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医療界の提唱するコロナ対策は、失業と倒産を増やし貧困化に直結 -「遠隔診療反対」「働き方改革」が本音

2020-04-15 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
現下、新型コロナ問題で医療崩壊を何としても
防がなければならないことは自明の理だが、
医療界から出てくる提言は公益を損ないかねないものが多い。

我が国では医学部の教育が専門性に偏頗しており、
初歩的な社会科学すら理解していないような痕跡が
そうした提言の随所に見られることは寒心に堪えないところだ。

まず、今の医療崩壊危機の直接原因は勿論政策の失敗であるが、
その根源は医療界が固執する自由開業や依然として続く医師偏在にあり、
更に言えば我が国の高所得層(医師の圧倒的多数がここに含まれる)の
税・社会保険料負担が欧州に比べて余りに軽過ぎる(10%ポイントを超える)点が
医療財源の不足・巨額財政赤字の根本的な原因となっているのだ。

日本がドイツ並みの高負担、そしてドイツ並みの医療規制を採っていたら
(ドイツでは自由開業は不可能で、開業医も休日夜間の診療が義務化されている)
コロナ対策は今よりも遥かに容易に実施できたであろう。
それは日独のコロナ検査数の絶望的な差にも明確に出ている。

そもそも、「生命」と「経済」はトレードオフの関係ではない。
経済が急激に悪化すると自殺が急激に増えるのは、統計的に確認されているのだ。
生命と経済の一択ではなくどちらも守るべきもので、問題はその巧拙なのである。

休校休業や都市閉鎖、自粛の徹底を唱える医療関係者が異様に多いが、
そのようなモラルハザードを公言する者には欧州並みの課税を行うべきだ。

それを原資としてコロナ対策、並びにコロナによる経済被害を受けている
国民の窮状を救うことこそが社会正義に適う施策なのである。

医療関係者でもコロナの深刻な脅威を受けているのは一部であり
大多数は一般国民と大差はない(診療科によっては以前より受診が減っている)。

必死でコロナ治療に立ち向かっている医師や看護師の方々は全力で支援せねばならないが、
それ以外の医療関係者は寧ろ人員や財源の面で支援に回るのが責務であろう。

しかし、実際の行動としては政府への要求、
遠隔診療への反対、自分達の関心の強い働き方改革にばかりフォーカスと、
公共性の高い職種にしては疑問符の付く本音が隠せなくなっている。

▽ 統計的に「世襲による所得格差」が明確なのは政治家、そして医師だけである

『世襲格差社会 - 機会は不平等なのか』(橘木俊詔/参鍋篤司,中央公論新社)


悲しいことに、当ウェブログにとって驚きはない。
かなり前から以下のように指摘してきたからである。

「適切な医療なのか不適切な医療であるかは
 利害関係のある当事者が判断すべきものではない。
 高等教育を受けた者なら当たり前過ぎる常識である」

「利害関係者は公共政策を誘導するのではなく要望にとどめ、
 情報を開示して有権者の判断に委ねなければならない。
 まともな民主主義国なら当然であろう」

「医療界は業界への株式会社の進出に強い警戒感を表明するが、
 残念ながら行動原理において株式会社と医療界はよく似ている。
 同類だからこそ互いに憎み合っているとさえ言える」

「情報の非対称性を武器とし、不都合な情報は隠そうとすること、
 公益性を前面に押し出してプロパガンダを振り回すが
 実際の行動を見ると利害でほぼ全ての行動が説明できること、
 自らの縄張りへの侵入者に対しては敵意を剥き出しにすること。
 考えれば考えるほど両者は共通点が多い」

「北原茂実氏は「日本の医療は関係者の利害が絡み合って動きが取れなくなっている」
 と総括されており、日本医療の変革を事実上諦めている」

「医療については誠実な議論が成り立っていないために、
 利害関係者に対する根深い不信がある」

「医療界が情報公開に積極的でないという事実は、
 企業の不祥事と全く同じ構造で「不都合な事実」の存在を強く示唆する。

「何か不都合な報道があると「医者叩き」とレッテルを貼る
 程度の低い医師も残念ながら存在するようである。
 それは日本の医療への信頼を深く傷つける行為でしかない。
 本当に過労で倒れそうな医師であればそのような裏工作をする暇はない筈だ」

「週刊ポストが素晴らしい仕事をしている。
 ジャーナリストと共同でお馴染みのバリウム検査を調べ、
 効果が殆ど期待できないにも関わらず関係者の利権となっている実態を暴いた」

「それによれば、殆ど無意味に近いバリウム検査が続けられる理由は
 厚労省のガイドラインの関係者が研究費というカネで「汚染」されていることであり、
 天下り元公務員がこの利権で給料を貰っている実態も明らかになったのだ」

「果敢な突撃取材は週刊誌の独壇場であり「誤爆」も当然あるが、
 今回の件では週刊ポストの功績は大きい」

「医師の方々は一般の水準から見れば真面目で誠実であるが、
 こと経営や利権に関わる問題になると怖いほど「人が変わる」時がある。
 性善説で成り立っている医療界において、医師免許制度の欠陥を強く感じさせるところだ」

「医療界は基本的に「タコツボ」なので自浄力を期待するのは間違いであろう。
 情報公開を進め、外部の識者や第三者の意見を踏まえて改革を進めなければ、
 医療界への信頼そのものが損なわれ、予算や人材育成においても締め付けが厳しくなってしまう。
 利害関係者による現状維持の試みは、いずれ自らに深刻な打撃を与えることになる訳だ」

「東京医大問題は只今も盛大に「延焼」中で、
 また他にも大問題が発覚するかもしれないが、
 女性差別問題や不正入試以外にも興味深い現象が起きている」

「それは、赤枝前衆院議員や高須院長のような著名医師が
 ついうっかり口を滑らせて本音を喋っている点だ」

「両者とも、今回の問題を「不正ではない」と明言している点で共通する。
 つまり、客観的な公平性など無視して独善的に判断するのを当然視しているのだ」

「若い世代の医師が上の世代の「体質の古さ」に辟易しているとは
 よく聞く話であるが、上記の両者が図らずも自らの言動でそれを証明したと言える」

「医師の方々は総じてクレバーでよく勉強されているが、
 それでも自分の利害が絡んでくると自己の正当化や弁明に
 その賢さをフルに活用する通弊があるように思える」

「他の医療職から「子供みたいなことを言う」と囁かれたり、
 家庭では「自分からは何一つやらない」と言われたりするのも道理であろう」

「ただ、問題は日本の医療システムを改善しなければならない時に、
 そうしたクレバーさが自己弁護や自らの損失回避に活用される点だ」

「病院と診療所の差別的な診療報酬の格差には何ら合理的な根拠はなく、
 自由開業の特権も医療現場の崩壊を促進するものとなり果てている」

「また、医療予算を増やしたいなら一般国民より高所得な医師世帯が
 一般国民よりもその原資をより多く負担するのが当然であるし、
 勤務医の苦境が続いているならドイツのような開業規制と
 休日夜間の診療義務化を受け入れるべきであろう」

「フリーアクセスが問題なのは理解出来るのでアクセス制限は必要だろうが、
 アクセス制限したら医師の労働時間を合理化だけでなく賃金も合理化が必要だ」

「女性医師が増えて勤務医の労働環境が過酷になってきたら
 自由開業を廃止して開業規制する以外に国民の納得する方策はない」

「診療科や地域によって忙しさも違うので、診療報酬も機動的に「調整」すべきだ。
 女性医師の産休育休に備えて医師の負担を引き上げて社会保障基金を運用し、
 産休育休の際の代理人員確保に支出することも必要である」

「女性医師の育成にも男性医師同様に数千万円の国費が投入されているから、
 合理的な理由なくして労働時間の短い医師には国費を「返納」させる制度が必要だ。
 その代わり、育児家事の外注は経費として税控除しなければならない」

「……どれも至極当然の話なのに、物凄く嫌がる医師がいるのは確かだ。
 医大や医学部では「公共」の概念を全く教えていないのだろう」

日本の医療界は、他の先進国に比べて異様である。
勤務医の労働環境も異様だが、実質的な世襲制や
医療界が「階級社会化」し、自民党を通じ政策に干渉しているのも異様なのである。

▽ しかも日本の医師免許は、アメリカ等に比べて相当甘いと以前から指摘されてきた

『市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗』(李啓充,医学書院)


医療界のガバナンスが「お手盛り」で信用できないという事実は、
東京医大問題だけでなくそれを巡る医師自身の言動からも立証されている。。

「医療界からは政府や行政を責める声は日常的に出るのに、
 ガラパゴスな日本の医療界の特殊性を指摘する声、
 日本の医療を自らどう変わるべきかは殆ど語られない」

「厚労省の調査では、日本の医師数は増えているのに
 医師偏在は逆に深刻化しているのが実態だ」

「事実に即して言えば「医師数を増やしても偏在が酷くなるだけ」。
 それは通常の先進国ではあり得ない「開業自由」が元凶であるし、
 ドイツのような規制がなければ医師偏在が深刻化するに決まっている」

「また、男性医師に比べて統計的に診療時間の短い女性医師が増えているので
 (日本では女医もジェンダーが強く、就業意識に強く影響している事実が確認されている)
 勤務師の労働環境は以前よりも悪化している筈である。
 それに対しても政府や行政を責めるばかりで自らの責務には沈黙している」

「フィンランドのように女性医師を増やし、公平にしたいのなら、
 フィンランド並みに医師にも課税し、可処分所得が大幅に減ることになる。
 (それで予算を増額し、代理要員も手厚い育休も実現できる)」

「欧州のような医療予算が必要なら欧州並みの租税と社会保険料を払わねばならない。
 一般国民よりも平均的に高水準の医師の場合は手取りが数百万円は減るだろう」

「社会保障においては「フリーランチはない」のが常識なのに、
 日本の医療界においてはどうもその「常識」が抜けた言動ばかり目立つのだ」

「人不足の診療科があるなら需要を測定して診療報酬で「調整」すれば良い。
 (その場合、人が足りている診療科から人不足の診療科へ報酬を移転する)
 人を増やしたいなら医療予算から給料を得ている医療職の税負担が増えないと
 一般庶民が納得する訳がない。その程度のことがどうして理解できないのか」

「厚労省は徳島や高知の医師数が相変わらず多い(医療費も突出して多い)のに、
 「都市部の人口増加」などと頓珍漢なコメントをしている。
 これでは大学のゼミですら「不可」だろう」

「本田氏は医師数が増えても偏在が深刻化している事実を全く理解しておらず、
 国に責任転嫁しているようだ。是非とも欧州並みの納税を行い、
 医師数増に反対している日医に対して公開質問を行って欲しいものだ」

「救急医療の現場が大変だということはよく理解できるので、
 本田氏は自ら税負担増を申し出て救急の診療報酬引き上げを求めるか、
 薬価や診療所の報酬分を救急に移転するよう申し入れるのが良識というものだろう」

と当ウェブログは指摘したが、矢張り「自浄力を期待するのは間違い」だったという結論になりそうだ。

 ↓ 参考

医師数が増えても偏在は却って深刻化、欧州並みの規制と課税が絶対必要 - 日本の医療界に自浄力なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4f21d68383e3c2a3fac28d5cb896ecfe

東京医大問題で露呈した医療界の特権意識、「卒業生の親族優先は当然」- 問題は男女差別だけではない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1a7c8e4e1b9cb82a2b15db5c28fee557

医療事故により日本で毎年5万人が死亡か、自殺者数より多い - 医療機関は依然として情報公開せず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/27b999746aa8b688981c0c5cdff8b285

日本医師会、巨額の医療扶助をも「適切」であると主張 - 政治的主張ではなく情報開示を
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3ba7efdb299dbd664ec14dcd58099575

▽ 医療界は欧州並みの医療予算増を求めても、欧州並みの情報公開や開業規制は嫌がる

『失われた「医療先進国」』(岩本聡,講談社)


【新型コロナ】医師の4割「一斉休校はメリット大きい」と回答 「働き方の見直しが強制的に進んだ」という見方も(careerconnection)
https://news.careerconnection.jp/?p=90534
”医師のともは3月31日、「一斉休校」に関する調査結果を発表した。調査は3月にネット上で実施し、20~90代の医師1096人から回答を得た。
 小中高の一斉休校について、4割の医師が「メリットのほうが大きい」(39.8%)と回答した。その理由として「感染拡大の防止」だけでなく「国民の意識改善効果」も挙げられた。
〔中略〕
 中には「小児は無症候性キャリアが多く、小児間というよりは、各家庭内での感染機会が減った」「在宅勤務など、働き方の見直しが強制的に進んだ」という意見もあった。
 一方、3割が「デメリットの方が大きい」(24.2%)と回答している。小児が重症化するケースが少ないことから、弊害の方が大きいと考える意見が目立った。回答者からは、「子供の面倒を見る負荷が増えた」「就業困難になったことによる収入減」といった親への影響を懸念する声や、
「2週間以上の自宅待機によって、子供たちにストレスがかかる」「子供たちが繁華街に遊びに来ているのでは意味がない」
という声が多かった。「卒業式に出られないのはかわいそう」「教育格差が拡大する恐れがある」という意見も出ていた。”

このように、医療界でも公共性や他の国民の生活をよく考えている良識派は少ない。
コロナ感染が拡大して医療界の負担を懸念する層が多数派と推測できる。
「働き方の見直しが強制的に進んだ」などという寝言は最悪で、
いま一般の労働者がどのような目に遭っているか黙殺した冷酷な本性が露呈している。


オンライン診療、壁は厚労省 医師会へ配慮にじむ(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57597170S0A400C2EA2000/
”新型コロナウイルスの病院内での感染を防ぐため、ビデオ通話などによるオンライン診療の活用を広げる規制緩和が限定的な範囲にとどまる恐れが出ている。焦点は受診歴のない患者でも初診からオンライン診療を認めるかどうか。厚生労働省は対面で得る情報の重要さを理由に、かかりつけ医から情報提供を受けた別の医療機関などに絞る方針だ。拡大を恐れる日本医師会への配慮がにじむ。
「人類が経験したことのないようなことが起きている。あまりに生ぬるいというのが私の感覚だ」。2日、政府の規制改革推進会議の小林喜光議長(三菱ケミカルホールディングス会長)は落胆を隠さなかった。
〔中略〕
 オンライン診療は、風邪や発熱といった軽症の人が自宅にいながら診断してもらえるようにするなど医療の利便性を高める力を持つ。新型コロナの感染が拡大してからは、通院先での感染を防ぐ手段としても期待が高まっている。
 3月31日の経済財政諮問会議で、安倍晋三首相は「現状の危機感を踏まえた緊急の対応措置を規制改革推進会議で至急取りまとめてほしい」と指示を出していた。
 規制改革推進会議の主張は、受診歴のない患者でも初診からオンライン診療を認めれば、通院を省け、患者も医療従事者も院内感染から守れるというものだ。一方、厚労省は受診歴のある患者で高血圧などの慢性疾患であれば可能だが「受診歴のない患者は認められない」と説明したという。
 厚労省がオンライン診療の拡大を阻もうとする背景には日本医師会の存在がある。オンライン診療は「対面に比べ診察時に得られる情報が限られる」というのが医師会の主張だ。通院にかかる時間をあまり気にしなくて済むため、評判のよい病院に人気が集中し、淘汰が進むのを恐れていることも抵抗の裏側にある。
 オンライン診療はあくまで対面診療を補完するものと位置づけられ、生活習慣病など慢性疾患に限られてきた。症状の変化が激しい急性疾患は対象外だ。医療サービスの対価として受け取る「診療報酬」も対面より少なく、対面の場合と比較して半分以下となることもある。
 加藤勝信厚労相は3月31日、オンライン診療の初診解禁を検討すると表明した。だが、厚労省が4月2日に開いたオンライン診療の指針を議論する有識者検討会は、限定的な範囲にとどめる方向性で一致した。
〔中略〕
 患者が急増し、外来医療が危機的な状況にあるなど極めて限定された場合だけに認める方向で、具体的な条件を引き続き検討する。
 かかりつけ医から情報提供を受けた別の医療機関で、風邪などの症状をオンラインで診てもらうことは認めることになった。ただこれも、かかりつけの医療機関で院内感染が起き、普段と異なる医療機関を受診しなければならないケースを想定したものだ。
 オンライン診療は18年度に保険適用されたが、18年7月時点でオンライン診療を実施する医療機関は1000カ所程度で全国の医療機関の1%に満たない。
 オンライン診療に積極的な医師もいるが、規制の厳しさが利用拡大を阻む。オンライン診療に移行するには原則、事前に3カ月以上の対面診療が必要だ。
新型コロナ感染症の広がりをうけ、厚労省はオンライン診療のルールを特例・臨時的に2度緩和してきたが、その範囲は限られている。

■規制改革、目に余る及び腰
 新型コロナウイルス禍について最も恐れるべきは、重篤な感染者に適切な医療が提供できない事態だ。感染者の治療に人材や施設が割かれ、ほかの診療科が滞るのも避けねばならない。デジタル技術を使って医師が自宅や施設にいる患者を診るオンライン診療を広げるのは、医療の機能悪化を防ぐ有力な手段のひとつだ。その点で厚生労働省の及び腰は目にあまる。
 オンライン診療をサポートするスタートアップの創業者によると、オンライン診療・服薬指導を試したいという医療機関や調剤薬局からの相談がにわかに増えた。きっかけは厚労省が2月末に出した通知だ。次の2点を確認する内容である。
 まず、慢性疾患をもつ定期受診患者と新型コロナ感染源の接触を減らすため、慢性患者をオンライン診療した医師は処方箋情報を電子メールなどで薬局に送るというもの。患者は処方箋をとりに病院に行く必要がなくなる。2点目は感染者と濃厚接触した人などにオンラインで健康医療相談・受診勧奨しても差し支えないという内容だ。
 基礎疾患をもつ高齢感染者らを病院や診療所から遠ざけるための通知だが、対面診療の脇役としてのオンラインという位置づけは不変だ。感染者の増大を抑える確実な手段は、患者との接触機会を少なくすること。
〔中略〕
 このシンプルな道理が官邸に伝わり、首相は経済財政諮問会議で「医師らを院内感染から守るためにオンライン診療の活用を」と唱え、加藤勝信厚労相が初診時は対面診療が必須という原則を変える可能性に言及した。
 しかし規制改革推進会議の作業部会は、同省から色よい回答を引き出せない。背後には対面原則にこだわる医師会の政治力もちらつく。もちろん対面が必要な診療はある。だが、重視すべきは当の医師や薬剤師のあいだにオンラインの使い勝手を高めるよう求める声が広がっている事実だ。
 命の危険にかかわる重篤者は人材と設備が整った感染症病棟などで集中治療し、軽症者や自覚症状がない人は施設や自宅で療養してもらう優先順位づけ(トリアージ)が不可欠になっている。その際、軽症者の医師へのアクセスを保つのにもオンライン診療が有効だ。
 少しずつ解明されつつあるウイルスの特性に照準を定め、医療の即応態勢を再編成し、オンライン診療の環境を整え、海外事例も参考にして検査の機会を増やす。これらはひとえに厚労省の責務だ。重篤者を着実に救い、国民の不安を和らげるための医療政策という原点に立ち返ってほしい。 (編集委員 大林尚)”

オンライン診療がそれほど有効とは思えないが、
新たな施策が実施される際に、強力な政治力を駆使して
医療界が「業界」の利害を踏まえて政策を左右する現実は相変わらずだ。
コロナ対策も、医療界にとって不都合な施策は排除されていると考えなければならない。


大阪市長、医師や看護師のOB・OGに現場復帰要請へ(産経新聞)
https://www.sankei.com/west/news/200406/wst2004060027-n1.html
大阪市の松井一郎市長は6日、新型コロナウイルスの感染拡大で医療従事者の不足が懸念されるとして、医師や看護師のOB、OGらに現場復帰してもらう考えを明らかにし、「ホテルなどでの受け入れが予定されている軽症者の対応にあたってほしい」と語った。同日、市長就任1年を前にした産経新聞の単独インタビューに応じた。
 感染経路の分からない患者が大阪府内でも増加している現状を受け、松井氏は「医療崩壊を起こさせないことが大切だ」と強調。大阪市民病院機構など公立病院の医師や看護師のOBらの活用を念頭に「感染者の8割にあたる軽症者が安心して治療するために、力を借りたい」と述べた。
 府では感染拡大に備えて、軽症者や無症状者を府が借り上げるホテルなど宿泊施設での療養に切り替えることを決めている。
〔中略〕
 OBらをチームの一員に組み入れ、組織的に軽症者への対応を行いたい意向を示した。
 一方、緊急事態宣言が7日にも発令されることについては、「国民の危機意識が高まり、自粛率が上がると思う」と評価。そのうえで「緊急事態とは医療崩壊をさせないための手段。国民は不要不急の外出を控えるのではなく『必要最低限の外出』のみにしてもらいたい」と呼びかけた。”

例えばこの人員の問題。前々から余剰が指摘されている歯科や
コロナ禍で需要が急減していると思われる美容整形などは
コロナ治療の支援に回るべきではないのか。
医療界でも予算要求だけでなく医療界内で人員の移動を提言すべきではないのか。
就労抑制している女医や、潜在看護師が相当数いるは公然の事実であろうに。


「廃業するしか」 東京都の休業要請で居酒屋経営者に不安(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/200410/lif2004100140-n1.html
”新型コロナウイルスの感染拡大に備えた国の緊急事態宣言を受けて10日、東京都が休業要請の対象となる業種・施設を公表した。長引く自粛の影響を受けている居酒屋は、都の当初案からの変更で対象から外れたが、営業時間が午後8時まで、酒類の提供が同7時までと制限を受けることに。「支援はあるのか」「廃業するしかないかも」。翻弄された経営者らの表情は一様に厳しい。
 普段は人であふれる新宿区歌舞伎町。本来なら書き入れ時の夕方以降もシャッターを下ろした店が並び、臨時休業を告げる張り紙が目立った。
 「本当に支援を受けられるのか、はっきりと示してほしかった」。昨年9月にオープンした居酒屋「まぐろ屋 蓬」を1人で切り盛りする店主、蓬田秀一さん(51)は、小池百合子知事の記者会見を伝えるテレビ中継を見つめ、語気を強めた。
 3月の売り上げは1月に比べ6割以上減。家賃や光熱費などの固定費が重くのしかかる。換気を徹底し、除菌作用のある電解水でドアノブやテーブルを入念に拭き上げ、霧吹きで店内に噴霧するなど感染防止対策を徹底しながら営業を継続。昼間のテークアウトや配達サービス導入に活路を見いだすが、予定していたアルバイト募集はやめた。
 都は要請や依頼に全面的に協力する中小事業者に50万〜100万円の「感染拡大防止協力金」を支給すると表明している。懸念した休業要請はなく、営業時間短縮に応じれば協力金も支給されるはずだが、「資金が枯渇するとどうしようもない」。
〔中略〕
 渋谷区の雑居ビルでバーを併設したネパール料理店「マンダラ」を営むサキャ・スニルクマルさん(50)は「営業時間をどうするかの次元ではなく、閉店を考えている」と嘆く。
 国の緊急事態宣言後は夜間帯の来客はゼロ。ランチタイムに600円のカレー弁当を200円で販売し始めたが、客足は8割以上減少。赤坂の姉妹店は17日を最後にたたむという。
 平成11年から店を営業しているというサキャさんは「街から人がいなくなった。本当なら花見のいい季節なのだが」。客に配る布マスクをミシンで縫いながら「収束がいつになるのか分からない以上、経営はたちゆかない」とため息をついた。
 JR神田駅(千代田区)近くのダイニングバー「ワニバル」は通常営業を続けてきたが、11日からの休業を決めた。店主の斉木英聖さん(34)は「神田を出歩くのはリモートワークができない会社員が中心。仕事終わりは午後5〜6時。8時閉店では集客は見込めない」と話す。
 ゴールデンウイーク明けの5月にも再開したいが、長期休業も覚悟している。電車で1時間近くかけて通勤するアルバイトもおり、「1人だったら続けたかもしれないが、この状況で(感染の)リスクを負わせたくない。お客さんの命も守るためにも、閉めることで協力したい」と厳しい表情で語った。”

医療界が目先のコロナ対策ばかりに拘っている今、
まさに日本経済が急激に悪化し実際に生命の危機すら近付いている。
倒産や失業が急増したら、コロナ感染がなくとも多くの生命が失われるであろう。


新型コロナで失業、派遣社員の16% ディップ調査(産経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58038980U0A410C2000000/
人材サービス大手のディップが派遣社員を対象に実施した調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で失業を経験した割合が16%にのぼった。休業や就業時間が減少したとの回答は合計36%に達した。百貨店やテーマパークなど休業や営業時間を短縮する事業者が相次いでおり、担い手だった派遣社員の雇用環境に大きな影響が生じている。
 調査は3月31日~4月3日にインターネットで実施した。調査名は「新型コロナウイルスによる仕事への影響調査」。全国の15~69歳の6000人を対象とした調査から、派遣社員1000人の有効回答を抽出した。
 新型コロナの影響で失業した経験があるか聞いたところ、16%が「ある」と答えた。そのうち「勤務先都合」は10%、「自己都合」は6%だった。
 現在就業している仕事の就業時間や日数に影響があったか尋ねたところ、「休業することになった」は8%、「シフトがとても減った」は11%、「シフトがやや減った」は16%だった。
〔中略〕
 就業先の都合で休業した場合の給与について、就業先が全額補填した割合は22%、一部補填した割合は19%だった。有給休暇の消化で対応した人は12%、欠勤対応は27%にのぼった。休業やシフトが減少した回答者を業種別でみると販売業が59%、サービス業は42%に達した。
 就業先でのテレワーク、在宅勤務の導入状況に関しては、正社員と派遣社員で差が開いていることも分かった。就業先によるテレワークと在宅勤務の導入割合は正社員は32%だったのに対して、派遣社員は20%だった。

医療関係者の多忙さはよくよく理解しているが、
それはそもそも全員では全くない。
そして、非正規労働者が給料カットや失業の憂き目に遭っているのに
更に経済的打撃を与える施策を平然と口にする医療関係者は貧困を加速させる元凶となりつつある。
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