGPS(全地球測位システム)を搭載しており、
稼動状況を把握できる。昨年夏場から今年の旧正月前まで稼働時間は前年実
績を下回っていたが、公共工事が始まり、2月20日ごろから上回るように
なったという。木川社長は「それに伴って建機の出荷も増えてきた」と語っ
た。
しかし木川社長によると、中国が本格回復に向かうかどうかは、3月5日に始
まる全人代がカギになるという。「経済成長8%の達成を支えるために、(4
兆元の対策以外に中国政府が)さらに何をやっていくのかを決めるだろう。本
格的に(経済が)動くのはここからだ」と述べた。現時点で日立建機は、中国
における来年度の油圧ショベルの需要を、今年度見通しほぼ横ばいの4万6
000台程度と見込んでいる。
〔中略〕
2010年3月期の設備投資は今年度見通しの590億円から200億円程度
に減らす。しばらく需要の急回復が見込めないことから、2011年3月期の
設備投資はさらに減額する。木川社長は「ピーク時の需要に戻るには2014
年ぐらいまでかかるだろう」と語った。”
→ コマツも日立建機も「中国銘柄」としての側面があるので
これは想定内ですが参考まで。
中国政府が必死にインフラ整備を行っても
回復の足取りは弱いことが予想されます。
景気が1年以内に谷をつける確率は49.7%=経済企画協会(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-369029.html
”社団法人・経済企画協会が10日発表した、3月ESPフォーキャスト調査
(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、景気が今後
1年以内に谷をつける確率の予想平均値は49.7%となり、前年12月の
41.7%、1月の44.0%から徐々に上昇している。
日銀による金融政策については、エコノミスト33人中10人が次回政策変
更は利下げと回答し、そのうち4人が3月頃の利下げを予想した。また、次
回の変更が利上げとの予想は23人で、全員が変更時期を2010年2月以
降とした。
2009年度の日本の実質国内総生産(GDP)見通しの平均は、前年比マ
イナス4.11%となり、前月のマイナス2.58%から下方修正された。
2009年(暦年)の米国のGDP予想もマイナス2.27%となり、前月
のマイナス1.75%から下方修正となった。
2010年度の日本のGDP見通しはプラス1.11%と、前月のプラス1.
20%から下方修正された。米国についてはプラス1.42%となり、前月
のプラス1.47%からやや下方修正となった。
09年1─3月期GDPの年率ベースでの見通しの平均は、前期比マイナス
10.41%となった。4─6月期はマイナス1.81%、7─9月期はマイ
ナス0.24%と、徐々にマイナス幅が縮小する見通し。10─12月期に
はプラス0.70%とプラス圏入りし、その後は1%台の成長が続く見通し
となっている。
〔中略〕
失業率の予想平均は、今年1─3月期に4.49%、4─6月期に4.92%
に急上昇し、7─9月期に5.21%と5%の大台に乗せる見通し。前回調
査では今年10─12月期に5%に乗せる見通しだった。今月調査では、
2010年4─6月期の予想平均が5.54%とピークを付け、その後も5
%台半ばで推移すると見込まれている。”
→ これはアナリスト予想の集計ですが、
率が急角度で上昇しているのに注意。
順調に推移すれば夏には60%に達するでしょう。
2010年の成長率見通しが下方修正されることと、
失業率の高止まりが気になりますが
漸くかすかな明かりが見えてきた、というところ。
ソロス氏「金融市場は底入れ」自然治癒へ(Searchina)
http://excite.co.jp/News/economy/20081229/Searchina_20081229024.html
”米著名投資家のジョージ・ソロス氏はこのほど、東欧エストニアのメディア
取材に対し、「世界の金融市場は底入れした」との認識を示した。外匯通が
29日までに伝えた。
ソロス氏によれば、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たん以降、一旦は
まひした世界の金融システムは再び機能し始め、自然治癒の状態に入った。
ただ失業や企業経営の悪化など、金融危機の実体経済への影響は今後も続く
としている。
中国社会科学院・国際金融研究センターの張明秘書長もソロス氏とほぼ同様
の見解。金融市場には今後もいくつかの試練が待ち受けており、安定するま
でには時間がかかるものの、リーマンが破綻した9月のような大きな混乱が
起こるとは考えにくい。世界各国が相次ぎ対策を打ち出したことで、銀行の
信用体系は回復に向かっている。ただ実体経済への影響は始まったばかりで、
全治には少なくともの3-5年が必要とみている。”
最も早い時期に出たポジティブな視点です。
でもソロス氏は、つい十日ほど前に
「世界の金融システムは実質的に崩壊」と
ロイターで語っているのでやや一貫性に欠けます。
… まあ兎も角、下げ止まるのが第一です。
そうすれば自ずと有望セクターの姿が見えてきます。
パン・ローリングがソロスの漫画を出していて吃驚!
学生向けか忙しいジャーナリスト向けですね。
向上心のある方には当ウェブログの左に出ている『ソロス』がお薦め。
軍事史に喩えるならバトル・オブ・ブリテンで
英国軍が独空軍の猛攻を凌ぎ切った時期、
日本史で言うなら第2次長州征伐時の幕府軍の先鋒隊が
長州勢の新式銃の前で無様に崩れている状況です。
これから国内外のマーケットでは
意想外の出来事が次々と勃発するでしょう。
ターニング・ポイントの忍び足が聞こえてきます。
マス富裕層の4割、金融危機は「投資の好機」=調査(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367634.html
”金融資産1000万円以上を保有する「マス富裕層」の約4割は、現在の金
融危機を投資の好機ととらえている──英金融大手HSBCが日本の個人を
対象に行った調査でこんな結果が明らかになった。
同社は、金融資産1000万円以上1億円以下を保有するマス富裕層向けの
金融サービス「HSBCプレミア」を展開しており、対象となる顧客層の意
識の変化などを調べるため、昨年12月16─17日に調査を行った。対象
は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に住む30─60代の男女929人で、
金融資産1000万円以上の「マス富裕層」と1000万円未満の「マス層」
に分けて分析した。
調査結果によると、現在の金融市場の状況を「資産を増やすチャンス」とみ
るマス層は15%だったが、マス富裕層は39%で「マス富裕層の積極的な
投資意欲が示された」(HSBC)。リスク回避や資金流出が顕著な新興国
への投資についても「関心がある」と回答したマス富裕層は55%で、マス
層の37%を上回った。マス富裕層の間では、新興国の中でもインドへの関
心を示す割合が56%と最も高く、ベトナム、中国、ブラジル、南アフリカ
が続いた。
また、金融危機の教訓として「金融危機以前に比べ、より積極的に金融市場
についての情報収集を行いたい」とするマス富裕層は60%に及び、マス層
の34%を大きく上回った。具体的には、マス富裕層の55%が「金融機関
の格付けや評価、時価総額、決算内容の情報を気にするようになった」と回
答している。”
→ これは首都圏だけの調査である上に
本当の富裕層と「超」富裕層が抜けています。
是非海外の各国でも調査して欲しいものです。
近年の富裕層やその予備軍は賢く有能な人物が多いので、
(バブル期と違い、不況と国際競争で鍛えられている)
鋭く本質を見抜いた意見が多いのです。
中国よりインドとベトナムの将来性に着目していること、
不況の最中にある今こそ好機と見ていること、
全くもって同意見です。
インタビュー:中国で建機稼動が活発化=日立建機(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-367047.html
”日立建機の木川理二郎社長は26日、ロイターとのインタビューで、4兆元
の景気刺激策に期待がかかる中国について、旧正月が明けて10日ほどたつ
2月20日ごろから状況が変わり、建設機械の稼動が活発化し始めたと語っ
た。
出荷も増えつつあるという。しかし、本格回復につながるかどうかを見極め
るには、国家予算が提出される3月上旬の全国人民代表大会(全人代=国会)
が終わるのを待つ必要があると指摘した。
<追加の景気対策に期待>
木川社長は「春節(旧正月)が明けた2月9日ごろから建設機械が動き始め
たが、例年に比べてペースが緩やかだった。しかし2月20日ごろから安徽
省や四川省、沿海部で活発化し、1月以前とはまったく様相が変わった」と
述べた。同社の建機は一部にGPS(全地球測位システム)を搭載しており、
稼動状況を把握できる。昨年夏場から今年の旧正月前まで稼働時間は前年実
績を下回っていたが、公共工事が始まり、2月20日ごろから上回るように
なったという。木川社長は「それに伴って建機の出荷も増えてきた」と語っ
た。
しかし木川社長によると、中国が本格回復に向かうかどうかは、3月5日に始
まる全人代がカギになるという。「経済成長8%の達成を支えるために、(4
兆元の対策以外に中国政府が)さらに何をやっていくのかを決めるだろう。本
格的に(経済が)動くのはここからだ」と述べた。現時点で日立建機は、中国
における来年度の油圧ショベルの需要を、今年度見通しほぼ横ばいの4万6
000台程度と見込んでいる。
〔中略〕
2010年3月期の設備投資は今年度見通しの590億円から200億円程度
に減らす。しばらく需要の急回復が見込めないことから、2011年3月期の
設備投資はさらに減額する。木川社長は「ピーク時の需要に戻るには2014
年ぐらいまでかかるだろう」と語った。”
→ コマツも日立建機も「中国銘柄」としての側面があるので
これは想定内ですが参考まで。
中国政府が必死にインフラ整備を行っても
回復の足取りは弱いことが予想されます。
景気が1年以内に谷をつける確率は49.7%=経済企画協会(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-369029.html
”社団法人・経済企画協会が10日発表した、3月ESPフォーキャスト調査
(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)によると、景気が今後
1年以内に谷をつける確率の予想平均値は49.7%となり、前年12月の
41.7%、1月の44.0%から徐々に上昇している。
日銀による金融政策については、エコノミスト33人中10人が次回政策変
更は利下げと回答し、そのうち4人が3月頃の利下げを予想した。また、次
回の変更が利上げとの予想は23人で、全員が変更時期を2010年2月以
降とした。
2009年度の日本の実質国内総生産(GDP)見通しの平均は、前年比マ
イナス4.11%となり、前月のマイナス2.58%から下方修正された。
2009年(暦年)の米国のGDP予想もマイナス2.27%となり、前月
のマイナス1.75%から下方修正となった。
2010年度の日本のGDP見通しはプラス1.11%と、前月のプラス1.
20%から下方修正された。米国についてはプラス1.42%となり、前月
のプラス1.47%からやや下方修正となった。
09年1─3月期GDPの年率ベースでの見通しの平均は、前期比マイナス
10.41%となった。4─6月期はマイナス1.81%、7─9月期はマイ
ナス0.24%と、徐々にマイナス幅が縮小する見通し。10─12月期に
はプラス0.70%とプラス圏入りし、その後は1%台の成長が続く見通し
となっている。
〔中略〕
失業率の予想平均は、今年1─3月期に4.49%、4─6月期に4.92%
に急上昇し、7─9月期に5.21%と5%の大台に乗せる見通し。前回調
査では今年10─12月期に5%に乗せる見通しだった。今月調査では、
2010年4─6月期の予想平均が5.54%とピークを付け、その後も5
%台半ばで推移すると見込まれている。”
→ これはアナリスト予想の集計ですが、
率が急角度で上昇しているのに注意。
順調に推移すれば夏には60%に達するでしょう。
2010年の成長率見通しが下方修正されることと、
失業率の高止まりが気になりますが
漸くかすかな明かりが見えてきた、というところ。
ソロス氏「金融市場は底入れ」自然治癒へ(Searchina)
http://excite.co.jp/News/economy/20081229/Searchina_20081229024.html
”米著名投資家のジョージ・ソロス氏はこのほど、東欧エストニアのメディア
取材に対し、「世界の金融市場は底入れした」との認識を示した。外匯通が
29日までに伝えた。
ソロス氏によれば、米証券大手リーマン・ブラザーズの破たん以降、一旦は
まひした世界の金融システムは再び機能し始め、自然治癒の状態に入った。
ただ失業や企業経営の悪化など、金融危機の実体経済への影響は今後も続く
としている。
中国社会科学院・国際金融研究センターの張明秘書長もソロス氏とほぼ同様
の見解。金融市場には今後もいくつかの試練が待ち受けており、安定するま
でには時間がかかるものの、リーマンが破綻した9月のような大きな混乱が
起こるとは考えにくい。世界各国が相次ぎ対策を打ち出したことで、銀行の
信用体系は回復に向かっている。ただ実体経済への影響は始まったばかりで、
全治には少なくともの3-5年が必要とみている。”
最も早い時期に出たポジティブな視点です。
でもソロス氏は、つい十日ほど前に
「世界の金融システムは実質的に崩壊」と
ロイターで語っているのでやや一貫性に欠けます。
… まあ兎も角、下げ止まるのが第一です。
そうすれば自ずと有望セクターの姿が見えてきます。
『ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ』(ジョージ・ソロス) |
パン・ローリングがソロスの漫画を出していて吃驚!
『マンガ 史上最強の投機家ソロス――“イングランド銀行を潰した男”の哲学』 |
学生向けか忙しいジャーナリスト向けですね。
向上心のある方には当ウェブログの左に出ている『ソロス』がお薦め。