flagburner's blog(仮)
マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。
 



つーことで、天下の「調査捕鯨」団が今年分の JARPNII(第二期北西太平洋鯨類捕獲調査)を終えたことを公表したのだが・・・。
・2009年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII) -日新丸調査船団による沖合域調査航海を終えて-(2009年7月28日 日本鯨類研究所)

過去のJARPNII については↓参照(手抜き)。
・北西太平洋での「調査捕鯨」は日本語版声明だけ(2009年5月11日 flagburner's blog(仮))

で、この声明では、JARPN II の価値について誇張も含めながら述べていた。
以下、2009年7月28日分日本鯨類研究所の声明から、この「調査捕鯨」に関する説明部分を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
 我が国が実施している捕獲調査は、国際捕鯨取締条約(ICRW)の第8条(別記参照)によって締約国の権利として認められている正当な科学調査です。
また、漁業資源の適切な管理の実現に向けた鯨類調査の実施の必要性は、国際連合食糧農業機関(FAO)の水産委員会でも強く支持されています。

 なお、これまでにJARPNIIで収集されたデータおよび標本に基づく調査・研究の結果については、本年1月にIWCが主催して横浜で開催された専門家グループによる評価会議において審議され、高い評価を受けました。その報告書は、本年6月に開催されたIWCの科学委員会において報告されています。
(以下略)
---- 引用以上 ----

・・・確か、FAO の宣言では、「調査捕鯨」を支持してるとは言えないのでは?
この辺は↓を参照(手抜き)。
・誇大史(?)に残る「調査捕鯨」の結果報告+β(2009年4月14日 flagburner's blog(仮))

つーか、今年1月に行われた横浜で開かれた評価会議って何よ?
と思ったら、IWC にその報告書↓が公開されてた。
・The Report of the Expert Workshop to review the ongoing JARPN II Programme(2009年5月15日 iwcoffice.org;.pdfファイル)

この評価会議は、どうも「JARPN II最高!」という結論を出したいがためにやった気がしなくもない・・・。

ってのはともかく。
この評価会議では、マッコウクジラの調査について興味深い評価が行われていた。
最初は、クジラの(というか海洋生物の)エコシステムの構築(?)に関わる部分だったりする。
以下、『The Report of the~』から、P.8 の一部を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
The Panel emphasises that with respect to sperm whales, the low sample size and the logistical constraints on the size
of animals taken means that the data obtained provide no meaningful input to ecosystem models.
(以下略)
---- 引用以上 ----

また、マッコウクジラの個体数データに関しては、サンプルデータの古さを指摘する20年前の(・・・)意見が紹介されてた。
以下、『The Report of the~』から、P.15 の一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
In the past, the management of sperm whales by the IWC was based on the assumption of two stocks, western and eastern stocks divided at [東経]180.
The most recent information on stock structure was based on analysis of whaling operation data, movement of marked whales and sighting distribution (Kasuya and Miyashita, 1988).
These authors suggested two latitudinally segregated sperm whale stocks in the western North Pacific.
Therefore the information on stock structure of sperm whales in the North Pacific is old and limited and there is the need to update sampling and analysis on stock structure for this species in the North Pacific.
(以下略)
---- 引用以上 ----

その上で、こんな事を・・・。
以下、『The Report of the~』から、P.17 の一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
The Panel emphasises that with respect to sperm whales, the low sample size means that the obtained data provide no meaningful input to stock structure discussions.
(以下略)
---- 引用以上 ----

ま、↑の引用部分の前には、クジラの個体数を検証するのが現状では困難とも書かれてるが。

ついでに、個体数から「調査捕鯨」で捕獲するクジラの数(全体の個体数に影響が出ない程度にしてるというが)についても述べていた。
以下、『The Report of the~』から、P.27 の一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
SPERM WHALES

The Proponents noted that the take level at 10 animals was less than 0.1% of the abundance estimate and hence it can be
assumed that the planned catches will have no negative effect on the stock.
(以下略)
---- 引用以上 ----


そして、この評価会議では、マッコウクジラを「調査捕鯨」の対象にする意義について、なんとも意味深なことを述べていた。
以下、『The Report of the~』から、P.28 の一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
SPERM WHALES

The Panel concurs that the effect on the stock of the small JARPN II takes is negligible.
However, given the comments made elsewhere in the report, the scientific value of these small and unrepresentative takes of sperm whales is severel questioned.
(以下略)
---- 引用以上 ----

うは~。
捕獲数が少ないので科学的価値は低い、と踏んだか。

となると、マッコウクジラに関する(個体数・汚染状況・エコシステムなどの)調査を「調査捕鯨」で行う必然性は低くなったか?


・・・という評価会議の忠告をよそに、「調査捕鯨」団は JARPN II でマッコウクジラも捕獲対象にしていた。
そして、その結果は見事なものとなった。
以下、日本鯨類研究所の『2009年度第二期北西太平洋~』から、クジラごとの捕獲予定数と捕獲結果を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
3.標本採集頭数

 本調査における予定された標本数は昨年と同様で、次の通りです。

ミンククジラ 100頭
イワシクジラ 100頭
ニタリクジラ  50頭
マッコウクジラ  10頭

(中略)

5.標本採集頭数
ミンククジラ 43頭
イワシクジラ 100頭
ニタリクジラ  50頭
マッコウクジラ   1頭
(以下略)
---- 引用以上 ----

捕獲する気があるのかないのかハッキリしてくれよ(毒)。


もっとも、マッコウクジラに関しては、何故か目標捕獲数を達成しない年ばかりだが。
他のクジラについては、目標捕獲数を達成することが多いのに・・・。
・2005年北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII)-沖合域調査航海を終えて-(2005年8月19日 日本鯨類研究所)
・2006年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ) -日新丸調査船団による沖合域調査航海を終えて-(2006年8月21日 日本鯨類研究所)
・2007年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNⅡ) -日新丸調査船団による沖合域調査航海を終えて-(2007年8月17日 日本鯨類研究所)
・ 平成20年8月22日 2008年度第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPNII)-日新丸調査船団による沖合域調査航海を終えて- (2008年8月22日 日本鯨類研究所)

マッコウクジラは潜水が得意で海面に出る機会が少ないのかもしれないけど、マッコウクジラの捕獲数が目標に達しないことが多いってのもまた問題だわな。
ひょっとして「調査捕鯨」団にしてみれば、マッコウクジラは食用として不向きだから積極的に捕獲する気になれないのか?(違)

ってことを踏まえると、JARPN II の調査結果は「調査捕鯨」が商業捕鯨を偽装してる傍証とも言えるわな、
本当の意味で科学的に調査したなら、もっとマシな捕獲結果になってただろうに・・・。


で、今年の IWC総会科学委員会での議論については・・・別の記事で(引っ張るのかよ)。

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