かくれんぼ

小説的な文章の練習をがんばるー。

二人だけの秘密(FE覚醒 クロム×ルフレ)

2017-03-16 22:08:58 | FE


記憶喪失だなんて嘘みたいな僕を拾ってくれたのは、全く王子らしくない王子、クロムだった。




「いやぁ、まさか君が王子だったなんて……」
「初対面の奴にはほとんどそういう反応されるな」
「そりゃそうだよ」


笑うクロムが案内してくれたのは城の中の一室。
やっぱりお城だけあってすごく広くて綺麗な部屋だ。



「取り敢えず今日はここを好きに使ってくれ。風呂も入るだろ?着替えも用意したから」
「うわぁ、いいのかい?嬉しいなー!」
「ああ、俺の部屋着で悪いが……。じゃあ、ゆっくりな。何かあったら声をかけてくれ」
「うん!ありがとう、クロム!」




どこの誰かも分からない僕にお風呂まで提供してくれるなんて、王子としてそれはいいのかと心配にはなるけど、汚れを落とせるのはやはり嬉しい。
お礼に今度クロムの背中でも流してあげよう。男同士、裸の付き合いが更に友情が育まれるものなのだ。
そんなことを考えながら、取り敢えず早速お風呂に入らせてもらおう、と着替えを持って浴室へと向かった。














「あ」


ルフレに風呂の後、少し時間を取れないか聞くのを忘れていたことを思い出して廊下で声を上げる。


自警団を紹介したいだけだから急ぎではないんだが、早くみんなにルフレを紹介したいという気持ちもある。
今戻ればまだ風呂に入る前だろうか。
取り敢えず、ルフレの部屋に戻ることにした。













「ルフレ、入るぞ」


ノックし忘れていたが、まあいいだろう。
扉を開けて中に入るとルフレの姿が見えない。
遅かったか。また後で来るか、と部屋を出ようとしたとき。



「うわあぁぁあああっっっ!!!」



ルフレの叫び声が浴室から聞こえてきた。



「ルフレ!?」


急いで浴室の扉を開ける。
そこにいるルフレを見て今度は俺が叫ぶことになる。















記憶喪失だからだろうか?
なんで僕は忘れていたんだろう。
というか、なんで勘違いしてしまっていたんだろう。









自分が男だと。










浴に入った僕は当然ながらまず服を脱いだ。
ふと自分の身体を見ると、胸に二つの膨らみがあったのだ。



「うわあぁぁあああっっっ!!!」


叫んだね、叫んだよ。
だって僕、自分のこと男だと思ってたんだから。














「……って事なんだけどさー」




信じられない。
……というのは、ルフレが女だということもだが、何よりこいつの神経が信じられない。

叫び声を聞いて浴室に飛び込んだ俺が見たのは裸のルフレだった。



「クロム!?」
「大丈夫か!!…………うわあぁっ!!すまん!」


何故か女の裸体が目の前にあって、俺は浴室の扉を慌てて閉めた。
ばくばくと鳴る心臓の音を聞きながら頭をフル回転させる。


女?
あいつ、女だったのか?
マントのせいで身体のラインも隠れてるし気付かなかった。

っていうか、はだ、裸、裸見てしまった。どう謝ればいいんだ!!
謝りたいから早く出て来いルフレ!
いやでも、気まずいから出て来ないでくれ!


もうパニック状態だった。
しかし、ルフレが出て来る気配はなく、よく聞くと浴室からパシャパシャと風呂に入ってるらしい音と、ルフレの鼻歌が聞こえてきた。




「なんであの状況で暢気に風呂に入れるんだ……」
「だって、服脱いじゃってたしさ」
「そういう問題じゃないだろう……」



ガクリと肩を落とすことしか俺には出来ない。



「お前は見られた方なんだぞ」
「え?何が?…………ああ、裸?いいよいいよ、助けようとしてくれただけだし。減るもんでもないし」


ひらひらと手を振りながら笑うルフレ。
こいつはあれか。記憶と一緒に羞恥心も忘れたのか。



「そんなに気にするんならさ、今度君の裸見せてくれるだけでいいよー、あははー。あ、嘘。冗談冗談。ごめんってば。怖いよ、顔」



思わず鋭くなった眼光にルフレが怯む。
途端にしゅんと俯く姿は、女子というよりまるで子どもだ。


「とにかく、見たのは悪かった」
「ううん。僕こそごめんね?」



近付いて俺を見上げてくる姿に心臓が跳ねる。
さっき貸した俺の服がルフレには大きすぎて、胸元が開きすぎだ。



「リズか姉さんに服を借りてくる!」


部屋を出ようとするとルフレが腕をつかんできた。


「わー!待って待ってクロム!」
「何だ?」
「あのさ、僕が女の子だって、内緒にしててほしいんだ……」
「何で?」
「今更女の子だってすぐには思えないしさー……。それに、君といるなら男の方が都合が良さそうだし」
「ん?何の話だ」



ルフレは真剣な顔で俺を見つめる。




「僕は君と一緒にいたいんだ。君の側で、君のために戦いたい。その時にもし僕が女だったら敵に付け入られるかもしれない。もしかしたら仲間にもクロムが女を囲っているって笑われるかもしれない。そんなの嫌なんだ」




ぎゅっと強く拳を作って、ルフレは続ける。




「ただでさえ、こんな記憶喪失だなんて信用できない奴が何言ってるんだって思うかもしれないけど……。けど、僕は本当に君のすぐ隣に立っていたいんだ。僕にもどうしてか分からないけど……」


今にも泣きそうな顔になる。


「なんで泣きそうなんだ」
「だって、クロムが僕が女だからって笑われたらって思うと悔しくて……」



本当にそんな事を心配しているらしいルフレは深く頭を下げる。



「お願いだ!側にいさせてくれ!女だなんてみんなには言わないで……!」
「べつに笑われないと思うし、笑われてもいいんだが……。お前が言って欲しくないなら俺から特に言うつもりもない」
「本当!?」
「あと、お前の事は信用してるし、俺からもお願いするつもりだ」
「え?何をだい?」




ルフレから一歩離れて、姿勢を正して頭を下げる。




「お前の力を貸してくれ」
「クロム!?やめてよ!頭上げて!」
「側にいてくれ」
「…………」



ルフレの顔が突然真っ赤に染まった。


「どうした?」
「いや、なんか分かんないけど照れちゃった。ごめん」



本人もよく分からないといった風に首をかしげる。
今更裸を見られたことが恥ずかしくなったんだろうか。




今日から増えた軍師は手で顔を仰ぎながら、にっこりと笑う。






「二人だけの秘密、だね」



その時どうしてだか「こいつが女で良かった」と思った自分にまだ気付いていなかった。













言い訳

長いしまとまらなかった。
仕方ない。これが今の私の実力だよ。

ということでうちのルフレ君は男のふりした女の子でしたー!

温度(バイオハザード レオン×クレア)

2017-03-15 23:23:53 | バイオハザード


「ぬるい……」
「え?何が?」
「なんかここ、いつもぬるい気がする」
「えー!?寒いでしょ!」


クレアはもう体型なんか分からないほど服を着込んで更に毛布もかぶりながら震えている。
確かに寒い。エアコンが壊れてしまったらしく、ここ数日はこんな感じだ。



「あんた、体温調節機能ぶっ壊れてるんじゃないの-?かぶらないならその毛布渡しなさいよ」
「やだ」



そこから毛布の奪い合いが始まる。
いつもこうだ。
些細な事で怒って騒いで笑う。



いつの間にか毛布の奪い合いが枕投げに変わって、全力で暴れたもんだからクレアと二人、肩で息をする羽目になった。



「あっつい……」


はーはーと荒く息を吐きながらクレアが呟く。


「でも、次から寒くなったらこうやって遊べば良いわね」



遊びだったのか……。
楽しそうに笑うクレアを見ているとまた思う。



「……分かった」
「ん?」
「お前がぬるい」
「え?体温?」


何してても楽しそうに笑ってる時とか、怒ってたと思ったら泣いてみたり笑ってみたり忙しい表情とか。
そういうの見てたらこう、腹の中がぬるくなる…………気が、する。


そう、説明し辛い感覚をどうにか言葉にしたら、また楽しそうに笑った。



「レオンって意外にバカよね」
「あ?」


頭をわしゃわしゃと撫で回してくる。
なんだこいつ、鬱陶しいな。


「そーいうのはね、ぬるいってんじゃなくて、『温かい』って言うのよ」
「温かい……?」
「または『幸せ』って言うわね」
「……」



なんか、何となくしっくりくる気がする。
でも「そうだよな」って認めるのも癪だから、クレアの頭をわしゃわしゃと荒く撫で回し返す。



「あー!私より強くやった!」


ぼふっと枕を投げてくる。
もう一度枕投げをする気らしい。

いいだろう。付き合ってやる。



もう少しだけこの温度に浸っていたいから。















言い訳

なんか、いつもまとめ方が特に下手だな。
うちのレオンにしては大人しめ。

プレゼント(GS2 真咲)

2017-03-14 22:45:35 | GS


あいつと付き合ってから5回目のホワイトデーだ。
恋人同士のイベントというのは年にいくつもあって、記念日、誕生日、クリスマス、ホワイトデー。
その度にプレゼントをしていたものだから、さすがにそろそろプレゼントも渡し尽くして、今回非常に悩んでいる。


「あー……」


いや、あいつならホワイトデー定番のクッキーやマシュマロでも喜んでくれるってのは分かってるんだけど、毎年パンダとウサギと同居している顔で美味い手作りチョコくれるもんだから、それに少しでも見合った何かを返したいと思うのが男心ってもんだろう。



本当は渡したい物がある。
何でも喜んでくれるあいつが、こればかりは喜んでくれるか分からないから、悩んでいるのだ。




「あー、あーあーあー……」
「うるさい!」


ばこんと頭をはたかれる。
分厚い漫画雑誌を持った男は親友の櫻井だ。



「人ん家で辛気くさいうなり声出すなっつーの!」


相談に乗って欲しくて櫻井の家に押しかけて、飯まで食わせてもらった。
何だかんだ面倒見のいいやつだ。



「あのなー、真咲。プレゼントってのはほとんど自己満足なんだよ。今までお前があの子に渡してたプレゼントも、お前がもらったプレゼントもぜーーんぶ自己満足!喜ぶかどうかってのは渡すまで分かんねーの!」
「……元も子もないな」
「だからー、さっさと会いに行ってやれよ。ホワイトデー終わっちゃうぞ!」


もう一度頭を叩かれて、ようやく決意が固まる。
ロマンも何もないセリフだけど、こいつなりに応援してくれてるのは分かる。


「行ってくる」


立ち上がると櫻井に尻を蹴られて外に出される。


「鍵開けとくから、泣きたくなったら戻ってこいよー」


ニッと笑って、じゃーなと玄関をばたんと閉められたと思ったら、ガチャンと鍵をかけられた。


「鍵開けといてくれるんじゃなかったのかよ……」


コートのポケットからあいつに渡すために用意したプレゼントを取り出す。


小さなダイヤがついた、あいつの小さい指に会わせた小さな指輪。



それを握りしめて電話をかけると、すぐに出てくれた。



「あ、真咲だけど。……遅くなってごめん。喜んでもらえるか分からないけど、渡したい物があるんだ」

















翌日、また櫻井に会いに行った。
左手の薬指にあの指輪をつけた彼女を連れて。















言い訳

真咲先輩でホワイトデー。
私はゴディバもらえてほくほく。

欲しいのは(FE聖戦 ミデェール×エーディン)

2017-03-13 23:58:53 | FE


「貴女にこの命捧げます」



ミデェールはよく私に言ってくれる言葉なのだけど、捧げて欲しいのは他にあると言ったら彼はそれを私にくれるのかしら。
















「ミデェールさんって優しいわよね!」
「普段は可愛い感じなのに、弓を構える姿はすごくかっこいいのよねー!」


ミデェールは人気がある。
侍女達はこのようにミデェールの話でいつも盛り上がっているし、同性の兵士からも信頼が厚い。
城下の女性達がミデェールをうっとりと眺めているのも知っている。


それならミデェールはどうなのだろう。
実は誰かを想っているのだろうか。
本当は侍女の誰かと想いが通じ合っていたら?

もしそうだとしても彼は誰かにぺらぺらと話す人ではない。
特に私には。





「エーディン様。こちらにいらっしゃいましたか」
「ミデェール。どうしたの?」


考えていた彼が突然現れて心臓が跳ねる。


「今日城下に出掛けるご予定があると聞いて。私も共に参ります」
「大丈夫よ。他の兵士もついているのだから。私知っているのよ、ミデェール。貴方最近忙しくて、あまり眠れてもいないのでしょう?」
「いえ、お供させてください。貴女と離れる方が余計に眠れなくなりそうです」




その言葉に深い意味などないのに、喜んでしまう自分をどうにかしたい。


「この命、貴女に捧げたのですから、私のことなど気になさらないでください」
「欲しいのは……」
「え?」



思わず言葉が出てしまった。
不思議そうにミデェールが見つめる。


「いえ、何でもないの。それならミデェール。今日はお願いしていいかしら」
「はい!ありがとうございます、エーディン様」
「お礼を言うのは私の方よ、ありがとう、ミデェール」











本当に捧げて欲しいのは、貴方の心。












言い訳

ミデェールとエーディン好きです。
主従関係での恋とかすごく好み。

COLOR(GS 葉月珪)

2017-03-12 21:28:10 | GS




「葉月くんにとって恋の色ってどんな色?」


また訳の分からない質問をしてくる恋人へ返答するため、考える。




例えば赤といえばお前の照れた頬。
青といえばお前と見上げた空。
黄色といえばお前が持ってたぬいぐるみ。
緑といえばお前の髪留めの色。


この世界に溢れたどんな色も、全てお前を思い出すから。






「全部の色……だな」



そう答えると恋人は驚いた顔をして俺を見る。



「なんか変なこと言ったか?」
「ううん。あのね、私も同じ事思ってたから」
「……そうか」




「だから……」と恥ずかしそうに声を落として、恋人は呟く。


「一人でいるときも世界は色が溢れてるから。だから寂しくなる時があるの」
「……ああ」
「でもね、それと同じくらい葉月くんを思い出して幸せにもなれるの」
「……俺もだ」




恋をすると世界が色付くってのは、こういう思いを言うんだろうな。

『君色』
きっとそんな色があるんだろう。











言い訳

昨日よりは分かりやすいだろうか。
どうだろうか。

実はFE覚醒のクロムとルフレの長文を書いてたんですが、手違いで消えてしまって、新しく書き直したのです。
またいずれそれは書こう。