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クジラ食害論にこだわる赤松農水相

2010-06-01 19:43:45 | 捕鯨騒動
今回は、2010年4月28日に開催された農林水産委員会国土交通委員会連合審査会における赤松 広隆農水相の答弁を紹介。
といっても、2010年の IWC 総会に向けた意気込みだが・・・。
・第174回国会 農林水産委員会国土交通委員会連合審査会 第1号(2010年4月28日 国会図書館)

問題の部分は、中野渡 詔子衆議院議員(DPJ 所属)との答弁でのこと。
中野渡氏は、宮崎県で感染が続いている口蹄疫について質問した後、2010年 IWC総会について赤松農水相に質問をした。
それへの返答がまた・・・。
以下、2010年4月28日分国会図書館『農林水産委員会国土交通委員会連合審査会 第1号』からその部分を長くなるが引用する。

---- 以下引用 ----
(中略)
○中野渡委員 
(中略)
 次に、先週四月二十二日、IWCが日本に対して、沿岸小型捕鯨の再開を認めるかわりに、南極海での調査捕鯨捕獲数を今後十年間で四百頭、二百頭へと段階的に減らすこと、北西太平洋では捕獲数を半数以下とすることの議長案を提出されました。
 今回の議長案は、日本が水面下において調査捕鯨頭数を半減してもいいという提案を踏まえていると思われますが、この議長案では将来的に調査捕鯨を禁止するという内容に受け取られます。
沿岸の商業捕鯨が認められることは確かに一歩前進と言えますが、調査捕鯨が負ってきた資源確保、生態系解明等の意義が大きく損なわれることになります。
 今後、日本として、六月のモロッコで開催される年次総会に向けてどのような対応をとられるのか、また、非常に厳しい交渉になると思われますが、結果の好転、暗転にかかわらず、今後の調査捕鯨に対する体制の整備をどのようにお考えか、お答えをお願いいたします。

○赤松国務大臣 IWCの事務局案というものが先日発表されました。
この十数年間、私どもの捕鯨に対する基本的な考え方、日本の主張というのは、大きく言って二つ柱があると思います。
 一つは、今、調査捕鯨は認められておりますけれども、商業捕鯨はだめだということになっております。
私どもとしては、堂々と商業捕鯨を認めさせる、胸を張って、商業、取引、商いのために捕鯨をやるんだ、またそれは日本の食文化でもあるんだということをまずきちっと示したいということが一つ。
 それからもう一つは、特に沿岸における小型の捕鯨、これについて、ぜひしっかりとそれを認めさせて、やりたい。
なぜかといえば、今、日本近海の漁獲量というのは、魚の資源というのは非常に減っております。
すべてそれが理由だとは言いませんけれども、調査によれば、少なくとも人間の三倍から五倍、年間三億トンから五億トンのイカ、サバ、アジ、イワシというようなものが鯨によって食べられているということで、それが資源の枯渇にもつながっているのではないか、そういう調査の結果もあるわけです。
 その意味で、悲願でもあります沿岸捕鯨をどうしても認めさせたいということがありまして、その二点を中心にしながら、今、反捕鯨国のいわゆる筆頭でありますアメリカとも水面下での交渉を続けながら、一部、南太平洋の、南極海での捕鯨頭数を減らしてでも、ぜひ今の二点を実現したいということで、今回、ある意味でいえば私どもの主張が入りまして、調査とか商業とかそういうカテゴリーをなくして、単に鯨をとるということの、まずそういう一つの枠組みにできた。それからもう一つは、日本沿岸における捕鯨をきちっと認めさせた。これは大きなプラスだと思っています。
 ただ、中野渡委員が今御指摘のあったように、一番不満な点は、五年間はそれでいいよ、四百頭ですよと。
しかし、五年たったらそれは二百頭にしなさい、十年後はそれからまた決めましょうということは、だんだん減っていくというのは、ゼロに近づいていく前提ともとれないわけではないので、四百頭そのものはともかくとしても、それがずっと、やはり十年後も四百頭という形でなければ、いわゆるゼロにすることを前提として認めるということにもとられかねないということで、これは非常に厳しい交渉になると思いますけれども、私自身が先頭に立って、何としてもこれを認めさせるということで、全力を挙げて、モロッコへも行きまして、頑張ってやっていきたい、このように思っております。
(以下略)
---- 引用以上 ----

いや、IWC総会の前に鳩山(兄)首相が総辞職しそうな勢いだが・・・(そうなって欲しいけど)

ってのはともかく。
赤松農水相が述べた「調査によれば、少なくとも人間の三倍から五倍~」という調査ってのは、多分日本鯨類研究所とかが行った調査のことか?
要は「クジラ食害論」って奴だが。
これについては、去年の IWC 総会で森下 丈二水産庁参事官がそれを否定する発言をしていたけど・・・。
この辺については以下参照(手抜き)
・「クジラが魚食べて漁獲減」説を政府が撤回(2009年6月30日 JanJanニュース)

もっとも、その後も日本では「クジラ食害論」は広まっているのだが・・・。
・「クジラ食害論」は人気がある仮説のようだ(2010年5月29日 ドイツ語好きの化学者のメモ)
・どうなる日本のクジラ捕り/4止 人間との共存探る(2010年5月21日 毎日jp)

なんつーか。
以前から赤松農水相が行ってる発言を踏まえれば、今回引用したような発言を繰り返しても無理はないんだよな。

たださ。
性懲りもなく「クジラ食害論」を繰り返すってのは、日本が商業捕鯨再開を求める理由として正直無理があるってのをいい加減理解してくれね~か?
だからといって、「捕鯨は日本の文化云々」を唱えることにも賛同できないが・・・。


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2 コメント

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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-06-05 17:34:27
ブログ記事の紹介をしていただき、ありがとうございます。

そう言えば自民党政権時代に石破さんも、調査捕鯨の目的について質問されて、「捕鯨ということを行うことによって、逆に食物連鎖、生物連鎖というものが、うまく回っていくという説も当然ある」と話しています。
http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/090310.html

事業の存続のためには、何でもありということでしょうね。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-06-05 20:06:05
コメント&情報ありがとうございます。

>そう言えば自民党政権時代に石破さんも~
自民党もDPJ も捕鯨問題に関してはスタンスが結構似てる部分がありますし(苦笑)。
あるいは、農水省の中で代々(?)受け継がれている説をそのまま使っているだけか・・・。
いずれにしろ、日本政府の「調査捕鯨」に関するスタンスを良く示してる例と言えます。

>事業の存続のためには、何でもありということでしょうね。
赤松農水相(退任予定)が以前行った、「調査捕鯨」について捕獲頭数を減らしても科学的なデータは取れる、という発言もそのための策かもしれませんね。
まぁ、それも大臣の仕事と割り切れば正しいのかもしれませんが・・・。
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